「企業価値を高める!」 DMG森精機  2019年12月期(1~12月)連結決算

説明をする森社長(写真左)
説明をする森社長(写真左)
 DMG森精機(社長:森 雅彦氏)は、2019年12月期(1月~12月)の連結決算を発表した。

 当期における連結業績は、売上収益4,857億78百万円(前年同期5,012億48百万円)、営業利益373億39百万円(前年同期362億61百万円)、税引前当期利益314億51百万円(前年同期312億75百万円)、親会社の所有者に帰属する当期利益179億95百万円(前年同期185億17百万円)となった。なお、当期の利益配当金は、1株当たり年間60円(前期50円)を実施する。

 当期の受注額は、4,094億円で前年同期比23%減となった。一方で、5軸・複合加工機など工程集約を目的とした機械の構成比が64%まで向上し、あわせて自動化・デジタル化が進展したことから1台当たりの受注単価は前年度に比べ6%上昇した。また、機械復旧サービス、補修部品の受注額は堅調に推移し3%増となった。

 地域別では、前年度まで好調に推移した反動から、日本が前年同期比42%減、米州は同27%減、中国を含むアジアは同29%減となったが、53%を占めるEMEAは同16%減と比較的減少幅は軽微にとどまった。産業別には、航空機・医療関連・金型業界向けが比較的堅調に推移した。2018年半ば以降大きく落ち込んでいた半導体製造装置業界向けは漸く引合いが増加しており、今後の受注増へ期待がもてる。一方、自動車関連業界向けは、自動車需要が調整局面にあること、技術変化への見極めを進めていることなどから弱含みの状況が続いている。

 同社の事業戦略については、工作機械が使用される製造現場では10年ごとに飛躍的な技術革新が起こっており、同社は、新時代の技術要求に応えられる生産設備を顧客に提供すべく、5軸・複合加工機やアディティブマニュファクチュアリング(積層造形技術)機をプラットフォームとした自動化・デジタル化の促進を掲げている。5軸・複合加工機によって生産工程が集約されることで、搬送や計測の自動化の需要が高まり、その帰結として、デジタル技術を活用したセンシングやAIを用いたデータ解析が進み、そこから学習された結果が工作機械本体の更なる高性能をもたらすという好循環を生み出す。そしてアディティブマニュファクチュアリングは、従来の切削加工では不可能だった複雑形状や軽量化を実現できる点で、導入した顧客にとって新たなビジネスチャンスとなる。同社には、テクノロジーサイクルやDMQP(DMG森精機認定周辺機器)などの取組みを通じてこれまで蓄積してきた、加工技術や周辺機器に関する豊富なノウハウがあり、こうした知見を強みに上述の好循環を加速化し、工場全体の稼働率を向上させるトータルソリューションプロバイダーを目指していくという。

 一方同社では、社員が自律的に自身の時間をマネジメントし、心身ともに充実した生活を送ってスキルアップできる風土を重視しており、“よく遊び、よく学び、よく働く”をモットーに掲げている。2020年も総労働時間の上限を見直し、全社員が定められた在社制限時間内で効率的に働きつつ、全社をあげたTQM活動による業務の本質的改善や新規システムの勉強などを進めている。環境保護の取組みとしては、ドイツではCo2-Neutralをめざした活動を始めており、日本でも太陽光発電の利用や緑化政策、バイオマス発電の研究を進めている。さらに、将来の工作機械産業の発展のための優秀な人材の育成支援をとして、森記念製造技術研究財団を通じた博士課程の学生への給付型奨学金の支給を行っている。同社は、グローバルにステークホルダーを持つ企業として社会的に求められる責任を果たし、持続可能な発展によって継続的に企業価値を高めていくという。

 次期の見通しについては、受注の微増を見込んでおり、開発・製造・販売・修理復旧の各分野での活動を通じ、さらなる企業価値の向上に努めていく。その通期業績(連結)予想は、売上収益4,000億円、営業利益200億円、親会社の所有者に帰属する当期利益85億円を見込んでいる。また、次期配当金についても、1株当たり年間60円の配当を予定。なお、米ドルレートは110円、ユーロレートは120円を想定している。

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