日本機械工業連合会 2020年度機械工業生産額(改訂)見通し調査まとまる

 日本機械工業連合会がこのほどまとめた2020年度機械工業生産額(改訂)見通しは以下の通り。

 わが国の2020年度の機械工業生産は、新型コロナウイルス感染症により、特に需要面で大きな影響が出ており、リーマンショック以来の厳しい状況になると見込まれる。上期は特に自動車を中心に輸送機械の生産が大きく減少するとともに、全業種の生産が減少した結果、全体の生産額は前年度比20.0%減になった。一方、下期は依然として厳しいものの、自動車等の生産は回復が見込まれ、機械工業として持ち直しの動きが見られることから、前年度比6.1%減まで回復するものと見込まれる。従って、2020年度全体としての機械工業生産額は、前年度比13.1%減の63兆2441億円となる見通しである。この生産額は、リーマンショック翌年(2009年)の生産額(約61兆円)を上回るものの、東日本大震災翌年(2012年)の生産額(約65兆円)を下回る。

2020年度(令和2年度)の生産動向

〈一般機械〉
 一般機械の生産額は、前年度比(以下同様)10.6%の13兆5580億円となる見通しである。機種別にみると以下の通り。「ボイラー・原動機」は、ボイラー・タービンが石炭火力向けは引き続き厳しく、バイオマス発電、天然ガス向けも伸びず、はん用内燃期間はガソリン機関、ディーゼル機関、ガス機関のいずれも減少を見込み、ボイラー・原動機全体で13.0%減、「土木建設機械」は、国内は公共投資の下支えがあるものの、民需が厳しく減少、輸出は欧米、アジア向けのいずれも厳しく、15.1%減。「合成樹脂加工機」は、輸出が中国向けで回復基調にあるものの、上期は大幅減、受注も厳しさが続いており、30.0%減。「印刷・製本・紙工機械」は、国内が物流向けは堅調なものの、国内外共に設備投資の落ち込みや、需要の先送りにより、21.8%減。「ポンプ・送風機・圧縮機」は、国内は官公庁向け、輸出は中国向けの需要が下支えするものの、民需が厳しく、15.0%減。「輸空圧機器」は、空気圧縮器」が中国向けで回復しており増加を見込み、油圧機器は上期に主力の土木建設機械向けで大幅に減少したことから、全体で5.8%減。「ロボット」は、中国向けや半導体関連向けは回復しているものの、国内外共に投資の先送りや自動車向けの低調が続くと見込み、5.3%減。「動力伝導装置」は、変速機が外注は戻りつつあるものの上期が厳しく減少、歯車は減少、スチールチェーンは下期に中国向けの回復に期待するものの、伝動用、搬送用、自動車用等いずれも減少を見込み、全体で19.6%減。「農業用機械器具」は、国内が消費背増税前の駆け込み需要の反動による減少が続き、輸出は欧州向けで減少を見込み、全体で10.0%減。「金属工作機械」は、国内外共に自動化、省力化のニーズは高いものの、上期に大幅に落ち込み、需要は底打ちしたものの、多くの需要先で設備投資の様子見が続くと見込み、33.4%減。「第二次金属加工機械」は、機械プレス、液圧プレス等がいずれも大幅な減少を見込み、27.5%減。「繊維機械」は、科学繊維機械が微減、織機、編組機械等は大幅な減少を見込み、全体で23.5%減。「食品加工機械」は、乳製品加工、飲料加工等業界向け等が微増、製パン・製菓、醸造用業界向け等で減少を見込み、全体で4.5%減。「包装機械・荷造機械」は、国内が物流業界向け等の設備投資に期待できるものの、輸出は上期に減少したことから2.6%減。「木材加工機械」は、輸出の大幅な減少を見込み、30.5%減。「事務用機械」は、海外での現地生産により国内生産は縮小傾向にあり、輸出も減少を見込むものの、統計の品目が増えたことにより、44.7%増。「ミシン」は、家庭用ミシンが横ばい、工業用ミシンは国内外共に大幅な減少を見込み、全体で31.7%減。「冷凍機・同応用装置」は、エアコンディショナ等の比較的高水準の生産が続いていた品目の反動減や、輸出の減少を見込み、全体で9.3%減。「半導体製造装置及びFPD製造装置」は、データトラフィックの急増により、データセンターや5G等、IT機器向けの需要増が見込まれ6.7%増加の見通しである。

〈電気機械〉
 電気機械の生産額は、前年度比(以下同様)3.2%減の7兆3926億円となる見通しである。機種別にみると以下の通り。「回転電気機械・製紙電気機械器具・開閉制御装置」は、回転電気機械のうち交流電動機は国内設備投資向けの回復を見込み増加、サーボモータは半導体や電子部品関連向けで増加、製紙電気機械器具のうち電力変換装置は、太陽光向けパワーコンディショナが輸出向けを中心に回復を見込み、サーボアンプは半導体や電子部品関連向けの回復を見込み増加、開閉制御装置のうち閉鎖形配電装置は引き続き首都圏再開発により増加、低圧開閉器・制御機器のうちプログラマブルコントローラが中国を中心とするアジア向けで減少、電磁開閉器や電磁リレーは国内向けで回復を見込み、監視制御装置は国内製造業向けが減少を見込み、全体で1.8%増。「民生用電気機械」は、大容量、高機能、高付加価値製品を主体に比較的堅調なものの、高水準な生産が続いてきたことから、今年度は減少を見込み、2.7%減。「電球」は、建設や設備改修向けの減少や、引き続き生産拠点の海外シフトや光源一体型LED照明器具の普及の影響を受け、28.5%減。「電機計測器」は、電気計器、電気測定器、工業用計測制御器、放射線計測機器、環境計測器のいずれも減少し、全体で7.0%減少の見通しである。

