【年頭所感】日本工作機械販売協会/日本歯車工業会/日本光学測定機工業会/日本金型工業会

「ものづくりの発展に貢献していく」
●日本工作機械販売協会 会長 依田智樹

 皆様明けましておめでとうございます。
 旧年中は当協会に対し一方ならぬご厚情と温かいご支援を賜りありがとうございました。
改めて御礼申し上げますと共に本年も引続きよろしくお願い申し上げます。

 さて、昨年は5月1日に元号が「令和」に改まり、新しい時代がスタートしました。
昨年は台風、豪雨、地震等の自然災害が頻発し、被災された方も多く、未だ傷跡が癒えぬ方々もいらっしゃいます。被災された方々へお見舞い申し上げますと共に一日も早い復旧をお祈り申し上げます。これを機に平素からの安全対策・危機管理の大切さを改めて痛感しました。

 経済面では米・中の貿易摩擦、英国のEU離脱問題、中国・インド等の成長市場の景気低迷等を原因として世界的に成長が減速しており、政治面では各国が自国第一主義の色を強め、国際協調の足並みが乱れ、ポピュリズム政権も多く生まれて来ています。日本の工作機械業界は中国の景気停滞等による半導体や自動車への投資の陰りから、内需・外需共に前年比で大きく下がり、一昨年1兆8,000億円超あった受注額が3割以上減りました。

 我々工作機械業界を取り巻く環境は急速に変化して来ています。自動車業界ではCASE関連の新技術対応への流れが進んでおり、電池、モーター、インバーターなどの需要が拡大し、今後は軽量化された素材の活用も増えると予想されます。また人手不足を背景とする自動化・複合化やAI/IoTを活用した工場の見える化・予防保全等の生産性向上のニーズが今後益々高まると予想されます。更に、切削加工だけでなく今後は積層造形(Additive Manufacturing)の需要も拡大して来ると予想されます。我々日工販会員各社はこうした時代の変化を捉え、ユーザーのニーズを掴んで的確な対応をして行く役割を担っています。

 日工販は今年創立50周年を迎えます。正会員・賛助会員のネットワークを強化し、日工会をはじめとする関係諸団体並びにメーカー各社との連携を密にして日本のものづくりの発展に貢献して行くのが日工販の使命です。その為に営業マンのレベルアップの為の教育事業に各種プログラムの一層の充実を図って引続き注力して行くと共に、各種情報の提供や機械メーカー様との情報交換や交流を更に進化させていきたいと考えておりますので引続きのご指導とご支援をよろしくお願い申し上げます。

 最後となりますが、本年が皆様にとって明るく素晴らしい年になりますことを祈念致しまして、年頭のご挨拶とさせて頂きます。 

「年頭にあたり」

●日本歯車工業会 会長 栄野 隆

 新年おめでとうございます。令和2年(2020年)の年頭にあたり、一言ご挨拶を申し上げます。
 旧年中は私ども日本歯車工業会の事業運営に格別のご支援、ご協力を賜りまして、厚く御礼申し上げます。

 昨年を振り返りますと、上半期より受注、生産状況に下降気味の傾向が表れるなど変調を来し始め、通年でも重い足取りに終始するのではないかと危惧されます。言うまでもありませんが、大国間の貿易摩擦の長期化が世界経済に影響を与え、ますます不透明な経営環境に変化しております。将来の事業展望に備えるための設備投資環境も下振れする等失速気味の中、先行きの舵取りには状況変化の注視と、俯瞰し目を凝らす経営が求められる年明けになりました。2020オリンピックイヤーは上向く年という期待を込めて、明るい回復の年になるように祈っているところです。

 さて、弊会は今年、「国際競争力強化を視野に事業推進」「会員にとって魅力ある企画の実行」「次世代経営者・技術者育成事業」を柱として事業展開して参ります。

 グローバルに広がるビジネスを見据えて、弊会ならではの分野として、新技術による歯車製品の品質向上に寄与する鋼材品質評価法他の規格整備と国際感覚豊かな技術者の育成事業が進行中です。又、次世代若手技術者や経営者による歯車業界の活力を高めるひとづくり、教育に引き続き注力して参ります。

 第一は、あらゆる分野の“物づくり”を支える、基幹産業としての歯車製造の国際競争力強化を重視した施策を継続して展開します。弊会は1938年に会員企業の技術水準の向上と経営の安定発展を目指して創立された、80年余の歴史を積み重ねた団体ですが、満足することなく、長期的な視点に立ち「ISO国際規格を視野に入れた標準化」、次に「海外の関連企業の最新動向の調査」、又、各会員企業の経営戦略に生かして頂くための具体的な人材、設備調査等を含めた「様々な機会のご提供を主旨とした経営研修会等」の事業を毎年の恒例企画として継続開催して参ります。

