キタムラ機械 北村社長に聞く ~最先端技術で夢のような近未来を求めて~

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 Machining Challenges-Simplified――――――。これはキタムラ機械(社長=北村彰浩氏)がモットーとしている言葉だ。経験や知識を必要とせず、誰もが簡単に高精度・複雑切削加工ができるように、というメッセージが込められている。近年、日本の製造現場では、少子高齢化に伴う労働人口の減少から人手不足が問題視されているが、同社では、“世界中のものづくりに係わる8割は中小企業である”、という現実を踏まえ、機械メーカーからの視点で解決に導くための方法を提案している。

 同社は2008年に世界初アイコン制御のCNC装置「Arumatik-Mi」をマシニングセンタに標準搭載したことを皮切りに、ネットを介してビデオ通話ができる「Anywhere-Remote」、AIがCADデータをもとに自動運転ができる「Auto-Part-Producer」など独自性溢れる技術を数々と提供してきた。さらに昨年は、〝顔認証システム〟機能(特許取得済み)にて文部科学大臣賞を受賞している。一歩先行く独自技術を製造現場に提供する北村社長にお話を伺った。

常に一歩先行くシステムを開発

210218キタムラ機械1 ―北村社長は、誰もが簡単に使えるマシン開発に注力していますが、その理由は?
 北村
 まず、工作機械はGコードが複雑です。オペレータは膨大な量を覚えなければなりません。これが工作機械の普及を妨げている要因だと感じています。特に若年層は嫌がるので、2008年に発表した「Arumatik-Mi」では、若い方でも馴染みがあるスマホ感覚のアイコン操作で機械を制御できるようにしました。現在、既存のお客様が使っているGコードを使いながら、かつ、Gコードなしでも使える制御装置を一貫して開発しています。また、オンデマンドでマニュアルも出るので、さらに便利になりました。
 ―この世界初のアイコン制御によるCNC装置『Arumatik-Mi』が登場したのは2008年ですが、当時、画期的な装置として大きな注目を浴びていたことを思い出します。これを皮切りに、次々と斬新な制御システムを提供し、昨年11月に開催されたJIMTOFオンラインも新システムを見せてくれました。
 北村 昨年発表したのは、2018年にリリースした「Auto-Part-Producer」の派生型である「Arumatik-Surface-Scan」です。このシステムは、従来、CADデータを直接自動で運転しても、きれいな修正ができなかった課題がありましたので、写真をスキャンするような感覚でプローブにてスキャニングし、高精度に仕上げることを狙いとしています。自動で運転ができるようAIが加工条件から工具の種類まで全て選んでくれるうえ、あとは工具が干渉しないようシミュレータで干渉チェックし、ボタンを押すだけです。加工現場では高い精度が要求されますが、昨今、人材不足もあり、一から教える人材も時間も不足しています。そこで今回、簡単に写真をスキャンする要領で、図面上の精度が出ていないものを、その場で機上にて計測して修正をするという機能「Arumatik-Surface-Scan」を追加したのです。

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JIMTOFオンラインでも大好評。同時5軸制御マシニングセンタ「MedCenter5A」

 ―システムの進化を感じます。貴社は「Arumatik-Mi」関連で、昨年、中小企業長官賞に続き、世界初の〝顔認証システム〟機能(特許取得済み)にて文部科学大臣賞を受賞しました。顔認証システム機能を工作機械に追加するという目の付け所が貴社らしいと思いました。この顔認証システムの狙いを教えてください。
 北村
 システムが進化し、誰もがノウハウに満ちた加工ができたとすれば、これはこれで考えなければなりません。必ずセキュリティーを設ける必要があります。そこで顔認証システムを開発したのです。このシステムは、機械の操作盤にCCDカメラを内蔵し、機械を操作する作業者の顔画像を顔認証システムにより取得し、コントローラ内に登録することができます。しかも、作業者ごとに異なる操作制限を設定することができるので、作業者が操作盤の前に立つと、その作業者に決められた作業項目のみ実行できるように作業を制限することができます。
 ―このシステムがあれば、作業者によって熟練度の違いや能力の違いもあるので、経験が浅い作業者のポカミスを防ぐことができます。製造現場は秘密が多いので、作業者を識別するICタグ等が紛失したり盗難にあったりするとやっかいですし、万が一、不正利用される可能性だってゼロとはいえませんので、便利だと思います。
 北村
 パスワードも入力するのにも手間がかかりますし、そのパスワードだって盗み見などで入手できる可能性があります。他人のパスワードが入手できれば他人になりすまして機械を使用することも可能ですから、従来のシステムだと安全な操作制限ができるとは言えませんでした。この顔認証システムがあれば、安全な操作制限を可能にすることができるのです。われわれの制御装置はどんどん進化していきます。

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