ヤマザキマザックグループ 令和2年度「卓越した技能者(現代の名工)」に社員2名が選出
ヤマザキマザックグループの社員2名が、令和2年度の「卓越した技能者(現代の名工)」に選出された。「現代の名工」は、きわめてすぐれた技能を有し産業の発展に寄与した者を、厚生労働大臣が表彰する制度。今回、現代の名工に選出された同社社員は以下のとおり。
・原稔(はらみのる)氏 ヤマザキマザック所属
・髙木信男(たかぎのぶお)氏 ヤマザキマザックマニュファクチャリング所属
原氏は1971年に入社後、工作機械の主軸やテーブルの組立に40年以上にわたり従事してきた。主軸部品の高精度な仕上げ加工方法や、主軸組立の高効率化に寄与する作業方法を考案したことなどが評価され、今回の選出となった。
髙木氏は1984年に入社後、金属熱処理・材料試験業務に30年以上にわたり従事してきた。現在は、主軸の一貫生産をになう工場「サイバースピンドルファクトリー」において、主軸部品の熱処理業務を担当している。金属の耐久性を高める技法の一つである「高濃度浸炭焼入」を用いた主軸部品の熱処理方法を確立し、工作機械の長寿命化・熱処理の高効率化に貢献したことなどが評価され、今回の選出となった。
なお、ヤマザキマザックグループに所属する現代の名工は、今回の選出で合計10名となった。
原 稔氏 功績・貢献の概要
●主軸の品質向上に貢献
・主軸の高度なバランス取り作業により、主軸の品質向上に貢献
主軸のバランス取り作業において、アンバランス量許容値0.5g以下のところ0.1g以下に作業することができる。このことにより主軸の回転振動が最小限に抑えられ、切削加工においてビビり面の無い美しい面に仕上げることができ、工作機械の高品質化に貢献した。
・数値管理によるものづくりの推進により、主軸の品質向上に貢献
重要ユニット装置であるヘッド部分の主軸組立に従事し「数値管理」できるものづくりに取り組み、工程品質記録書の改訂などに尽力した。また、主軸NNベアリングの与圧管理を目視で管理できるGNゲージを利用して、ベアリングに掛る負荷量を正確に数値化し作業方法を統一した。数値管理によるものづくりの結果、バラツキの無い品質の安定した主軸ユニット生産が可能になり、工作機械の品質向上に貢献した。
■主な表彰歴・取得検定
表彰歴:卓越技能者愛知県知事表彰
技能検定:特級仕上げ技能士
高木信男氏 功績・貢献の概要
●工作機械の長期高精度化・長寿命化への貢献
工作機械用主軸に最適な高濃度浸炭焼入の熱処理条件の開発により、マシニングセンタ用主軸・複合加工機用ミル主軸のツール接触面におけるキズの発生を防止。長期にわたる加工精度の維持が可能となり、また機械本体そのものの長寿命化することに貢献した。
●地球環境/職場環境改善への貢献
真空浸炭炉を使用した高濃度浸炭焼入の内製化を実現。真空炉の特徴である高温・短時間処理を可能とし、生産性向上の面のみならずエネルギー効率が良くなり温室効果ガスの排出量削減にも貢献した。また「直接炎が出ない」「室温が高くならない」といったことにより熱処理工場内の温度環境・雰囲気が良好となり、環境面にも優れた作業エリアの実現に貢献した。
●浸炭焼入工程の安全性・高効率化への貢献
従来のガス浸炭炉では炉内が高温のまま停電すると浸炭ガスが爆発する危険があるため、常に人が付いていて不活性ガスを手動で注入する必要があり、3交替の勤務体制が必要であった。真空浸炭炉は炉内を真空にして処理を行なうため、炉内が高温のまま停電しても安全に停止させることができ、昼間の勤務体制でよくなり、人件費の削減に貢献した。
■主な表彰歴・取得検定
表彰歴:卓越技能者岐阜県知事表彰
技能検定:2級金属材料試験技能士
特級金属熱処理技能士
特級鋳造技能士