金型加工特集 「切削工具・周辺機器」編


 
 高付加価値商品の自動車やデジタル家電などを生み出すための基礎には品質の高い金型製作が必要不可欠である。金型の善し悪しが商品の品質を左右するのだから金型メーカーが大きな使命を背負っていっても過言ではない。ところが、現在、労働時間の制限や作業者の不足といった悩ましい現実に直面しつつ、仕事量が増えても短納期やコストダウンの要求が厳しい現状がある。これらの課題を解決しつつ、経済効果を上げるための〝金〟を生む〝型〟の製作において利益向上の鍵を握るのは、ものをつくるモト―――すなわち、「工作機械」、「切削工具・周辺機器」などの設備である。

 前回の工作機械編に引き続き、「切削工具・周辺機器」編を掲載する。
 (イスカルジャパン、イワタツール、オーエスジー、キタガワ鉄工所・キタガワグローバルハンドカンパニー、住友電気工業、タンガロイ、大昭和精機、ダイジェット工業、日進工具、不二越、ブルーム-ノボテスト、MOLDINO、ユキワ精工)

多様なヘッドが1本のホルダーで使用できる「マルチマスター」
●イスカルジャパン

 多様なヘッドが一本のホルダーで使用できる先進のヘッド交換式エンドミル「マルチマスター」(MULTI-MASTER)を好評発売中のイスカルジャパン。この商品は、ねじ込み締結方式(精密な研削ねじ部、テーパー部と端面での強固な二面拘束)の採用により、簡単迅速に機上でヘッド交換が可能で加工時間を短縮できるメリットがある。

 また、機械稼働率の向上により加工コストの削減を大幅に実現。優れた加工性能と高能率/利便性により超硬ソリッドエンドミルとスローアウェイ工具の利点を兼ね備えている。一本のホルダーに形状の異なる様々なヘッドを取り付けることができるので、工具管理本数も大幅に削減することができる。ヘッドは、多種多様なヘッド形状、イスカル独自の研削シャープ切刃タイプとユニークな金型成形タイプをレパートリー。

世界初の高硬度用深穴穴あけ工具「トグロン ハードロングドリル」
●イワタツール

 イワタツールの世界初の高硬度用深穴穴あけ工具「トグロン ハードロングドリル」はHRC40~75焼入鋼に20D以上の穴加工を実現するもので、金型のエジェクタピン穴加工をはじめ、ワイヤ放電加工のスタート穴、部品加工においても精度向上や工程短縮が可能になるとして、高い支持を集めている。

 なお、同社では、他にも切れ味、面粗度、精度と仕上がりの美しさにこだわった売れ筋No.1の「SPセンター」に加え、面取り加工に特化することでコスト低減と加工スピードアップを両立した「トグロンマルチチャンファー」と、アルミ・樹脂・真鍮に最適な「トグロンシャープチャンファー」など豊富な〝トグロンシリーズ〟に要注目だ!

〝Aブランド〟待望の新製品 高硬度鋼用超硬ボールエンドミル「AE-BM-H・AE-BD-H・AE-LNBD-H」
●オーエスジー

 金型加工に優位性を発揮するのは、Aブランド高硬度鋼用超硬ボールエンドミル高能率型4刃「AE-BM-H」、高精度仕上げ用2刃「AE-BD-H」、2刃ロングネックタイプ「AE-LNBD-H」。特長は、高いボールR精度で高硬度鋼向け超耐熱性・高じん性の革新的デュ―ロレイコートを採用していること。デューロレイコートはSiC含有の超耐熱層と超微細ナノ周期積層構造により、高い耐熱性と耐摩耗性を有しつつ、優れたじん性を発揮。「AE-BM-H」は強スパイラル形状で切削抵抗を低減し長寿命の安定加工を実現。先端部中心の2枚刃で平坦部加工時むしれを抑制し加工面精度を向上し、優れたボールR精度で荒から中仕上げまで適応が可能だ。また、不等分割でびびり振動を抑制するのも嬉しい。「AE-BD-H」は可変ネガスパイラルギャッシュで、先端部は強ネガでチッピングを抑制、外周部に向け弱ネガで切れ味を確保しつつ弱ねじれと組み合わせ、耐チッピング性を向上している。優れたボールR精度とシャンク精度に加え、コーティングの平滑化で加工面精度も向上した。

コンパクトでパワフルなNC円テーブル「MKシリーズ」
●北川鉄工所 キタガワグローバルハンドカンパニー

 コンパクトでパワフルなキタガワのNC円テーブル「MKシリーズ」は、クラス最高のスペックを小さなボディに凝縮し、強力クランプトルクと許容切削トルクの高い大径ウォームホイールで余裕の加工を実現する。同社の薄型テールスピンドルとセットで治具スペースを確保でき、より広い加工エリアを実現するのもメリットのひとつ。MKシリーズの取り付けには、上からボルトで留めるだけの簡単取り付けを採用しているのも嬉しい。クランプ器具が不要のため実効厚み寸法が小さくなり、さらにクランプ部への切粉の蓄積も改善される。コンパクトな内蔵ロータリジョイントは4ポート、5ポート、6+1ポートから選択可能。6+1ポートのセンターポートはマルチパーパスホールで、クーラント用や着座確認センサー取り付け用など自由に使用できる。25MPaの高圧用ロータリジョイント(4ポート、6ポート)にも対応し、治具の小型化、動作の高速化が可能だ。

