【年頭所感】日本工作機械販売協会/日本金型工業会/全日本機械工具商連合会
「コロナを克服し、希望に満ちた年に」
●日本工作機械販売協会 会長 依田智樹
皆様明けましておめでとうございます。
旧年中は当協会に対しご厚情とご支援を賜り御礼申し上げますと共に本年もよろしくお願い申し上げます。
さて、昨年は世の中が数か月で一変する事を皆が体験した年でした。歴史上3度目の「ニューノーマル(新常態)」下で今年はどんな年になるのでしょうか?
コロナは、働き方・生活様式の変化、デジタル化の促進、事業構造の変化・サプラチェーンの多様化、遠隔・非接触ニーズの高まり、そして格差と分断の拡大をもたらしました。
「コロナ後」は元に戻るものもあれば戻らないものもあるでしょう。コロナによって効率を重視しムダを省くデジタル化が進みましたが、同時に我々はムダと余白のあるリアルな世界の価値にも気付きました。従い、コロナ後はデジタルのメリットを生かしつつリアルの価値も認めるハイブリッド的な社会が形成されてくるのではないでしょうか。
当協会は昨年オンライン形式の各種講座を開催する等、コロナ禍の中でも教育事業に注力しました。また、お陰様で10月28日には創立50周年を迎えることが出来ました。日本のものづくり業界も今年は生産と設備投資が徐々に回復することにより市況も上向きになって行くと思われます。当協会としましては業界を取り巻く様々な環境変化を捉えつつ、翻弄されることなくしっかりとした軸を持ち、日本のものづくりに貢献するパートナーとして鋭意活動して参りますので引続きご支援賜ります様お願い申し上げます。
本年の干支は辛丑(かのと・うし)。牛は古くから酪農や農業で人間を助けてくれた大事な動物で、「芽吹きを迎えようとする年」、また「我慢の年」になると言われています。コロナを克服し、イノベーションを生み出し、皆様にとって希望に満ちた年になる様心よりお祈り申し上げ、新年のご挨拶とさせて頂きます。
「積極的にリモート行事に取り組む」
●日本金型工業会 会長 小出 悟
令和3年の新年を迎えるにあたり、会員の皆様をはじめ関連官公庁、関連団体の皆々様に謹んで新春のお喜びを申し上げます。
一昨年は令和の時代が始まりいよいよ本格始動の年だと思いきや、年初に始まったコロナ騒動がそのまま年を越し、いまだに収束の兆しがうかがえない状況であり、いささか困惑の感は否めない所ですが、考え方を変えれば昨年ほど固定観念を強引にでも打ち破り、新しい観念をもって臨まざるを得ない一年であったこと、リーマンショックの時でも起こらなかった現象で近年では例がない年であったのは間違いなく、得てして新時代が到来するときには、このような強引さの中に始まるものだと改めて悟ったような気がいたします。ならば私たちもその流れに逆らうことなく積極的に且つ、慎重に前に進みたいものと改めて新年の抱負として様々なことを考えさせられた次第です。
図らずも始めることになったリモートでの数々の施策ですが、今考えるにデジタル化が進めば進むほど、工業会活動の在り方がリモート化されるしかなかったとも思え、事務局の人手の少ない体制での全国規模の活動を過不足なくフォローするためには、まさに打って付けな方法であったと気づかされました。まさに「瓢箪から駒」の格言のごとく本年の活動にも積極的にリモートの行事を取り込み、新時代の組織運営に役立てたいと考え、日本金型工業会会員以外の企業にも、時に活動の一端を感じていただき、同朋になっていただくべくリモートを活用していきたいと考えていますし、日本の社会のみならず全世界にもリモート化が進み、必然的に海外の情報も視野に入れた将来ビジョンを考えることも求められるでしょう。またそうしなければ日本の企業は存在すらできなくなるかもしれず、リモートは取り入れるしかなかった手法であると改めて気づかされた気がいたします。
昨年は「令和時代の新金型産業ビジョン」を発表させていただき、皆様方ともビジョンを一つの題材としてたくさん意見交換をさせていただきました。自画自賛とはなりますが、事務局員にも本当に熱心に取り組んでいただき、大変良いものが出来上がったと思っており、概ね肯定的な受け止められかたであったとは思いながらも、正直に言って「だから何をなすべきなのかまではわからない」との率直なご意見も頂戴したことも事実で、だからこそ従来では考えなかった、気にもかけなかったことなどに気付き、新たな考えを持つに至った方がいらっしゃれば、ビジョンを発布した一つの目的が達成されたものと自負する所であり、そこは今後においても工業会全体で、継続的に煮詰めていく必要のある事柄であると考えています。
