【年頭所感】日本機械工具工業会/日本工作機器工業会/日本精密機械工業会/日本フルードパワー工業会

「前を向く1年の始まり」
●日本機械工具工業会 会長 石川則男

210101石川会長令和3年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。

 昨年令和2年は新型コロナウイルスの感染拡大に世界経済が翻弄された記録、記憶に残る1年となりました。中国湖北省の武漢から拡大したとされる新型コロナウイルスに対して各国政府はロックダウンといった厳格な策で対処しましたが経済に与える影響が甚大すぎて耐えられないことが明確になると、感染対策と経済政策の両立を目指すことを模索して新年を迎えることになりました。日本でも第3波とされる拡大が11月から顕著となり私たちの生活様式はNEW NORMALの定着を余儀なくされています。

 機械工具業界は4月以降、需要が激減し、市場在庫の調整の影響もあり切削工具と耐摩耗工具の生産は大きく減少しました。当工業会(JTA)の1月から9月までの累計生産金額も2,763億円で対前年同期比では73%まで下がりました。 

 しかしながら9月後半からは世界経済の回復、特に中国の自動車産業が回復したこともあり、需要は増加してきた中で新年を迎えることが出来たのは大変喜ばしいことです。米国ではバイデン氏が新大統領に就任する見通しで、分断された世界の修復に努めるとともに、温暖化ガスの削減対策に大きく舵を切ることが確実視されていることから、エネルギー政策の見直しとともに自動車産業の電動化推進が予想されます。JTAもそれに対応した活動を行うことが必須となることでしょう。自動車のパワートレインの変更に伴いあらゆる分野でのシェアに変化が見られています。JTAは世界の切削工具の生産シェア19%(2018年推定※WCTC2019プレゼンより)をさらに伸ばすべく技術力を磨きたいと思います。

 さて、令和3年は1年遅れの東京オリンピックの年です。NEW NORMALの日常の中で開催される東京オリンピックでは無観客の競技もあろうかと思いますが、それでも5G時代の幕開けを飾る素晴らしいオリンピックになることが期待されます。新型コロナウイルスのワクチン接種が何時頃から、どんな形で進むのか、新しい時代の象徴になりそうです。「NEW NORMAL」の1年から「前を向く1年」が始まりました。JTAも会員の皆様とともに前を向いて運営してまいります。

 末尾になりますが、日本経済の益々の発展と会員の皆様のご健勝を祈念いたしまして年初のご挨拶とさせていただきます。

「新たな需要を掴む努力を」
●日本工作機器工業会 会長 寺町彰博

210101寺町会長あけましておめでとうございます。    

 年頭に際し、所見を述べさせていただきます。

 昨年の世界経済は、米中貿易摩擦の影響が続く中、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の影響により、リーマン・ショック後を上回るマイナス成長に陥る懸念が高まり、先行きへの不透明感が解消されない状況が続きました。日本においては、4月に緊急事態宣言が発出され、不要不急の外出自粛や休業などの要請がなされ、社会経済活動は停滞しましたが、宣言解除後には持ち直しの動きが見られています。しかしながら、欧米では第2波、日本では第3波が到来しており、コロナ対策と経済対策をどう両立させていくのかが大変難しい段階にあります。したがって油断することなく運営に努力する必要があると考えます。

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、実体経済へ影響を及ぼす一方で、事業を取り巻く環境に劇的な変化をもたらし、私たちのビジネスチャンスは広がりを見せています。リモートワーク・オンライン学習の広がりによる半導体関連の需要の拡大や、非対面のニーズの高まりによる自動化関連の需要の裾野の拡大、そして、自動車業界におけるCASEやMaaSは強力に加速していく状況にあります。したがって、私たちはこれらに対応し新たな需要を掴む努力をしなければなりません。

 さらに、インダストリー4.0やIoTが着実に進展する中、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推し進め、会社組織、人の資質、そして製品やサービスまであらゆる領域を見直していかなければならないと考えます。しかしながら、デジタル技術とはいえ乗る船が無ければ何ともなりません。私たちの存在感は下がってきてはいるものの、乗る船をしっかりと提供しており、それをさらに価値あるものにしていかなければならないでしょう。

 このように事業を取り巻く環境が目まぐるしく変化する時代において、私たちに求められることは、変化に即応し、ベストよりモアベターを優先し実行するスピードを上げること、これに尽きるのではないでしょうか。最初からベストを目指して討議などに時間を費やすと、ベターにすら到達しないまま、タイミングを逸してしまう可能性があるからです。たとえ、後で振り返った際により良い方策があったとしても、それはベターな方策を実行し、ある程度の成果が出たからこそ見えてくるものです。したがって、良いと思ったら早く実行に移して結論を出し、修正点があればより良くする、これを繰り返してこそ、激しい変化に即応しチャンスを掴むことができるのではないでしょうか。

 これらを実現できれば、必ずや私たちはグローバル競争の中で打ち勝ち、世界の製造業を牽引していくことができるものと考えております。
従いまして、当工業会といたしましても、会員の皆様と強い信念を共有するとともに、新たなものを徹底的に開発、提案し、業界の発展に寄与してまいる所存です。

