DMG森精機 新型コロナ禍で健闘!
DMG森精機(社長:森 雅彦氏)が2月12日、2020年12月期(1月~12月)の連結決算を発表し、オンライン会見を開いた。
同社を取り巻く環境は、米中貿易摩擦の影響に加え、2020年の新型コロナの感染拡大により、工作機械の需要は大きく減少した。このような情勢下で、当期の連結業績は、売上収益3.282億83円(前年同期4,857億78百万円)、営業利益106億74百万円(前年同期373億39百万円)、税引前当期利益51億6百万円(前年同期314億51百万円)、親会社の所有者に帰属する当期利益17億45百万円(前年同期179億95百万円)となった。
当期の連結受注額は、2,797億円で前年同期比32%減となった。このような需要減少局面においても同社は、工程集約機、自動化、デジタル化などの付加価値提案により、1台当たりの受注平均単価は前年度並みを維持した。
地域別では、日本が前年同期比39%減、米州は同18%減、中国を含むアジアは同22%減となったほか、当上半期に各国で厳しい移動制限が実施された欧州では同48%減となった。産業別では、半導体製造装置関連、金型、SMEsが引続き堅調に推移し、2年ほど調整していた自動車関連向けもようやく回復の動きがみられた。一方、民間航空機関連向けの需要は、引続き弱含みの展開となった。
同社は、機械加工のトータル・ソリューション・プロバイダとして、5軸・複合加工機などの工程集約機やアディティブマニュファクチュアリング(積層造形技術)機・超音波加工機等の最先端機械を基盤とした自動化・デジタル化を推進している。昨年9月には、デジタル化により製造現場の生産性向上を支援するアプリケーション作成ツール「TULIP」の国内販売強化を目的に「株式会社T Project」を設立した。「TULIP」ではプログラミングの専門知識がなくても作業手順書のデジタル化や機器のモニタリングなどを行うことができるもの。また、コロナ禍においても最適なサポートを実現できるようポータルサイト「my DMG MORI」の提供を推進しており、このサイトを通じて顧客は保有機の情報を一元化管理し、遠隔での修理復旧サポートを依頼できる。そのほか、AIのチャットボットによるサポート実験も開始している。
一方で、同社は、「よく遊び、よく学び、よく働く」を経営理念に掲げ、従業員が自律的に自身の時間をマネジメントし、心身ともに充実した生活を送りながらスキルアップする企業文化を醸成し、また、新型コロナ感染予防の観点から在宅勤務を励行しているほか、有給休暇の完全取得や在社時間制限内での効率的な働き方を推進している。本年1月には従業員の心身の健康が同社の持続的発展に重要であると認識し「DMG森精機 健康経営宣言」として明文化した。また、地球環境保護の観点から、昨年5月に欧州を拠点とするDMG MORI AGでカーボンニュートラルを達成している。
次期の見通しについては、開発・製造・販売・修理復旧の各分野での活動を通じ、さらなる企業価値の向上に努めていく。その通期業績(連結)予想は、売上収益3,300億円、営業利益110億円、親会社の所有者に帰属する当期利益40億円を見込んでいる。また、次期配当金についても、1株当たり年間20円の配当を予定。なお、米ドルレートは105円、ユーロレートは125円を想定している。