また昨年の11月20日には三年越しの取り組みである、「技術等情報漏えい防止措置認証制度」という国家制度において、審査認証機関として全国で6番目の認定団体となりましたので、本年はそのような従来にない工業会の運営を強いられ、予測のつかない状況になることも覚悟していますが、昨今の新種のサイバー攻撃であるランサムウェア(身代金要求型コンピュータウイルス)に見るデジタル化社会の新たな脅威に対して、無防備ではとても企業活動ができない環境で、情報を奪われることの実害というより、外注先コンピュータがハッカーに侵入された事実が世間に知れ渡ることによるお客様に与える不安や自社への信用の失墜を重要事項ととらえ、まずは令和2年度は30社の会員企業様に認証を受けていただくべく段取りを進めて行き、その後順次工業会の皆様にも参画をお願いできればと考え、日本金型工業会はすべからく信用の置ける団体であり、信頼できる企業の集団であることをご認識いただき、ますますの存在感を出せればと考えております。
今年の経済環境はまだまだ混沌として、はっきりと見通せない所もあるでしょうが、何もしないのではなく、行えることから順次ことを進め、日本の金型業界の安定を勝ち取るべく活動したいと思いますので、会員企業の皆様のお力添えはもとより、関連官公庁、関連団体の皆様のご協力も得ながら、着実に進めていく所存でおりますので、皆様のご理解ならびにご指導ご鞭撻のほどお願い申し上げ、年頭の挨拶とさせていただきます。
「変化とともに新しい取り組みを進めていく」
●全日本機械工具商連合会 会長 坂井俊司
新年、明けましておめでとうございます。
新型コロナウイルスの影響で世界経済はもとより、日本経済そして我々機械工具業界も大きな打撃を受けました。
リーマンショック以来、緩やかな成長のもとで安定した経済状況が長く続いたこともあり、逆にこの景況の落ち込みがより一層厳しく感じられます。また新型コロナの影響前より言われていた『働き方改革』についても、働き方のみならず、ビジネススタイル、ライフスタイルまでも大きく変わってしまいました。
働き方では時差出勤・フレックスタイムや在宅勤務も常態化され、またビジネススタイルにおいても、顔を合わせての会議、お客様を訪問しての商談、そして仕事の後の懇親会なども新型コロナ下での自粛で見直されるきっかけとなりました。
わたくしの会社でも会議も研修もリモートが当たり前になってしまいました。人事の採用もWebで実施しています。今まで『業務の効率化』や『ムダの削減』のお題目があっても取り組めなかった様々なことが奇しくも新型コロナをきっかけに大きく前進しました。もう以前のスタイルに完全に戻ることはあり得ません。Webを利用した営業展開、営業活動のデジタルツールの活用などこれまで以上に我々機械工具業界にも求められていくように感じます。
これまで機械工具業界は、日本の製造業の変化に敏感に反応し、対応してきました。製造拠点の国内外への移転に際してもその動きに行動を共にし、また商社不要論にしてもユーザーニーズに対してはエンジニアリング機能の充実、メーカーニーズに対しては地域密着と対面営業の強化で乗り越えてきました。
当然従来からのユーザー密着のコテコテな営業も大事ですし必要な場面もあることは理解しますが、ユーザー様、メーカー様のスタンスも変わる中、新しい取り組みをこの業界でも進めていくべきだと思います。
さて、各地区機工会の皆さんも組合活動に制限が多く、これまで以上にご苦労されていると思います。
WEBでの勉強会を行われていると思いますが、営業と同じでやはり現地において実際に現物を確認しないとイメージできないことも多いと思います。デジタル技術の発展でより分かり易く動画やVRでのプレゼン等で座学でも随分と充実した勉強会も多くなりましたが、やはり実物に敵うものはありません。
メーカー会員・賛助会員の方にお願いですが、ぜひとも機工会の組合活動の中で、新型コロナ感染のリスクを回避する形で現地・現認できる勉強会をこれからも積極的に開催していただければと思います。
また、生産現場におけるIoTやAI・人工知能への取り組みや、企業活動におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)等、新しいものを組合活動において取り上げていっていただきたいと思います。今から始めれば3年後、5年後に実績となり還ってくると思います。
最後になりましたが、会員各社、メーカー会員、賛助会員の皆様が新型コロナウイルスに打ち勝ち、これからの新しい時代に適応して、ますますご発展されることを祈念いたしまして、新年のご挨拶とさせていただきます。