天田財団が2019年度助成式典を開催

あいさつする岡本理事長
あいさつする岡本理事長
 公益財団法人 天田財団(代表理事理事長=岡本満夫氏)が11月30日、FORUM246 246ホール(神奈川県伊勢原市)で「2019年度助成式典」を開催した。

 岡本理事長は、「金属加工というモノづくりを通じ、継続して世界の人々の豊かな未来を実現することがアマダグループの責任との思いから、天田財団は金属加工の研究への助成を通じて、産業・経済の発展に寄与することを目的とし、企業財団として設立した。本年度の助成は、95件、総額2億5,333万円。設立から1,000名を超える研究者へ助成し、その総額は、29億5,240万円となった。また本年度より、金属加工に従事される皆さまの技能向上に有益な技能検定に対する助成も開始した。日本の研究者を取り巻く環境は厳しく、“人材”、“資金”、“環境”の改革が強く望まれている。天田財団は、微力ながらこれらの課題に取り組み、助成金の規模だけでなく“研究者の研究に真に有益な助成”や“若手研究者育成の助成”と、その内容向上にも努めている。金属などの加工に関する優れた研究や、国際交流へ助成し、その成果を実際に使えるよう、産業界へ広く普及啓発することは、天田財団の使命である。本日の助成式典は皆様に、天田財団の思いを受け取っていただき、研究に取り組んでいただく大事なスタート。研究が進展されることを、こころより期待している。天田財団は“知の創出と人材の育成”を支援して、その成果を速やかに、社会や産業に還元し、次の研究や経済の発展につながるダイナミックな循環を目指して今後も活動していく。」とあいさつをした。

経産省 松本 素形材産業室長
経産省 松本 素形材産業室長
 来賓を代表して松本真太郎 経済産業省素形材産業室長があいさつをした。この中で松本室長は、「日本の強みは、ものづくりの技術の高さとその応用・実現力。経産省の支援も産業への実益が生まれ、現場のインセンティブを阻害することがないようにしていくことが大切だ。現在、研究と産業を繋げていくことが課題となっており、経産省も支援していく。塑性加工は日本の産業を支えている基幹産業の一つだが、多少の危機感をもっている。何が重要なのか、どこを伸ばしていくべきか、良い材料、新たな加工法・部品、コスト削減、どのように活用していくのかなどニーズに合致した提案になるよう、各企業ではプロセスマネジメントを進めているが、そのうえで産学連携を進めていかなければならない。日本からグローバルスタンダード生み出していくための大きく変わる節目なのかもしれない。行政からも支援を行うことで、業界から日本、世界へ発展に結びつけていくこと、また、若手研究者の獲得にもつながることを期待しています。」と声援を送った。

 

磯部 アマダホールディングス社長
磯部 アマダホールディングス社長
磯部 任 アマダホールディングス社長が「天田財団は創立から32年という長きにわたり、塑性加工並びにレーザプロセッシング分野への研究助成を通して社会へ大きく貢献してこられた。わが国の企業を取り巻く環境は大きく変化している。少子高齢化や人口減少、“働き方改革”に象徴される“労働環境”の変化は、ますます加速することが予想され、加えてIoTやAIといった“技術革新”が著しく、進展への対応は、我々機械メーカーにとっても必須の課題となっている。企業サイドにおいても、一層研究開発投資、人材育成に努めていく覚悟である。研究者の皆様には、研究活動を通じて、日本初の新たな技術革新に取り組んでいただき、企業のイノベーション喚起にもご尽力いただければ幸いである。これまで一貫して産学の連携にも貢献されてきた天田財団ですが、今後ともますます、大学や研究機関への助成を推進していただき、そして研究者皆様の成果が、産業界の“実”となり、結果として社会に貢献していくという構図を思い描いて、ぜひ研究に邁進されることを期待している。私どもアマダグループも、財団が末永く、幅広い助成を続け、創業者の理念でもある“人々の豊かな未来に貢献”していけるよう、ビジネスを人間中心で考える企業として成長し続けていく。」とあいさつをした。

総評

式典の様子
式典の様子
 青山藤詞郎 天田財団理事 慶應技術大学常任理事による総評は以下の通り。
 
 「天田財団は、“金属材料などを対象にした塑性加工とレーザプロセッシング”の分野から、日本の産業と経済の発展に寄与することを目的としている。具体的には、当該分野の研究に対する助成を通じて“学術の振興・科学技術の創出”を目指している。また、本年度より新たに、それらの加工に従事する方の資格取得に対する助成を通じて、“人材の育成と就労”を支援する。

 2019年度 研究助成事業方針について、①助成金総額は約2億7,500万円を予算化(平成30年度の助成実績は2億6,990万円)、②個々の研究の実情に合わせた助成金研究助成金には使途の費用割合を設けない。他助成金や科研費の合算運用も認める—とした。

 研究開発助成の実績について、本年度は、厳正なる選考の結果、81件・2億4,741万円を研究開発助成として採択した。重点研究開発助成は、7件・6,900万円、一般研究開発助成は、53件・1億3,710万円、若手研究者に限定した、奨励研究助成は、21件・4,151万円。

 本年度は、塑性加工の申請がかなり増加した反面、近年増加していたレーザプロセッシングの申請数がやや減少した。

 国際交流助成の実績は、国際交流助成について、14件・572万円を採択した。国際会議の準備や開催への助成は、3件・150万円、国際会議の参加に対する助成は、9件の357万円、若手限定の国際会議参加への助成は、2件・65万円となった。

 目録贈呈式が行われたあと、東京大学生産技術研究所 古島 剛 准教授による「生体吸収性マグネシウム合金の革新的レーザ大レスフォーミングの開発」、鳥取大学大学院 陳 中春 教授による「金属3Dプリンタを駆使した高機能金型やインプラント製品の成形技術の開発」をテーマにした招待講演会が行われた。