「DA90」と「NPD10」で加工時間を大幅に短縮!
●住友電気工業

写真右「NPD10」左「DA90」
写真右「NPD10」左「DA90」
 金型に用いる超硬合金は一般的に、研削などの技術で加工する。研削における長い加工
時間と加工コストは古くからの課題だったが、この課題を解消するのが同社のスミダイヤ「DA90」とスミダイヤバインダレス「NPD10」である。超硬合金など硬脆材の加工で優れた耐摩耗性能を発揮し、極めて高精度な加工ができるとして注目の商品だ。

 それぞれの優位性だが、粗粒ダイヤモンド粒子を緻密に焼結した多結晶ダイヤモンド材種「DA90」は、ダイヤモンド含有率が高く、超硬合金・硬脆材の粗加工で優れた耐摩耗性能を発揮、設計の最適化などにより従来と同等の性能で優れたコストパフォーマンスを実現する。一方、仕上げ加工ではナノ多結晶ダイヤモンドを刃先に採用した「NPD10」が従来のダイヤモンド工具を卓越する長寿命と加工精度の向上を実現した。「DA90」と「NPD10」で、ダイス金型の粗と仕上げを一貫して加工することにより、これまでの研削加工と比べて加工時間を大幅に短縮する。

驚異的な切りくず排出量を誇る! 超高送りカッタ「MillQuadFeed」
●タンガロイ

 驚異的な切りくず排出量を誇る超高送りカッタ「MillQuadFeed(ミル・クアッド・フィード)」は、主に金型の荒加工用工具として、広く好評を博している。「MillQuadFeed」には、〝ZER形〟と〝UER形〟の2種類のインサートを設定している。

 〝ZER形〟は最大切込み量が大きく、鋼、鋳鉄など汎用的に活用でき、一方の〝UER形〟は切込み角が小さくなり、特に難削材の高能率加工で威力を発揮する。この2種類は、当然カッタボディを共用できるうえ、さらに、今回はインサートサイズを一回り小さくして、小径工具に対応する「09タイプ」を新たに設定した。これによりボディの多刃化が可能となり、他社同等品に比べ1.2倍以上の加工能率を実現している。

あらゆる高精度加工に威力を発揮する「ハイドロチャック」
●大昭和精機

 高い振れ精度で好評の油圧チャック式ホルダ「ハイドロチャック」の特長はOリングを使用しない一体構造。このメリットは、一般のOリングでシールするツーピース型に比べ剛性が高く、安定した精度が得られること。2カ所の油圧室による2点指示と、短い突き出し長さにより一層の振れ精度を向上させている。

 この仕組みにより、仕上げ面の向上と工具寿命の向上を可能にしていることも嬉しい。また、レンチ1本で簡単に締め付け、取り外しも行えるので、煩わしいことがない。「ハイドロチャック」には、干渉対策を極め、スリムなボディで5軸仕上げ加工に最適な「スーパースリムタイム」、チャック端面から刃先に的確な給油ができる「ジェットスルータイプ」、そして注目の新商品、4D先端1μm以下という驚異の振れ精度を誇り、究極のハイドロチャックと言わしめた「スーパースリムUP」がある。

同一インサートで高送り加工と肩削り加工が可能なマルチカッタ「マルチエクストリーム」
●ダイジェット工業

 今回、はホカホカの新商品、同一インサートで高送り加工と肩削り加工が可能なマルチカッタ「マルチエクストリーム」に注目したい。この商品は、高送り加工と肩削り加工のマルチな加工が可能な両面 6 コーナ小型インサートタイプの刃先交換式カッタ。ボアタイプフライス「EXM形」、エンドミルタイプ「EXM形」およびモジュラーヘッドタイプ「MEX形」をラインナップし、新シリーズとして登場。炭素鋼、工具鋼、プリハードン鋼、50HRC以下の焼入れ鋼、鋳鉄、ステンレス鋼の高送り加工および肩削り加工に優れた効果を発揮する。   

 本体は、軸方向切込み量(ap)最大 2ミリの高能率高送り加工が可能な HF タイプと、平面・立壁・隅加工の肩削り加工が可能なSMタイプの2種類をラインナップしている。また、SMタイプ本体には識別用の溝を入れているため、HF・SMタイプ本体の識別も容易だ。

焼入れ鋼の仕上げに特化したCBNエンドミルシリーズに4枚刃ラジアスタイプ「CBNスーパーハイプレシジョンラジアスエンドミルSHPR400」が登場!
●日進工具

 5月下旬に発売を開始したばかりの新商品に注目したい。焼入れ鋼の仕上げに特化して好評を博しているCBNエンドミルシリーズに今回は新しく4枚刃ラジアスタイプ「CBNスーパーハイプレシジョンラジアスエンドミルSHPR400」が新登場。この商品は、切削抵抗を軽減させる新開発の刃形状を採用し、さらなる加工精度・工具寿命の向上を実現するもので、加工精度のレベルアップが期待できる。

