牧野フライス製作所 新ブランド「SMART TOOL」の販売を開始
牧野フライス製作所が、このほど新たなブランド「SMART TOOL」の販売を開始したと発表した。この製品は、同社が独自開発した工具・取付具・測定具・ソフトウエアなど、工作機械の性能をより引き立たせ、顧客が抱える課題を解決する商品群の総称。特に個々の加工品におけるその性能を左右する重要部位の加工プロセスに対して効果を発揮し、品質向上やコスト削減を実現する。
同社の髙山幸久 執行役員 営業本部長は、「お客様の抱える悩みのひとつに生産コストが挙げられる。お客様の加工時間は全て利益に直結し、加工時間をいかに削減するかによってお客様の利益を最大化していくことが今回の狙い。ランニングコストの中でも消耗品が非常に高く占められている工具コストをいかに削減していくか。また、加工だけでなく、バリが出るなど加工工程以外の部分でも様々な手作業があり、この手作業を削減することはお客様の利益を最大化することにつながる。今回、発表したSMART TOOLの培った制御技術と加工ノウハウを組み合わせることで最大の導入効果をもたらすことができる。当社エンジニアによる技術サポートとセットで提供し、お客様が抱える課題解決のお手伝いをすることが狙い。」と述べている。
現在、製造現場では、5Gインフラ投資の加速や自動車のEV化などを背景に半導体需要の高まりを受け、半導体製造装置の超高真空密閉容器や真空バルブのシール面は装置の性能を左右する最重要部位でもあることから、今回同社では、SMART TOOLの第一弾として半導体製造装置・真空装置用商品3種を発売するに至った。
半導体製造装置・真空装置用商品3種
今回発表した「SMART TOOL」半導体製造装置・真空装置用商品3種は以下の通り。
(1)シンクロスピナ
(真空バルブなど円状シール面の旋削仕上げをMC で実現する装置)
この製品は、マシニングセンタで旋削面仕上げが可能になり、円状のバルブシール面に最適。ミリングと旋削を集結し、工程数の大幅削減を実現する。
(2)ベルトトラックフィニッシャ
(シール面の手仕上げをMC で自動化するベルト研磨装置)
この製品は、ベルト研磨でチャンバーシール面の高品位・高真空仕上げができるうえ、エンドミルなどの切削痕を除去して手間磨き工数を削減するもの。また、自動工具交換で連続運転も可能。
(3)スーパーヘール加工
(6000mm/min の高速送りでシール面を高品位に仕上げる制御機能)
この製品は、スーパーヘール加工制御とスーパーヘール用バイト(※別売)のコンビネーションで送り速度6000mm/minの高速加工と表面粗さRa0.4μmを同時に実現するもの。従来のヘール加工と比較し、加工時間が80%削減できる。
仕上面粗さ(弊社実績値)
①Ra0.30μm ②Ra0.33μm
④Ra0.35μm ③Ra0.32μm
使用機械:a61nx (Pro.6)
被削材:アルミニウム (A 5052)
ワークサイズ:90 × 55 × 10 mm
工具材種:超硬
シール面幅:10 mm
送り速度:6,000 mm/min
なお、「シンクロスピナ」、「ベルトトラックフィニッシャ」、「スーパーヘール加工」のいずれもシール面の仕上面粗さRa0.4μm以下を実現している。
■販売価格
・シ ン ク ロ ス ピ ナ:1,370,000円
・ベルトトラックフィニッシャ:540,000円
・ス ー パ ー ヘ ー ル 加 工 :650,000円
(いずれも国内定価・消費税別)
なお、加工条件設定、加工プログラムの作成支援、製品のメンテナンスなどについては、SMERT TOOLオンサイトサポートで説明してくれる。