 最後になりましたが、会員企業様の益々のご発展と皆様のご健勝とご多幸を心より祈念し、年頭の挨拶とさせていただきます。

「これから芽が出る年に」
●日本精密機械工業会 会長 髙松喜与志

210101髙松会長新年あけましておめでとうございます。謹んで新春のお慶びを申し上げます。

 コロナ禍の中で直接ご挨拶出来ない方もおいでますが、ワクチンや治療薬の開発も進んでいると聞いています。今しばらくの辛抱だと思いますので、共に頑張りましょう。

 さて新型コロナウイルス感染症が発生し1年が経過しようとしていますが、当初私は科学技術が進んだ現在、感染症などは簡単に鎮静化出来るものと信じていました。しかし人間の技術力でも及ばない物があると思い知らされています。そういえばインフルエンザも無くならないし、新しい型が大流行すれば多くの人が亡くなる年もあります。世界的に見ても人の往来が増えると病気も増えると言う相関がある様ですが、人間が生きて行く為に経済も大切であります。待ちに待ったワクチンや治療薬の完成が近づいています。そして早く経済活動が元に戻ることを望んでいます。

 アメリカの新大統領が決定し、新政権が発足します。ところでアメリカの選挙制度は、国民投票はするが最終的には選挙人の選挙で決まると言います。これでは民主主義で無い様な気もしますが、日本はどうでしょうか。議院内閣制であり総理大臣は国民が直接決められない仕組みです。日本国憲法第67条に「内閣総理大臣は国会議員の中から国会の決議でこれを指名する」とあります。国民が行政のトップを決められる様な憲法に改正すればどうでしょうか?憲法改正という言葉自体にアレルギーになっている人も多くいる様ですが変えて行かなければならない事もあるのではないでしょうか。もっと国民の関心と議論が必要だと思います。そして、アメリカの新大統領、日本の菅総理大臣には世界の諸問題解決と経済の発展に貢献する働きをして欲しいと期待しています。

 日本の人口は減少し世界の人口は爆発状態です。人口減少の日本は経済力が弱まっており、人口の多い中国は内需だけで経済は増大しています。その経済力で軍事力も増強しています。日本の少子化対策として菅政権の子供が欲しくても出来にくい人に支援するのはとても良い事だと思います。また、働き手や後継経営者がいなくて苦戦している中小企業にも再編、統合なども含め生産性を上げる支援策をお願いします。

 今年の干支は辛丑です。我々の力で我慢強く、これから芽が出る年にしていきましょう。

「社会変革を成し遂げSDGsの達成へ」
●日本フルードパワー工業会 会長 安藤 毅

210101安藤会長新年、あけましておめでとうございます。 

 令和 3 年の念頭にあたり一言ご挨拶を申し上げます。

 昨年1月中旬の新型コロナウイルス報道から早1年が経ちますが、ウイルスの世界的感染拡大が人々の健康と安全を脅かし、各国政府による都市封鎖、移動の制限により、世界経済は未曾有の危機に陥りました。日本でも東京オリンピックの延期、緊急事態宣言の発 出と解除、感染の再拡大などコロナウイルスは医療、福祉、教育、雇用、経済等社会全体に甚大な悪影響を及ぼしています。

 このような中、国内経済については戦後最大の落ち込みとなった 4~6月期の年率換算 GDP△28.8%の反動で 7~9月の年率換算GDP は 21.4%と高い伸びを記録したものの、コロナ禍以前の水準からは程遠い状況にあります。世界経済については、10月のIMF 世界経済見通しでは、「類例のない危機」と表現した6月の見通しから0.5ポイント改善の△4.4% と小幅な上方修正をしています。主要国でプラスを維持するのは中国の1.9%だけで、米国は△4.3%、日本は△5.3%となっています。加えて自国中心主義による貿易摩擦から、技術覇権にテーマを移しつつある米中貿易摩擦の激化が、世界経済に大きな影響を及ぼすことが懸念されています。このような情勢において1月に就任する米国のバイデン次期大統領の手腕に世界中が注目しています。

 コロナ禍により、フルードパワー業界も極めて厳しい状況にあり、10月時点では、2020年度の油圧機器出荷予想額は建設機械部門の落ち込等により前年比△13.9%の3,259憶円、 一方で空気圧機器出荷予想額は中国向け輸出等の回復により、対前年比1.6%増の4,222億円を予測しています。

 我が国では感染拡大防止と経済活動再開の両立に向け、テレワーク、遠隔医療、遠隔学習、時短操業など様々な施策が導入されましたが、同時にリスク対策としての我が国の経済社会システムの脆弱性も浮き彫りとなりました。「ウィズ・コロナ」そして「アフター・コロナ」のニューノーマルな社会に適応すべく、菅新政権によるデジタルトランスフォーメーション(DX)の加速、規制改革、地域経済の活性化、エネルギー環境政策の推進、働き方改革の推進、国際経済秩序の再構築等の推進が期待されています。

 特にデジタル化については、デジタル庁の設置をはじめとするDXの社会実装を通じて、経済発展と社会的課題の解決を両立する “人間中心の創造社会”である「Society5.0」の実現に向けた社会変革を成し遂げ、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に繋げていくことが喫緊の課題となっております。

 工業会の会員企業を含めて多数の日本企業が Society5.0 for SDGs 実現に向け取り組んでおり、工業会としても Society5.0 の実現に貢献すべく、最新の国際情勢、業界動向、新技術への対応支援、人材育成強化など、会員企業各位の求める情報の収集と発信に努めております。然しながら、感染防止に向け委員会、部会活動もWeb 形式によるものが多くなり皆様にご迷惑をおかけしているところでございますが、ご理解のほど宜しくお願い申し上げます。 

 最後になりましたが、フルードパワー工業 会と皆様方の益々のご発展ならびに輝かしい オリンピックイヤーとなることを祈念しまして、私の年頭の挨拶とさせていただきます。
 

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