OKK ワークの心出し作業の省力化を図る「3Dマイスター」を商品化

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 OKKがこのほど、オペレータが普段行っている「ワークの心出し作業」の省力化を図る機能「3Dマイスター」(特許出願中)を開発し、商品化した。近年、製造業界において自動化・省力化機能が急速に拡がっている一方、多品種少量生産のユーザ層に提供できる機能は多くない。同社ではこうした製造現場の課題を受け、今回の開発に至った。

 

3Dマイスターの機能 ~簡単操作でオペレータ作業の標準化を推進~

 実物のワークを機内カメラで撮影することで、ワーク形状を3Dモデリングする。得られた3Dモデルデータは機械座標系と紐付けられているため、位置や寸法データを持っている。データは付属のタブレット端末で確認することができ、タッチセンサシステムと連動させることで、ワークの心だし作業に必要な自動計測プログラムの実行が可能。3Dマイスターを用いることで、ワークを設置したあとは、加工プログラムのサーチを含めたほとんどの操作をタブレット端末で行うことができる。

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VM53Rでのカメラ取付け位置(イメージ)。主軸ヘッド近傍に設置したTOFカメラにより加工テーブルを撮影

 TOFカメラとは、Time Of Flightの略で、スマホにも搭載されている技術。対象により赤外線を照射し、その反射されてくるまでの時間により、対象との距離を測定することができる。

 撮影はタブレット端末での操作で行い、自動撮影するだけで3Dモデルの構築が可能。Z軸原点位置での撮影であり、対象物に接近する必要はない。また、カメラは防水構造を持ったBOXで保護されており(レンズ側:防水ガラス)、パージエアより機密性の向上を図っている。

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撮影されたデータは3Dモデルに自動変換され、タブレット端末上で確認することができる

 左側に通常カメラモードでの撮影画像、右側にモデリング形状が表示される。撮影するおおよその位置を事前に指定することで、より正確なモデリングを行うことができる。また、連続撮影の指定により、さらにモデリング精度の向上が図れる。3Dモデルは画面上で視点変更や拡大と縮小をすることができる。スマホの直感的操作性が実現しているのも魅力だ。

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様々な計測パターンを画面から選択、また使用するワーク座標系も指定が可能

 計測パターンを画で確認して指定するため、計測プログラムの選択が簡単だ。計測位置の指定では、モデリングで得られたおおよその寸法が表示される。ワーク座標系、シフト量の設定なども指定することができる。手動モードでの機械操作や、NC画面での数値設定操作なども必要ないので経験の浅いオペレータでも簡単操作で作業の標準化、マニュアル化を推進できるメリットがある。モデリング時の寸法からワークの最終確認としても利用可能だ。ワーク違いによるポカ避けにも貢献する。

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設定した内容は〝設定内容が記載されたカード〟になり、一括して機械に送信される

 送信するまでは、何度でも設定内容の変更や確認が可能。計測動作指令と同様に、加工プログラムサーチも実行できる。送信後の計測プログラムサーチや計測動作などは、サイクルスタート押しボタンで起動。機械動作を伴う操作では機械操作盤を用いるため、安全に使用することができる。なお、オペレータは機械のモード変更や、手動運転、Nキーボード入力などの操作が不要である。

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構成

 管理用PCは1台で複数の機械に接続が可能だが、複数のカメラと同時通信は不可。WiFi通信を用いてるが、ローカルネットワーク環境なので情報流出の危険はないとしている。

 対象機種は、「VM-Rシリーズ」、「VB53α」。対象制御装置は、「FANUC 30iシリーズ」、「三菱N700/N800シリーズ」。

 上記対象であれば、後付けでの対応も可能。なお、現地での取り付け作業は1日程度である。
 

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