 特長は、①新刃形形状により、従来品に比べ切削抵抗を半減、更なる加工精度の安定化を実現、② 極小径の φ 0.1 から 4 枚刃の採用し、微細加工領域でも加工能率の改善を図る。焼入れ鋼(45~70HRC)・調質鋼に威力を発揮し、φ0.1~φ3の全109の豊富なサイズをラインアップしている。なお、シャンク径公差は-0.001mmから-0.003mmの2μm範囲で、超高精度タイプの焼きばめホルダにも対応するのも嬉しい。

アクアREVOシリーズの第三弾! 高性能汎用超硬エンドミル「アクアREVOミル」
●不二越

 NACHIのアクアREVOシリーズの第三弾として、高性能汎用超硬エンドミル「アクアREVOミル」を開発した同社。NACHI独自の技術を結集し、工具の基本要素である“材料”、“形状”、“コーティング”を全て一新し、エンドミル加工に求められる機能を飛躍的に向上させた。硬さと靭性を高い次元で両立したエンドミル専用の超硬素材を新開発し、形状は基準ねじれ角30度の不等分割・不等リードを採用して切削抵抗を低減、加工面に影響するびびり振動を抑制し、安定した高能率加工を実現している。また、新コーティングのREVO-Mコートは、耐摩耗性、耐熱性だけでなく、耐熱衝撃性にも優れ、ウェット加工でも高性能を発揮する。一般鋼からステンレス鋼、高硬度材まで幅広い被削材への対応が可能。

 同社では、「今後も、アクアREVOシリーズのラインナップを拡充し、切削加工に新しい価値を提供していきます。」と元気いっぱいだ。

ワークを機上測定する際の利便性に優れたソフトウェア「フォームコントロール(Ver.4.6)」
●ブルーム-ノボテスト

 自由曲面や傾斜面を持つ金型ワークの品質安定化や製造工数削減に、同社が提供する「フォームコントロール」はワークを機上測定する際の利便性に優れたソフトウェア。仕上げ加工前、追加工前の測定により形状を把握した上で加工を行うことができる。特長の一つはタッチプローブがワークに対して法線方向でアプローチを行える点だ。複雑な形状を持つワークの場合、正確に測定するための最良の方法となる。

 操作はパソコン上で行い、ソフトウェアにCAD/CAMデータを読み込ませ、測定したいポイントを選択することで、自動で測定経路を作成し、マウスでクリックするだけで測定を開始する。オプションとして加工後の自動測定機能も近日発売予定だ。測定結果はグラフィック表示や帳票出力が可能で、機上測定のツールでありながら、三次元測定機さながらの機能を付加搭載することで、品質管理の時間削減のみならず加工の正確性を飛躍的に高めることができる製品。

ダイカスト金型などの荒加工に耐えうる工具剛性! アルファ高送りラジアスミル「TR4F形」
●MOLDINO

 ダイカスト金型や樹脂金型の荒加工では形状部・構造部を問わず中大径の高送り工具が多く使用されるが、高送り加工は切削負荷が高いため、これに耐えうる工具剛性が求められるうえ、分厚い切りくずが生成されるため切りくずの排出性も重要になる。同社では、荒加工工程の効率化のために最新の工作機械を導入しても、従来の工具では工具剛性や切りくず排出性の不足からその性能を十分に発揮できないという課題を受け、独自のインサート形状で高い切削負荷に対応し、切りくず排出性を向上させた刃先交換式荒加工用工具「アルファ高送りラジアスミルTR4F形」を開発、4月に発売を開始してから早くも高い支持を得ている。

 特長的なのは、広い断面積と拘束面積を持つ独自のインサート形状により、一刃当りの送り量2mmを超える高能率荒加工が実現でき、突き出し量の長い金型形状部の加工でも切りくずつまり・噛み込みを抑制すること。インサートは片面4コーナ仕様で経済的!

知っている人だけ、得をする「スーパーG1チャック」
●ユキワ精工

 同社の人気商品である「スーパーG1チャック」は、切削加工の高精度化へのニーズに応えるため、長年培ったコレットチャックの技術を駆使して開発したもの。最大のメリットは加工中の工具の振れを最小限に抑えることで、工具の摩耗を減らし、1本で加工できる部品の数を増やすことが可能であること。

 実際に同社の商品を使用したユーザーからは、「切削工具が長持ちするようになった」、「加工ワークの面粗度が上がった」、「加工速度を上げられた」や「加工音が静かになった」など、多くの喜びの声が寄せられており、その人気はますます広がりを見せている。これについて同社では、「スーパーG1チャックへ切り替えられたユーザーからは、お喜びの声が多く聞かれ、〝知っている人だけ、得をする〟ツールホルダーとして認知されつつあります。」とコメントしている。