「先行き不透明の中、健全な競争と協調で共に発展を」 フルードパワー 賀詞交歓会を開催
日本フルードパワー工業会(会長=宮内壽一氏)は、1月12日、東京プリンスホテルで新年賀詞交歓会を開催した。
冒頭、宮内会長が参会者にお礼の言葉を述べたあとあいさつをした。あいさつの概要は次のとおり。
「昨年3月11日に発生した東日本大震災並びに東電福島事故から10カ月が過ぎました。大かたの第三次補正予算の成立によります本格的な復旧復興事業、本格的な除染作業が始まります。被災地における一日も早い復旧・復興が進むようにお祈り申し上げます。さて、昨今のわが国の経済環境ですが、直近の日銀短観によりますと、大企業・製造業の景況感の悪化に伴い2四半期ぶりにマイナスでした。立ち直りかけていた景気の先行きに慎重な姿勢を強めている現状を表しているものだと思います。これは歴史的な長期間の円高と欧州における債務危機、さらにはタイにおける洪水の影響で外需の先行きに不透明感がみられることによるものだと思っています。特に欧州に端を発した信用収縮による世界経済の影響については、最近はユーロ高も加速していますが、これまで世界経済の回復を支え、高い経済成長を遂げていた中国、インドなどの新興諸国などの先進国向け輸出これの鈍化がさらに顕著になる可能性もあります。また、米国も超金融緩和策を維持し、景気の下支えをしていますが、少し明るさが見えている感じもしますけれどもあまり大きな期待はできないのではないかと思っております。こうした中で、わが国の状況をみてみますと、東日本大震災関連の復旧・復興を目指しました第一次、第二次の補正予算の執行や12兆円に及ぶ本格的な復旧・復興を行います第三次補正予算の執行、さらには第四次補正予算によるエコカー補助金や税制改正によるエコカー減税など、これらが内需の拡大に期待されるものだと思っています。また、タイにおける洪水の復旧・復興事業も少し期待できるのではないかと思っています。しかしながら、主要な海外市場をみてみますと、米国にもあまり期待できません。欧州における債務危機はますます長期化の様相を見せております。また、中国やインドなどの新興諸国も基準金利の引き下げや据え置きを勧めているものの、輸出は低迷するなど、外需には多くを期待できないと思っています。このため補正予算の円滑な執行、平成24年度予算の年度内の成立、さらにはTPP参加交渉の推進など適切な経済運営政策が望まれるわけですが、先行きの不透明感は依然として残り、今後の景気の推移は国内外との慎重な対応が必要だと考えます。このように先行き不透明感に包まれた中での始動となりますが、フルードパワー産業はものづくりを支える重要な産業で、今後とも大きな成長が期待されています。こうした中で業界としては、健全な競争と協調の中で共に発展していくことが望まれています」。
連携して海外市場の取り組みを!
続いて来賓を代表して黒田篤郎経済産業省大臣官房審議官があいさつをした。この中で黒田審議官は、「昨年わが国製造業は大変な一年でありました。歴史的な円高や経済連携の遅れ、東日本大震災以降の電力制限等々、大変厳しい事業環境でした。海外に目を向けますと、タイの洪水や欧州の債務危機等々、海外需要獲得にも衝撃がありました。タイの洪水は日本のサプライチェーンを通じて世界中に波及する従来想像しなかったことがありました。こうした中で日本の製造業の皆さまは、ものづくりの力強さ、影響力の大きさを示して頂きました。大変なご尽力に改めて敬意を表する次第です。このような厳しい中ではございますが、経済産業省といたしましては、ものづくりの振興を図っていただきたく、円高による空洞化対策としまして、国内における生産・研究開発拠点の設置おきまして、5000億円の国内立地補助をいたしました。また、経済連携におきましてもTPPについて協議に入ります。グローバル市場の成長をわが国成長に取りこんでいくという観点から、官民連携をして海外を取りこんでいく。国内では次世代産業の育成等に注力したい」とあいさつをした。