年頭所感(日本工作機械輸入協会/日本フルードパワー工業会)

地球温暖化対策としての「省エネ技術」・「水圧技術」等の開発は喫緊の課題
●日本フルードパワー工業会 会長 宮内壽一

新年明けましておめでとうございます。
平成24年の年頭に当たり一言ご挨拶を申し上げます。
昨年3月の「東日本大震災」に加え「東電福島原発事故」の発生から一時は大混乱したわが国の経済環境は、「超円高問題」・「エネルギ―問題」・「海外経済の下振れ問題」等の課題はあるものの落ち着きを見せており、成立した第1次・第2次及び本格的な第3次の補正予算の早期成立・執行により、被災地における遅れ気味の復旧・復興を促進し、一日も早い経済環境の好転を図ることが望まれます。

ところで昨年のわが国の経済は、年初より比較的堅調に推移しておりましたが、3月の「東日本大震災」と「東電福島事故」の発生により、サプライチェーンが寸断された産業界は大きな打撃を受け、また、「東電福島事故」に伴う「電力危機」も加わり、わが国の経済環境は、未曽有の危機に見舞われました。こうしたなかで被災地はもとより、いち早く復旧・復興計画を進めた産業界の努力により7月頃より立ち直りの気配を見せた景気は、この夏、日本全体に広がった「節電要請」も何とか乗り切り、その後は明るさも見え始めておりました。事実、11月に内閣府が発表した本年7‐9期の実質GDP速報値は、前期比1.5%増で年率換算では6.0%増と4四半期振りにプラス成長を遂げました。しかしながら直近の日銀の景気判断は、欧州の債務問題を大きなリスク要因と見て「景気は持ち直しの動きが続いているものの、海外経済の減速の影響などから、そのペースは緩やかになっている」とトーンダウンさせております。

こうしたなかで私どもの業界動向を見ますと、昨年前半の出荷状況は比較的堅調に推移しましたが、10月以降一部に鈍化傾向も見られる等厳しさが増してきております。私どもの会員企業においても下期の業績予想を下方修正する等厳しい対応を取っております。これは欧州における債務問題や中国をはじめとする新興諸国の経済の低迷さらにはタイにおける洪水問題等「海外経済の下振れ」に加え高止まりしている「超円高問題」今後の「エネルギー問題」などに起因しており、先行きの経済環境を見るとき不透明感は払拭できず今後とも慎重に対応する必要があると考えております。

一方、先に政府においては、懸案であったTPP交渉に参加する旨決定し、各国との交渉に入ることとなりました。カナダ・メキシコも参加を表明するなど発展する環太平洋諸国の需要を取り込むためにも早期の協定参加が望まれます。さらに今後の経済環境を見ると、平成23年度の補正予算の早期執行や平成24年度予算の年度内成立等適切な経済運営が望まれるところです。
フルードパワー業界は「モノづくり」を支える重要な産業であり、今後とも大きな成長が期待されております。グローバル化への対応や地球温暖化対策としての「省エネ技術」・「水圧技術」等の開発は喫緊の課題です。また、業界としては厳しい経済環境のなかでも健全な競争と協調のなかで共に発展してゆくことが望まれます。

いずれにいたしましても各需要業界の皆様方には更なるご支援、ご鞭撻をお願い申し上げ新年のご挨拶とさせていただきます。

新しい需要分野に対応した輸入工作機械の導入を図り日本のものづくりに貢献
日本工作機械輸入協会 会長 千葉 雄三

平成24年の年頭にあたり、謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
旧年中は、当協会の事業活動にご支援・ご協力を賜りまして誠に有難うございました。

平成20年秋のリーマン・ショックによる世界的不況からようやく抜け出して、本格的な景気回復に入りかけた平成23年3月の東日本大震災によって、日本経済は大きな打撃を受け、更に、歴史的な円高、欧州の財政危機、タイの大洪水が追い討ちをかけて、停滞感と不透明感を増しました。 
しかしながら、アジアにおける堅調な需要により日本の工作機械メーカーの受注額は、日工会の発表によれば、昨年10月末の時点で前年同月比で40.2%増となる1兆982億円に達し、年初に予想した年間受注額1兆1千億円を大幅に上回る1兆3千億円超になった模様です。内訳は概ね、外需が9千億円(69.2%)、内需が4千億円(30.8%)程度とされています。

一方で、円高、電力不安、高い法人税、経済連携協定(EPA)への取組みの遅れなどから、日本企業の海外展開が加速されており、日本のものづくりの空洞化が問題となっています。
そのような背景から、円高基調が輸入工作機械の販売に追い風とはならず、輸入統計数値にはまだ受注回復の兆しはありません。

昨年1年間のドライエッチングマシンを除く切削型工作機械の輸入額は、1月から10月までの輸入通関金額累計から予測して、前年比約41.5%増の434億円程度になったと思われ、過去最高であった平成18年の輸入額770億円から43.6%減少したことになります。
一方で、測定機器・検査機器を除く、コンポーネント機器・工具・ホルダー等の周辺機器の受注は、いずれも過去のピーク値の90%程度まで回復しました。

昨年の9月には、ドイツ・ハノーバーで開催された「EMOハノーバー2011」へ、例年のように輸入促進ミッションを派遣し、各国の工作機械工業会およびメーカーとの交流を図ってきました。3年ぶりに復活した「工場見学コース」には19名が参加して、ドイツ・ミュンヘンとチェコ・プルゼンの工作機械メーカーを訪問いたしました。また、輸入協会の活性化を図るために「企画委員会」を再構築して、会員企業から約20名の企画委員が参加して毎月1回の企画委員会を開催して、会員同士の相互理解と親睦を深めるべく活動しています。

今年は、9月10日(月)から15日(土)まで、シカゴショー「IMTS2012」が開催されます。今年も恒例の輸入促進ミッションを派遣して、最新技術を活用した工作機械と周辺機器を発掘することにしていますので、多数の皆様にご参加いただきたいと思っております。
また、国内最大のイベントとして、11月1日(木)から6日(火)まで「JIMTOF2012」が開催されます。
今回は会員企業から過去最多となった「JIMTOF2008」に次ぐ537小間の出展申込みがあり、輸入工作機械の復活に対する会員各社の意気込みが伝わってきます。
 
厳しさの続く市場環境において、当協会は新しい工作機械の需要分野とされるエネルギー・医療・環境対応・航空宇宙関連産業における加工方式に対応した、優秀な輸入工作機械と周辺機器を発掘してその導入を図ると同時に、海外メーカーと一体になったサービス体制を構築することによって工作機械の輸入拡大を図り、バランスのとれた業界の発展と日本のものづくりに貢献できるように努力していく所存です。

最後に当協会の会員各位ならびに業界関係者の皆様にとって、今年が最良の年となりますように祈念して新年のご挨拶とさせていただきます。             

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