ヤマザキマザック プライベートショー「DISCOVER2019」を開催 ~新しい100年へ~

また、今回、美濃加茂製作所の第一工場、第二工場がデジタル統合を果たした。2つの生産拠点のあり方を見直し、「Mazak iSMART Factory」としてスタートする。第一工場を「組立」「管理部品」に、第二工場を「部品加工」にそれぞれ専用化し、IoTやAIの力を活用しながら今後事業を展げていく。最終目標は「生産スピードを1.5倍向上させる」ことだ。新しい100年に向け、就業人口の減少を反映して導入が進むロボットの保守に対する目配りも忘れてはいない。
美濃加茂製作所 iSMART Factory へ進化! 第二工場は部品加工専用に

第一に、コントロールセンタと加工現場をつなげ、すべての加工機械のリアルタイムな稼働環視とアラーム情報等の一元管理が可能になったこと。「Mazak AUTO FLEX CELL」の導入も見られ、多品種少量生産の長時間無人運転を可能にする次世代自動化ラインとして、自動化対応複合加工機「INTEGREXi-450HS」4台と多関節ロボット2基で構成している。AGFL(無人フォークリフト)が長大な「MAZATEC SMS」(自動倉庫機能を備えたパレットストッカータイプの大規模自動化システム)や「MPP」(マルチパレットストッカータイプの自動化システム)の間を往き来し、完成品や治具、工具の自動搬入出を行う光景は実に近未来的だ。また、画像処理による段取り支援システム「SMOOTH PHOTO SETUP」の導入により、段取り時間を大きく削減することことができた。段取りはこれまで加工機の中で行ってきたが、新システムは一度セットされた状態を画像で残し、そのアウトラインを次の対象物に応用するもの。機外で段取りを行うため、機内での加工作業はそのまま停止することはない。生産性向上は目に見えて明らかだ。

第三に、「これがまったく新しい取組み」とするRFID(無線電子タグ)とAGFL(無人フォークリフト)を活用した工場内及び工場間の物流管理と仕掛品の最適化である。RFIDは第一工場にも導入されており、第一第二双方の工場で位置と数量、滞留期間を確認して、個々の部品を適正に配置し、仕掛品の削減を図るものである。部品が適正に配置されていない場合に色分けして知らせるアラーム機能を備え、それぞれの工場内の、あるいは両工場間の的確なデリバリーを約束している。その名を「ID TRACKING PLUS+」という。一方、AGFLは夜間の作業と省人化をねらったシステムで、素材や完成品、切粉を適材適所に搬送するため、今年3月に導入された。現在3台を有し、今後は台数を増やしていきたい考えだ。こうして、第二工場はショールームの役目を果たしつつ、しっかり事業を前進させている。
第一工場はエコ&クリーンな恒温組立専用工場 ZDT on Mazak iCONNECT」がめざすもの

第一工場と第二工場のデジタル統合により、リアルタイムでそれぞれの進捗状況が管理できるようになった。目標は「生産スピード1.5倍向上」、市場の要請に応える。

ファナックとシスコシステムズは2015年、ロボットに対する保守診断機能「ZDT(ゼロダウンタイム)」のクラウド対応を開始した。同年よりマザックもシスコシステムズと工作機械のIoT化に関する協業を進めており、2018年、コネクティッドサービス「Mazak iCONNECT TM」を発表、2019年よりサービスを始めた。「ZDT」と「Mazak iCONNECT TM」はともにシスコシステムズのプラットフォームで構成されていることから、今回機能連携が実現した。
「ZDT」は壊れる前に知らせる予防保全を重視したシステム。壊れてしまってからの復旧コストと作業者負担の観点からも重要である。「Mazak iCONNECT TM」は不測のマシンダウンを防ぎ、仮にマシンダウンが発生した場合でもプラットフォームを通じてファナック製ロボットに「ZDT」の保守サービスを提供する。
テクノロジーのその先へ

今日、ものづくりの現場でIoTやAIをはじめとする新たなテクノロジーが注目されているが、大切なのはテクノロジーそのものではなく、テクノロジーの先にひらけた未来の姿であるだろう。「サンダーバード」も大阪万博も、目指したのは未来であり、人類の幸福だった。マザックも同じ地平を目指す。創業100年。また新しい100年がスタートしたが、「技術で社会や未来に貢献する」姿勢は変わることがない。
(文・写真:ワカバヤシヒロヤ)