DMG森精機 工作機械のデジタルツインを活用した「デジタルツインテストカット」を開始
DMG森精機がこのほど、工作機械のテスト加工をデジタル化する「デジタルツインテストカット」を開始した。デジタルツインテストカットは、出荷前の機械精度や動作確認をデジタル化した「デジタル立ち会い」、伊賀グローバルソリューションセンタをデジタル化した「デジタルツインショールーム」に続く、DMG森精機の最先端のデジタルソリューション。すでに2月1日からデジタルツインテスト加工組織として、デジタルツイン加工技術グループが稼働している。
顧客が工作機械を選定する際に「テストカット」という重要なプロセスがある。これは顧客の加工ワークを実機で実際に加工して、加工精度や生産性が要求を満たすか確認を行うもので、同社では、世界中で年間約6,000件のテストカットを行い、そのノウハウを活かして「どのような治工具が必要か」、「加工精度を実現できるか」、「加工時間をより短縮できないか」などを事前に検証して、顧客の設備導入、生産をサポートしている。
一方でテストカットは、機械の空き状況や、工具、加工素材、治具の手配状況などにより、短期間で実施することが難しい場合があり、こうした現場の課題を受け、同社では新機種開発で蓄積したシミュレーション技術を活用して、仮想的にテストカットを実現するデジタルツインテストカットの技術を確立した。これは、工具、加工素材、治具だけでなく、工作機械本体の物理特性までもデジタル上で構築し、切削加工そのものを再現するテスト加工技術となっている。顧客によるテストカットの要望に対し、加工工程のシミュレーションだけでなく、加工条件の最適化までをデジタル上で行うことが可能だ。
デジタルツインテストカットでは、加工時の切削力や工具振動などの切削状態や面品位などを、実際の工作機械で加工した時と同じように確認できる。静的・動的な特性をデジタルで高精度にモデル化するため、実際の加工と比較しても誤差精度はプラスマイナス数パーセントとなっている。
デジタルツインテストカットを活用することで、テストカットに要する所要時間を大幅に短縮でき、概算時間、加工内容によって異なるが、依頼から最短2営業日で顧客に結果を回答することが可能となった。また、テストカットをデジタル化することで、使用する工具や素材、クーラントを削減できるだけでなく、消費電力も削減できるため環境にも配慮した
ソリューションである。
デジタルツインテストカットは、専任の組織を設け、短納期のテストカットの要望に対して2021年2月から利用を開始しており、2021年は5軸・複合加工機のテストカットを中心とした実施を計画している。
■デジタルツインテストカットまでの目安