 第二は、人材教育の包括的な取組みです。「組織は人なり」という経営の根幹に関わり、業界を元気にする仕掛け作りは未だ道半ばですが、その道筋が次第に見えてきたところです。すなわち、歯車技術教育のギヤカレッジは開始以来15年、受講者数600名を超えて、業界関係者の幅広い評価を頂き、盛況のうちに事業が進んでおります。一方で、経営者育成の観点での若手経営者研究会も2年目を迎え、将来世代の若手技術者、経営者のネットワークづくりの力強い一歩を踏み出しました。いくつかの試みを同時進行させて、業界の活性化に役立てることができれば、それが日本歯車工業会の大きな役割につながるものと期待するところです。

 第三は、鋼材に起因する製品事故ゼロを図る試みとして、歯車用鋼材の品質評価法の活用を図るべく、日本歯車工業会規格を制定する準備を着々と進めております。歯車製造者が、従来評価が難しかった鉄鋼材料に起因する適・不適判定を、歯車用鋼材の弊会独自の規格に基づいて、自ら評価頂けます。業界の競争力強化にもつながるものと確信しております。

 弊会は引き続き歯車産業ひいては日本の機械産業の発展を願い、皆様のお役に立てる工業会をめざし努めて参りたいと存じます。皆様方の温かいご協力をお願い申し上げます。
今年が皆様にとって良い年になりますよう祈念申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。

「さらなる企業価値向上の実現へ」
●日本光学測定機工業会 会長 浜田智秀

 明けましておめでとうございます。平素より関係者の皆様には日本光学測定機工業会の活動にご理解とご支援を賜り心よりお礼申し上げます。

 当工業会は昨年11月で60周年となり新たな気持ちでこの新年を迎えております。「所有する」から「必要な時に利用する」サブスクリプションやリカーリングビジネスなどへの事業形態の変化が更に進む年になるだろうと考えています。技術分野においては、5Gへのシフトが始まっており、至るところでデジタルトランスフォーメーションが加速の一途をたどっています。それらを繋げるIoTなどのプラットフォームは既に無くてはならないものとなってきており、AIの応用も日々身近なものとなってきました。これらを支える電子機器の需要は、ボラティリティこそあるものの今後益々増える方向へと進んでいくのは間違いありません。

 世の中のこの大きな変化に対して、電子部品やデバイス分野では高度な技術だけでなく、高い品質が求められます。技術革新のスピードがどんどん加速していく中においては、利用したい時に利用できないのでは大問題となります。品質を支えるためにはリアルタイムに多くの計測を可能とする光学測定技術が核となり今後その重要性も益々高まっていくと考えています。

 一方、モノづくりそのものに目を移しますと、その手法自体は大きく変わってきています。種々雑多な材料を前提とした多品種少量製品へ適用するための3Dプリンターなどが生産へ寄与する領域の拡大が顕著となっています。このようなアディティブ・マニュファクチャリング領域に於いても最終部品・製品の高品質を保証することが重要となっています。形になれば良いのではなく、目的とする機能・性能を安定的に実現することが求められます。

 過去より度々繰り返される品質問題はより顕在化する可能性があり、歩留り向上やコストダウンといった狭義での品質保証の領域を遥かに超え、問題を起こした製品の評価を単に下げるだけでなく、企業価値そのものを大きく毀損させるリスクがあることを強く認識しておく必要があります。

 当工業会では見えないものを見えるようにするだけでなく、定性的なものを定量化できるよう活動を続けております。光学測定機が得意とする可視光領域に加え、近赤外や紫外線、更にはX線などの不可視光を使用することによってこれまで検出困難であったものを数値化し、更に高速かつ大量な計測データを瞬時に取得することを可能としており、これまで見逃していた現象・事象の把握だけでなく評価方法の確立をも推し進めてきています。加えて、検査・測定・計測の自動化、省力化をなお一層進化させ、製品・部品の良否判定だけでなく、スピードディに工程改善へのフィードバックなどを可能とし更なる高品質をも具現化します。

 人間の恣意やバラツキ、不確かさの入る余地がない品質保証、信頼性、ひいては安全、安心を実現する世界へ向けて今後も新たな提案を継続していき、皆様の企業価値向上に繋げるためのお役に立てると確信しています。厳しい競争に勝ち抜き社会へ貢献する企業の皆様と共に、更に成長するため精進して参ります。

