牧野フライス製作所 脆性材加工に特化「BG500」を市場投入
牧野フライス製作所が11月12日(木)、脆性材加工分野向け加工機「e GRINDER BG500」の発表に伴い、オンライン会見を開いた。このマシンは、脆性材と呼ばれる難削材をターゲットにして開発されたもので、同社はこれまでスマートフォンはじめ自動車、医療、宇宙開発の分野で、アルミや鋳物、スチール、ステンレス、チタンなど金属材質の加工を提供してきたが、今後は5Gの普及にともなう半導体やセンサーの需要増、医療関連産業の拡大により、セラミックス やガラスといった脆性材の市場規模拡大が見込まれることから、新機種の投入を決断した。「切削」のみならず、「研削」の分野にまで加工領域を広げ、脆く、欠けやすい部品に対して、「より高精度・微細」かつ「安定的に大量生産」を目指す。
脆性材加工分野向け加工機「BG500」
特徴は次の5点。①高圧スルースピンドルクーラント(3MPa仕様)により、加工スラッヂの排出性を高める ②新制御技術GI-Grinding(研削加工における高速・高精度加工と工具寿命を向上させる最適送り制御技術)により、「加工速度3倍」「工具寿命3倍」 を実現 ③電着砥石測定システムで、人のスキルに頼らず工具寿命を判定 ④全軸リニアモータ駆動の採用で、高速・高応答及び高精度位置決めを実現 ⑤3万回転主軸。従来比2~3 倍の回転速度により微小穴(Φ0.3)の高速加工にも対応。
同社技術部は、「脆性材の加工では人を介在する作業が多く存在し、作業者のスキルや経験知に頼りがちだった。「BG500」の導入により、一連の加工の流れを人の手で止めるのではなく、稼働率の向上、引いては自動化へとつなげていく。また、高精度な加工ができることから、繰り返し行ってきた工程を少らすことができ、したがって生産性の向上も期待できる。人のマニュアル作業を減らし、高い生産性を実現する」と意気込みを語る。
■今後の見通し
加工物にも「高精度・微細」が要求される時代において、同社では、熟練の労働者人口が減ってくる今後を見据え、事業に乗り出した。今回の「BG500」とともに、先日のレーザー加工機をもって、非金属の領域に取り組んでいくとしている。研削以外にも、ドリル穴あけ加工ができることから、マシニングセンタの位置づけとし、「e GRINDER BG500」の「e」は、「e-machine」の「e」のほか、熟練の作業者レベルの精度を“簡単に”達成できるという意味で「easy」をも意図しているという。売上目標はまずは国内を中心に年間60台。来年3月より出荷を開始する。