【技術】最新トレンドは5軸制御マシニングセンタとロボットの連携 OKK
製造現場ではさらなる高能率加工と省人化を目的に、ロボットとマシニングセンタの連携が注目されている。OKKは、現在、新型コロナウイルスの終息後について、急速なサプライチェーンの再構築、自動化・省人化がより一層進むと考え、工程集約型である5軸制御マシニングセンタの製品力強化、自動化・省人化対応製品の拡充、補正技術やNet Monitorなどのソフトウェアによる支援機能の充実を図っている。
OKKが将来を見据え、製造現場の自動化への対応について提案したのが、5軸制御マシニングセンタと協同ロボット、自動搬送台車とのコラボ事例だ。このコンセプトは5軸加工機とロボットアーム・自動搬送台車を掛け合わせた省力化だった。
5軸制御マシニングセンタ「VC-X」シリーズの活用で自動化・省力化を実現
5軸加工の優位性は、突き出し量の少ない工具で加工ができ、しかもワンチャッキング、切削工具の加工位置を選べるので、切削条件の良い部位で加工できることである。能率良く、工具も長持ちするので、メリットは大きい。OKKの「VC-X」シリーズはテーブル側直動1軸+回転軸2軸、主軸側直動2軸の立形トラニオンタイプ5軸制御マシニングセンタで、汎用性が高く、搭載可能なワークサイズにも重点を置いている。複合化・複雑化する金型・部品の高能率な工程集約によるリードタイム短縮、段取り替えによる精度劣化や作業者の負担の軽減を実現しているマシンで、「VC-X350」のほか、より大きなワークサイズに対応した「VC-X500」などがある。特にこの「VC-X500」は省スペース性も抜群で、ワークサイズに対するフロアスペースの比では業界トップクラス。正面ドアから主軸中心まで120mm、テーブル中心まで620mmというオペレータにとって優れた接近性も魅力である。フロアスペースの変更もせず、工具収納本数を156本まで拡張できるという柔軟さも嬉しい。
マシニングセンタを自動化する場合、〝自動ワーク交換装置〟はマストだろう。この場合、最も多い方法は自動で開閉する正面扉からロボットアームでアームを載せたパレットを交換することだが、同社の「VC-X500」の場合、ユーザーの様々な形態を考慮し、左側メンテナンスドアを自動開閉扉へ変更してマシン左側面へ取り出すこともできる。この場合、広いフロアスペースが必要になるが、多連パレットチェンジャと組み合わせて、段取りステーションにて手動でワークを着脱し、マシンを止めずに段取ができるので、省力化に大きく貢献するメリットがあるという。ただし、初期費用が掛かってしまうことや、メンテナンスや掃除の手間がかかる点もあるので、考慮しなければならないとのこと。
さて、現在、働き方改革が推進に伴い、製造現場の多くが自動化・省人化を目標としているが、製造現場の多くを占めているのは中小零細企業である。本格的な自動化システムを導入したくても、イニシャルコストがネックになる。しかも日本の場合、海外と比較し、土地・建物が狭い、という悩ましい問題もあるだろう。そこで、同社は、「VC-X350」と協働ロボット、自動搬送台車とのコラボレーションを考え、簡単に導入できるシステムを提案している。
カメラを搭載した協働ロボットは、ワークチェンジはもちろんのこと、扉の開閉、機械操作盤へのロボットアームでの直接入力、NCプログラムの起動やサイクルスタートなどの機械操作までも可能である。ロボットが手押しで移動可能になっているのは、日中の稼働では人間が部品加工を行い、例えば夜間や休日など無人運転を行いたい場合、ロボットを設置して加工を行うといった用途にも対応できるためだ。
日本の場合、土地建物が狭く、マシンのスペース確保が困難な場合が多いが、この問題についても、同社では、「VC-X350」とロボット、多段パレットステーションを用いた省スペースのロボットセルを提案している。「VC-X350」正面ドア前の約2.2メートル四方のスペースの中にロボット、パレットステーション、段取りステーションを備えたコンパクトな構造で、最大24個のパレットが収納可能になるという。これは心強い。
同社では、未来を見据えて、自動化・省人化対応製品の拡充を図る方針である。