オークマ プレス金型の手仕上げ作業を大幅に削減する「MCR-S (Super)」 新発売
オークマは、このほど機械精度の安定状態を自己診断する「精度安定診断機能」と誰でも簡単に空間精度を校正できる「3D キャリブレーション」を搭載したプレス金型向け加
工空間全域高精度門形マシニングセンタ「MCR-S (Super)」を開発し、販売を開始した。
このマシンは、超大型高精度の三次元測定機能を機上で完結し大幅な高精度化、リードタイム短縮を実現するもので、同社は、「プレス金型加工の生産革新を支援していく」と意気込みを見せている。
同社では、開発の背景について、「自動車のプレス金型の製造において、コスト低減、リードタイム短縮は永遠の課題。一方で自動車デザインの多様化・差別化が進んだことによりプレス金型加工には非常に高い形状精度と加工面品位が求められる。磨き・型合わせなど金型の手仕上げ作業に必要な熟練のノウハウが失われつつある中、金型加工のリードタイム短縮と高品位・高精度加工を高い次元で両立させることが求められている。」という認識のもと、大物プレス金型製造では、「加工機から計測機器へのワーク搬送工程や、修正加工が必要な場合の再セッティングなどに多くの作業時間が必要となり、これらは機上計測を行うことで短縮が可能だが、従来の大型加工機における機上自動計測では、室温変化や季節の変わり目で、工場の床面水平度の変化の影響を受け、安定的に信頼性の高い計測結果を得ることが困難だった。」との課題を解決すべく、経験の少ないオペレータでも簡単に広い加工空間の全域を高い精度で維持できる機能を搭載、高い空間精度を安定して有することで、従来のモデルよりさらに高品位な金型加工と高精度三次元計測までも1 台で完遂できる加工空間全域での高精度門形マシニングセンタ「MCR-S (Super) 」の開発に至った。
「MCR-S (Super) 」の特長
(1) 誰でも簡単に機械の空間精度を点検・校正「3D キャリブレーション」
・高精度な機上三次元計測が可能。大物金型の三次元測定機への搬送、測定機での段取り作業を削減、必要に応じてそのまま修正加工が可能。トータルリードタイムを削減。
・年間を通して変化する床面水平度の影響を受ける大型加工機の機械精度を校正。
・精度マスタとタッチプローブで測定し、自動補正することにより、短時間(最短50 分)で校正が可能。校正により2m 四方の空間において11μm(実測値)の精度を実現。
・精度マスタを用いた校正で、異なる機台間の精度ばらつきの低減が可能。
・計測した加工結果と加工時の機械状態を紐づけて記録でき、加工改善の分析を容易化。
(2) 空間補正技術と熱変位制御技術「サーモフレンドリーコンセプト」の融合
・各軸の6 自由度誤差(X 軸・Y 軸・Z 軸方向の3 つの動きに、さらに各軸周りの回転という3 つの動きを加えた6 つの動き)を含む空間誤差を、独自の空間誤差モデルを用いて高精度に補正。
・5 万台の販売実績を誇り、AI 技術を活用した熱変位制御技術「サーモフレンドリー コンセプト」により、環境温度8℃変化におけるコラムの倒れ変化量1.7μm/200mm(従来機比1/5)を実現。
・空間補正技術と「サーモフレンドリーコンセプト」を組み合わせることで、加工空間全域での高い機械精度を低コストで維持。高コストな恒温設備は不要。
(3)機械精度の安定度を自己診断、最適状態を機械がアナウンス「精度安定診断機能」
・熱変位制御技術の開発過程で蓄積したビッグデータより構築した独自のアルゴリズムで、床面水平度の変化、機械精度の変化を推定。
・床面水平度や機械精度の安定状態を数値化して見える化。
・加工、計測、校正の最適なタイミングをアナウンス。
・診断結果を当社IoT ソリューション「Connect Plan」を用いて分析可能。工場環境の改善を促進。
3Dキャリブレーション
精度安定診断による床面水平度の見える化