 劇的に変わりゆくこのような時代にめぐりあえたことを幸せだと感じ、産業の発展へ寄与できることをこの上ない喜びと考えております。これまで以上に関係各位の皆様との連携を深め、皆様方の課題解決を進めるだけでなくイノベーションへ寄与できるよう取り組みます。

 ダイナミックでスピード感のある大きな時代変化の流れの中、それに呼応する形で、光学に基づく切り口での非破壊・非接触型測定機を主としたリアルタイムな光学測定技術を深化させ、あらゆる課題を見える化・顕在化させることによって素晴らしいモノづくり、コトづくりを実現してゆきますので、今年もよろしくお願い申し上げます。

「金型産業界の将来展望は人材がカギ」
●日本金型工業会 会長 小出 悟

 令和2年の新年を迎えるにあたり、会員の皆様を始め関連官公庁、関連団体の皆々様に謹んで新春のお喜びを申し上げます。
 
 新元号がスタートし皇室行事もスムーズに執り行われている中での令和の時代2年目となる本年はオリンピックイヤーでもあり、表面的には華やかな年となるのでしょう。しかし、社会情勢的には見通しのきかない状況が続くものと思われ、とくに世界経済環境面で見ると不安定感がさらに膨らむようにも思えます。一方では新時代に即した新技術の開発が進み大きな進歩が見られるだろうと期待も膨らむところであります。そのうねりの中で一つにはIoT、AI、ロボットなどの新技術の具体的な取組事例などの検証を行いながら、新時代の金型に対応する研究と市場の開拓、また、そこから見えてくる新しい協業ビジネススタイルや新しい組織論の具現化に向けた検証も進むものと思われます。

 そのためにも2020年度は「令和の新金型産業ビジョン」を整え、会員の皆様の将来の目指す目標作りの一助として、一社一社にできるだけ即した参考事例を掲げられたらと考おります。皆様からもさまざまなご意見を吸い上げさせていただきながら進めて参りたいと思います。

 金型産業界の将来展望は、各社の将来発展も未来をしっかり見据え想像し、目標を立て進めて行く人財がカギとなります。その人財の確保・育成というものは日本金型工業会にとっても主テーマであるといえ、まさにマスター認定制度のさらなる充実が期待されるところであります。昨年第二期生のマスター認定者を輩出し、さらには一期生の中より新たに誕生させたシニアマスター認定者の19名の存在と活躍は、今後大いに期待できるところであります。ただそれを待つのではなく、各社が積極的に社内改革のために彼たちの力を試し、育てていただき、当工業会全体のレベルアップに寄与していただくことを期待します。その活躍の場の提供にも渾身の力を込めた努力が当工業会としても必要であると感じます。

 昨年は型取引の適正化推進協議会に参加し、意見具申をさせていただいた結果、型代金回収に付き契約時の前金制度の導入、さらには検収という概念ではなく金型納品という考えでの残金全額支払いという画期的な決議事項を勝ち取ることができました。これまで諦めずに長き期間交渉を続けてきたことに対しての成果であると、つくづく継続こそ力であると痛感いたしたしだいです。しかしながらここからが本当の勝負であり、従来の取引慣行を一新するべく金型工業会が一体となり、見積作成時や、契約を交わす時点での必須事項の照会から、納品後の最終的請求から回収にいたるところまでの注意点などを簡略にまとめた手引書のようなものも準備できればと考えております。

 このことだけでなく、まだまだ産官の密な連携により改善できることがたくさんあると思いますが、前述した通り長い時間を必要とすることも事実です。諦めず訴えながら自らが少しずつでも改革の道を推し進める、その努力が必ずいつかは社会をも動かすことになります。そのような心がけで今後も邁進いたしますので宜しくお願いいたします。

 本年は全体として低調な中での一年のスタートとなりましたが、昨年のラクビーに見たさわやかな中にも絶対に負けないという強い信念と、全身を惜しみなく使い気持ちよく燃え尽きたことが、未来へ確実につながる何かを民衆の心に残した、そんな生き様をするときが来たようです。将来の種を蒔き育て未来につなげる活動はまさに「ワンチーム」にならなければできないことです。会員企業の皆様のお力添えはもとより、関連官公庁、関連団体の皆様のご協力も得ながら、着実に進めていく所存ですので、皆様のご理解ならびにご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げ、年頭の挨拶とさせていただきます。

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