【豊川発】オーエスジーの技術陣が感染予防のための「フォックスフィンガー」を開発! 医療機関へ寄贈

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石川社長(左)と豊川市民病院医院長

 切削工具メーカーのオーエスジー(社長=石川則男氏 本社:愛知県豊川市)が、このほど感染予防のための道具「フォックスフィンガー」を開発し、地元医療関係者へ感謝の気持ちを込めて、石川社長と開発者の藤井尉仁氏が現品を持参して寄贈した。別途、豊橋・新城市民病院にも寄贈した。

 

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きつねに似ている

 「フォックスフィンガー」は、コロナ禍の中、ドアノブやエレベータのボタン、タッチボタンなど、あらゆるところに直接手で触れることによりウイルス等の感染を防ぐために開発されたもので、これを利用することで直接の接触を防ぎ、感染予防を行うことを目的としている。


仕様
 長さ:11cm
 重量:約21g
 材質:ポリエステル系樹脂(寄付品)
(金型による製品の材質:ポリカーボネートとなる)
*金型による量産の場合、製品写真とは一部仕様を変更する予定。
 


 「フォックスフィンガー」の名前の由来は、機能を重視して設計を追求するうちに、全体のイメージがきつねに似ていることに気付いたという。同社の本社所在地である豊川市にある豊川稲荷のきつねにちなんで、「フォックスフィンガー」と名付けたところが、なんともオーエスジーらしい。

試作は73回以上! ニュースを知ったアサヒダイテックが社員分を購入

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ハンディータイプ実用例

 グローバルに事業展開をしている同社では、世界中が新型コロナウイルスの蔓延により医療現場の物資不足による感染の不安や、人々の感染予防の意識が高まっていることを受け、本年3月初め、同社開発部門が、医療関係者に貢献することはないかと考え、設計・開発をスタート。同社の所有する高度な3Dプリンタは、医療部品などを製造する樹脂を利用できる設備であり、一気に開発スピードを上げた。今回、寄贈したものは、UVによる殺菌処理なども行った上でパッケージしている。

 試作は73回以上繰り返し、都度新しいアイデアや要素を取り入れ、実証も重ねながら理想形へと進めていったという。

 同社は、航空機や自動車産業などの部品加工に使用される切削工具を製造しているが、従来は、工作機械において、NCプログラムを都度修正しながら、切削をし、理想の工具形状の設計を行っている。昨今では、応力解析ほか、開発を進める段階で、3D CADを導入し、ソフトを駆使して、理想形を3Dプリンタ等で製造し、実物に近い形で、製造現場ほか、製品紹介の場面でも活用している。

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 3D CADを駆使した設計は、形状などの数値を変更するだけで容易に設計変更ができるメリットがあり、「開発速度は格段に速くなっている。」と同社。3D CADを駆使して出来上がったデータから工具の設計に繋げることも増えてきており、この速度の上がった開発の手法を駆使して、今回の「フォックスフィンガー」を3Dプリンタで製造している。

 当初は「フォックスフィンガーを販売することは予定していなかった。」とのことだったが、噂を聞きつけた各方面から問い合わせが殺到する状況となり、急遽金型での量産体制を取った。一般向けには、地元プロバスケットボールBリーグの運営にあたっているフェニックスを通じて販売することを予定している。量産に展開できるのは、現状、3Dプリンターで製造できるまでの段階になっていることと、開発者が元々金型製造のコンサルタント業務などを経験しているため、設計の段階で金型による量産も視野に入れた設計を行った点にある。

 開発の段階で、金型で量産しやすいように、細かい部分で、機能を維持しながら、設計変更も行っている。

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使用方法を説明する開発者の藤井氏

 今回開発にあたったオーエスジーアカデミー グローバルエンジニアリングチーム宇宙部品製造チーム エンジニアの藤井氏は、微小宇宙デブリ(ごみ)観測衛星「IDEA OSG 1」の部品の開発を担当し、人工衛星を製造するアストロスケール社〈(株)アストロスケール ホールディングス〉の組み立て作業にも参加し、クリーンルームにおける人工衛星の組み立て、各種試験の場に立ち会っている。

 このクリーンルームにおける人工衛星の組み立てにおいては、細菌やウイルスを宇宙空間に持ち込まないために、厳重な管理のもと、非常に工夫された手順で作業が進められている。人間が直に触ってはいけない部分が多数あり、組み立てのねじなどもすべて殺菌してから使用される。装置のボタンなども直接手で触れることが許されないという厳しい規制もある。

 こうした経験が、コロナ禍での医療現場におけるコロナウイルスとの闘いの場面を藤井氏自身が想像しながら、フォックスフィンガーの開発にうまく繋げることができたようだ。

 このニュースを知った金型メーカーのアサヒダイテック(社長=小川泰徳氏、本社:三重県弁郡東員町穴太)の小川社長は、すぐさま社員19名分の「フォックスフィンガー」を注文。

 小川社長は、「コロナ禍以前に、体調不良で会社を休むのはもったいない。他の人にも迷惑かかるので、せっかく休むなら健康状態が良好で、遊ぶため、休養するために休んでくれたほうが嬉しい。また、健康は、例えば、アルコールを置いたり、アクリル盤を付けたりといった設備的なものだけに頼るよりも、大切なことは個人の意識づけだと感じている。フォックスフィンガーのように身近なアイテムを持つことにより、意識づけにつながると思った。また、工具メーカーが開発製造したところに親近感があった。」とコメントしている。

 アサヒダイテックは、毎年産業医が来て社員全員にインフルエンザの予防注射を実施している。今期はインフルエンザで休んだ社員がゼロだったというほど、社員への健康に対する配慮は徹底している優良企業である。

↓「フォックスフィンガー」問い合わせ先 フェニックスまで↓
info@neophoenix.jp 


 オーエスジーでは、「今後も切削工具とその新技術を提供することで、世界のモノづくりに貢献し、また、今後も医療関係の方をはじめ、みなさまの安全と健康を守るために、なにかできることがあれば、微力ながらもお役に立てるよう様々なことに取り組んでいきたい。」としている。