日立建機 溶接作業をデータで見える化 ~2020年度より訓練システム開発に向け実証実験を開始~
2020年05月19日
日立建機は、 溶接作業における熟練技能者の技能を若手技能者に効果的に伝承するため、複雑な作業を定量的なデータで見える化する計測技術を開発した。今年度より、計測技術を元にし、溶接技能教育で活用するための訓練システム開発に向けた実証実験を開始する。
建設機械の主要部品は、鉄同士を溶接した製缶構造物の比率が高く、品質の安定化と生産性向上の観点から、溶接ロボットによる自動化が積極的に進められてきた。その一方で、構造物の用途や負荷条件を踏まえた溶接方法の検討や、強度を保つための仕上げ・補修などの工程では、目視での判断を含め、人の手による高度な技術が必要である。また、建設機械を含む製造業では、熟練技能者の高齢化や人手不足などから、若手技能者への技能伝承が課題となっている。
現在、日立建機グループにおける技能教育では、若手技能者は教官である熟練技能者の模範作業を実際に見て真似ることからはじまり、訓練を積み重ねて溶接技能を習得している。教官は、若手技能者が作業した溶接部を見て口頭によるアドバイスを行っている。溶接作業には複雑で繊細な動作も多く、作業者の経験や感覚に左右されることも多いため、習得する技能には個人差が生じやすくなる。そこで同社研究開発グループの協力のもと、溶接作業の 過程を定量的なデータで見える化する計測技術を開発した。2020年度より、若手技能者と熟練技能者の技能を比較しながら、より効果的な技能教育を行うための訓練システムの開発を進めるための実証実験を行う。
溶接技能の計測技術(左)と、訓練システム開発に向けた実証実験イメージ(右)