アマダスクール 「第 32 回優秀板金製品技能フェア」の受賞作品を選出
職業訓練法人アマダスクール(理事長=末岡愼弘氏)は、このほど「第32回優秀板金製品技能フェア」において、優れた技能・技術で作られた板金(薄い金属製の板)作品を選出した。選考は日本塑性加工学会会員、シートメタル工業会役員や各審査委員のほか、選考期間中にアマダ・ソリューションセンター(神奈川県伊勢原市)を訪れた来場者で行われ、その結果、応募総数296点の中から技能賞以上の優秀作品77点が選ばれた。今回は、令和最初のフェアとなり、新たな時代の幕開けに相応しく、国内外ともに応募数が過去最多を記録した。厚生労働大臣賞ならびに経済産業大臣賞においては、初出品の2社が初受賞し、海外からはブラジル、南アフリカから初めての出品があった。全体では、複雑な形状や難しい加工に挑戦して加工技術をアピールする作品が特に目立だった。
主な受賞作品は以下の通り。
厚生労働大臣賞
作 品 名:サンプルジャケットタンク
受賞会社:(株)門田鉄工〈愛媛県〉
【作品説明】 同作品は、食品向けの実用調合タンクや圧力容器として利用される2重のジャケット構造の容器で、出展用の作品として、卓上の小型版としたもの(小型化したことで、溶接や組み立てが格段に難しくなっている)。
【評価視点】 圧力容器としては、板の表裏一体化した溶け込み溶接が重要なポイントと考えられるが、胴体部分の高精度なR曲げ加工と裏波溶接後のビードカット、バフ研磨の仕上げ工程でも板厚減少を最小限に留めている。また、ミニチュア版にすることで、容器内側の小径ノズルの難しい溶接も上手に処理されており、スケールダウンすることによる難易度の高い加工に挑戦している。2重構造のため、内槽からつながるノズル部や、ジャケット外面の上部には内外槽間の3次元のシールカバーの板が必要であるが、単なるプレスブレーキによる曲げ加工ではなくロール成型を駆使した複合R加工を行い、滑らかな接続面を形成している。これにより内外槽間のシール溶接をし易くしている。これらの難易度の高い高度な加工技能、品質が高く評価された。
経済産業大臣賞
作 品 名:センターカバー
受賞会社:(有)小緑製作所〈滋賀県〉
【作品説明】 同作品は除雪用のドーザーの先端部分に取り付けられている高さ約1m、板厚9mmの大型パーツ。このセンターカバーの両サイドには独立で旋回するブレードと呼ばれる部品が雪を掻き出す。このブレードとセンターカバーのすき間は、雪の侵入防止とブレード可動を両立するため、最小限のすき間精度が要求され、高精度なカバー製作技術が必要。
【評価視点】 これまでの制作方法は4分割されたセンターカバーの部品を溶接でつないで製品にしていたが、加工上のバラツキもあり、溶接時の矯正作業が生産性を低下させ、製作日数の長期化や高コストの要因となっていた。そこでレーザ加工による簡易積層金型の製作と、3次元測定機による製品検査と金型修正による試作を繰り返し、エアベンド下での安定した精度の一体プレス成型加工実現した。この新しい工法の開発により、大幅な加工時間とコストの削減を達成した点が高く評価された。
●神奈川県知事賞 (株)荏原精密〈神奈川県〉
作品名:観覧車
●日刊工業新聞社賞 (株)テラノセイコー〈新潟県〉
作品名:パイプスクリュー
●中央職業能力開発協会会長賞 (株)西野清輝製作所〈茨城県〉
作品名:水の漏れない折りたたみカップ
●日本塑性加工学会会長賞 (株)佐藤医科器械製作所〈滋賀県〉
作品名:ねじりパイプ改
●海外最優秀作品賞 大连开泰隆设备有限公司〈中国〉
作品名:Light Shell