〈情報通信機械〉
 情報通信機械の生産額は、前年度比(以下同様)9.6%減の2兆7844億円となる見通しである。機種別にみると以下の通り。「民生用電子機器」は、薄型テレビ、ビデオカメラ、デジタルカメラ、カーナビゲーションシステムのいずれも大幅な減少を見込み、全体では25.8%減。「通信機器」は、有線通信機器のうち有線端末機器が個人やビジネス関連向けで共に減少を見込むものの、有線ネットワーク関連機器は5G通信の商用化やテレワークの普及等によるネットワークトラフィックの増加により搬送装置が好調、ネットワーク接続機器は海外製品との競争激化による単価下落等により減少、有線部品は多機能携帯電話の生産減による減少を見込み、一方、無線通信機器は多機能携帯電話の減少が見込まれ、通信機器全体では8.4%減。「電子計算機及び関連装置」は、記憶装置、モニタが減少、プリンタは増加、パソコンはテレワーク等のリモートかによるモバイルノート型の需要があるものの、旧OSサポート終了に伴う買替需要の反動減により微減を見込み、全体で4.4%減少の見通しである。

〈電子部品・デバイス〉
 電子部品・デバイスの生産額は、前年比(以下同様)2.2%減の6兆2004億円となる見通しである。データトラフィックの急増によるデータセンターの拡張や増強へのニーズの高まり、小型・薄型・省エネルギーに貢献する高信頼性電子部品や半導体に対するニーズの増加や、5Gやローカル5G対応の進展による新たな需要喚起も期待できるものの、先行きの不透明感があり、「電子部品」は、0.5%増加、「電子デバイス」は4.2%減少の見通しである。

〈輸送機械〉
 輸送機械の生産額は、前年度比(以下同様)18.7%減の27兆2781億円となる見通しである。機種別にみると以下のとおり。「自動車」は、上期が国内外共に大幅減、下期は中国向けの輸出、安全装置の拡充や環境対策、買替需要等による回復を見込むものの、自動車全体では17.7%減。「自動車部品」は、自動車生産台数が上期の減少により部品も大幅に減少し、下期は回復を見込むものの、20.1%減。「産業車両」は、国内が物流施設等での効率化による需要増が期待できるものの、主力のフォークリフトトラックの回復が遅れ、輸出も厳しく、全体では13.0%減。「鋼船」は、受注残の減少により、操業を落としており、14.2%減。「航空機」は、航空輸送需要減が続き、官需が多くを占める機体は微減、発動機は増加するものの、民需が多くを占める機体部品及び発動機部品、装備品のうちの民需が大幅に減少し、全体では31.9%減少の見通しである。

〈精密機械〉
 精密機械の生産額は、前年度比(以下同様)11.4%減の1兆2864億円となる見通しである。機種別にみると以下の通り。計測機器は、「計量機器」が国内外共に減少を見込み11.7%減、光学・精密測定器は受注の停滞による減少を見込み26.5%減、分析機器は一般検査需要の減少による機器需要の減少を見込み2.0%減、計量機器は輸出が厳しく14.4%減、計測機器全体で7.9%減。「光学機械」は、写真機が11.2%減、望遠鏡・顕微鏡は生物顕微鏡、工業用顕微鏡、実体顕微鏡、教育用顕微鏡のいずれも減少が見込まれ、16.3%減、全体では19.8%減少の見通しである。

〈金属製品〉
 金属製品の生産額は、前年度比(以下同様)9.3%減の2兆6393億円となる見通しである。機種別にみると以下の通り。「ばね」は、国内外共に厳しく、24.3%減。「機械工具」は、特殊鋼・超硬工具が輸出の大幅な減少を見込み24.6%減、ダイヤモンド工具は下期に中国向けを中心とした輸出や国内需要の回復を見込むものの、上期が減少したことから7.6%減、機械工具全体で21.9%減。「バルブ・コック・鉄管継手」は、半導体関連向けが増加、建築設備、水道向け等は減少を見込み、全体では5.4%減少の見通しである。

〈鋳鍛造品〉
 鋳鍛造品の生産額は、前年度比(以下同様)19.6%減の2兆1049億円となる見通しである。機種別にみると以下の通り。「粉末冶金製品」は、14.1%減。「鍛工品」は、自動車、産業機械、土木建設機械向け等の減少を見込み、21.8%減。「銑鉄鋳物」は、電気機械、輸送機械向け等のいずれも減少を見込み、18.7%減。「可鍛鋳鉄・精密鋳造品」は、5.6%減。「非鉄金属鋳物」は、22.9%減。「ダイカスト」は、20.0%減少の見通しである。
 

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