岡本工作機械製作所「2019年度 PSG会東部支部連絡会」を開く
岡本工作機械製作所(社長=石井常路氏)が、2月7日、横浜市内の新横浜国際ホテルマナーハウス南館で「2019年度 PSG会東部支部連絡会」を開いた。同社の現況報告のほか、『研削革命 ~ラインナップと超精密への取組み~』、『研削革命 ~高能率への取組み~』、『研削革命 ~丸物・自動化への取組み~』がそれぞれ説明されか第二部は、毎度人気を博している伊藤 暁取締役技術開発本部長の特別講演もあり、盛り上がりをみせた。
SHINKA(深化・進化)へ向けて
中期経営計画について石井社長から説明があった。その中で石井社長は、「弊社は研削盤のリーディングカンパニーとして創意工夫した機械を市場投入しているが、今後はそれに加え、AI、IoTの技術を加えた新しい研削盤を投入していく。2019年に3月に全中期経営計画『Mission GX2019』を終了した。目標売上高は320億、営業利益8%、25.5億に対し、売上は361億、営業利益10.9%の39.3億円と大幅に目標を超過できた。さらなる飛躍を目指して、2022年3月期を最終年度とした新しい中計、3カ年の『SHINKA2022』を昨年6月に発表した。売上の目標はほぼ横ばいの380億円、営業利益は46億円を目標とし、景気の変動に左右されず安定的に利益ができる企業を目指したい。」と意気込みを見せた。具体的には、国内工作機械、海外工作機械、半導体関連装置、歯車・鋳物(いもの)事業の4つの事業セグメントを有効にしながら安定した収益を確保できる企業になる――とし、その実現のための3大戦略は、①顧客ライフバリュー強化、②グローバル戦線の拡充、③ものづくり改革とした。
石井社長は「どのような環境でもしっかりした収益を確保できる企業に進化を図るべきだろうということで、新中期計画の名前も『SHINKA』と名付けた。お客様に工作機械をただ提供するB to Bの関係からB with Bの関係に強化していきたいと。」と思いを滲ませた。
また、同社では、サービス体制の拡充に努め、顧客の要望に合う教育支援の展開、保守・メンテナンスサービスの開発に注力するため、カスタマーサービス担当部署を本部制に格上げをした。サービス人員の増強、アフターパーツのリードタイムの短縮、そして保守・メンテナンスサービスの強化に努めていくとしている。
グローバル戦線の拡充については、世界のポテンシャル市場を見極め、製品別、エリア別の販売戦略を再構築し、それぞれのエリアの市場性やニーズ、タイミングを見極め、適切な機種を投入していくためのリサーチ機能の強化、高付加価値の高い機種の拡販のための、アプリケーションエンジニアの拡充を図っていく考え。また、生産性が期待できるインドにも今年は進出するとした。
ものづくり改革については、本社安中工場、タイ、シンガポール、新たに開設した中国の4つの生産拠点を使い、それぞれの工場の適性化を図りながら機能の検証を高め、高い技術を保持し、生産地の直送体制を強化していく考え。
EV化により研削盤の需要は増
第二部の懇親会であいさつに立った渡邊哲行常務は、「今後研削盤の工程について2つの流れがある。1つは自動車。今までガソリン車の場合は、ガソリンエンジンの自動車部品とか直接研削盤で加工する部品は非常に限定されていた。特に平面研削盤で自動車部品を削ることはほとんどなく、限られた部品である。それが電動化になってくると、モーターがある。モーターにはステーターとローターがあり、これらは全てプレス部品で作られている。日本各地でモーター関係をやられているところがどんどん設備をしている。日本だけではなく、欧米やアジア圏にもかなり大型の研削盤が入っている。また、自動運転が増えてくると車の中にセンサーやカメラモジュールも増加する。かなり高性能な金型が増えているので、EV化により研削盤の需要が増えるだろう。」との見方を示した。またトレンドである5Gについても触れ、「5Gが増えると半導体製造装置は間違いなく増えてくる。半導体製造装置協会は2021年、22年が一番ピークになると見通しを立てている。」と述べ、「新しい技術がこれからどんどん出てくる。私どもとPSG会各社様の情報を共有化して、情報をいろいろ取り交わしていただければ幸いである。」とあいさつをした。
上大迫 顕基 山善 機械事業部 副事業部長の乾杯の発声で開宴し、宴もたけなわのころ散会した。