【注意】「工事のごあいさつ」 実は詐欺セールス! ~怪しい作業着の男~

コロナ禍と連動してなにかと物騒なご時世。振り込め詐欺など相変わらず年寄りを騙す悪い奴らが暗躍しておりますが、詐欺は振り込め詐欺だけではないので注意が必要です。

ピンポ――――――ン。

先日のこと。

インターフォンが鳴ったので、モニターを見ると、近年イケてる男の定番ヘアスタイルの代表格、ツーブロックの髪型に作業着をまとった若い男・・・・というより、崩れて売り物にならぬブロッコリーのかぶり物をしているような男が映っていた。チャイムに設置してあるカメラを意識しているのか男は正面を向いておらず、右に左に揺れている。

(ぬぅうう! 怪しい!) 

カメラ付きインターフォンに対し、正面を向けない理由でもあるのでしょうか。

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怪しすぎてめまいがします

ひょっとしたら泥棒の下見かもしれない。居留守を使うと留守だと思って忍び込んでくる可能性もある。残念ながら、泥棒が満足するほどの財産も金もないので、万が一、凶暴な輩に襲われた場合、その日のニュースには、「美人ライター刃物で刺され重傷 3千円入りの財布を奪われる」(←美人は余計だという怒りの声は聞こえません)のショッキングな見出しが付く可能性が大きい。

3千円を取られて大けがを負ったうえ、いい年こいた大人の財布の中身が「3千円しかなかった。」という恥ずかしい事実を世間に知らしめかねないので、しぶしぶインターフォン越しに対応することにした。

男は横を向いて肩を揺らしながら、「ご近所で工事をするのでご挨拶に来ました。騒音等でご迷惑をおかけするかもしれません。説明をしたいのですが。」と話した。マスクをつけているうえ、顔が横に向いているのでモニターからは表情を確認することができない。別角度から映してある防犯カメラのモニターを見るとドアの前でエビのように身を屈めている男の姿が映っていた。

騒音をめぐる挨拶に来たというのに、手ぬぐいの一枚も持っていないところが怪しい。しかも、この男、最初から社名を名乗っていない。通常、こうした場合は、社名と名前を言うはずだ。

―――やっぱり怪しい。ドアを開けることなく、「はい。承知しました。わざわざどうもありがとうございます。」と言ってインターフォンを切った。男は右に左に肩を揺らしながら、獲物を取り逃がした小動物のようにしょぼくれて帰って行ったが、その姿から漂う〝違法〟なニオイをなんとなく感じ取った私は、家族に、「このあたりは高齢者が多いので、怪しいヤツが騙そうと彷徨いている可能性があるよ。泥棒の下見かもしれないから、居留守を使わないようにね。そして怪しいと思ったら絶対にドアを開けちゃダメだよ。」と注意を促した。

確認のため、ポストの中を覗くと、ダサいツーブロッコリー頭の男の名刺も、工事のお知らせも、ご挨拶の定番である手ぬぐいも入ってはおらず、ものすごく気持ちが悪くなった。

たしかに近くで工事をやっているが、騒音が響くほど近場ではない。近隣はつい最近、工事が終わったばかりだ。ちなみに、その際、うちには挨拶に来なかった(笑)。なお、本当に騒音が出るほどの工事が行われる場合、大抵、ペラ紙の〝お知らせ〟がポストに入っているものだ。

ところが翌日。

今度はヒョロガリタイプの作業着を着用したこれまた若い男がやって来た。内容は前日と同じく、「ご近所で工事をするので挨拶に来ました。」という。相変わらず、よく顔が見えない。昨日の今日で、立て続けにご挨拶とは。

「わざわざありがとうございます。ちなみに、ご近所ってどこですか? お隣さんですか?」と尋ねてみると、「はい。そうです。説明をしたいので・・・」と、昨日同様、ドアを開けてもらうための正当性を示しているものの、こちらからすると、この返答自体が、不当そのものである。なぜなら、近隣は、ちょいとした建屋の直しをこの前に終えたばかりだ。すぐにまた工事を始めることなど考えにくい。

「お隣さんって●●ハウスの工事ですね。」と適当なことを言ってみたところ、悪びれる様子もなく、「はい。」と返答をする始末。なんとまぁ、この嘘つきめ!

男のデタラメを確信した瞬間である。社名と名前を名乗ることなく、工事の具体的な場所も自ら示さないこの男の目の前にあるドアを開けるわけにはいかぬ! 深呼吸をしたあと、逆恨みをされても困るので、「ご苦労様です。」と一言いってインターフォンを切った。

屋根工事のインチキ勧誘を思い出した!

数年前、似たようなことがあった。
「近くで工事をする者です。ご挨拶に来ました。」と、作業着姿の若い男がやって来たことを。当時はカメラ付きインターフォンを設置しておらず、うっかりドアを開けてしまった。

男は、「騒音がうるさいと思います。なにかあったら言ってください。」と言った。当時は、「はい。親切にどうもありがとうございます。」といってドアを閉めた。が、このとき、社名も具体的な場所も示していないのに気付いた。

直感的にモヤモヤしたものがあったが、鳥のごとく秒速で忘れた私。ところが30分もしないうちにこの男が舞い戻ってきたではないか。

「すみません。先ほど挨拶をした者ですが・・・。ちょうど、うちの親方がこの家の見えるところで作業をしていまして、お宅の屋根の一部が剥がれている部分があるんで、危ないって言ってるんっすよ~。で、知らせて来いって言われたんです。台風が来たら危ないからって。」と、いかにも気のいい親切な業者の言うような台詞を並べた。

「ええっ!? 屋根が剥がれてるですって!」

驚いた私は、先ほど感じたモヤモヤもすっかり忘れ、またもドアを開けて外へ出てしまった。男は、「ちょっと屋根を見ましょうか? これ危ないですよ。台風が来たら飛ばされますよ。」とボロ屋根の方へ人差し指を向けた。

(台風で屋根が飛ばされたら大変だ!)と仰天した私。そりゃ~屋根が飛ばされて、どこぞの建屋に激突し、被害が出たら目も当てられない。うろたえた私を見て、作業着の男はしめしめと思ったのだろう、「強風が吹いたら危ないですから、ちょっと見てあげますよ。」とニヤリと笑った。

(なんて気持ちの悪い笑顔なのだろう・・・・)。

ふと、悪徳業者の手口に似ていると感じた。シロアリ駆除でも、外壁リフォームでも、布団でも、こうして相手の根城にまんまと足を踏み入れた悪徳業者は大抵、最初に親切心を押し出して相手の警戒レベルを下げ、そして不安を煽るものだ。

業務上、長年、多くの殿方たちを取材してきたが、目の前にいる男のまとう雰囲気が普段から接している殿方たちとは全く違うことにも違和感があった。目線がしっかりしておらず、右に左に身体が揺れている。作業着が汚れていない割には、靴がもの凄く汚かった。このバランスの悪さも気になった。

「ちょっと待ってて下さい。」

仕事で使用しているカメラに望遠レンズを装備し、首からぶら下げてもう一度、外に出た。男は一瞬ギョッとしたようにも見えたが、ここまできたら手を緩めてはいけない。「親方さんはどこの建物から屋根を見ているのですか?」と男に尋ねてみる。すると、男はポツリと「あっち。」とだけ言って人差し指を向けた。おいおい、幼稚園児か、おまえは。

望遠レンズを上に向け、親方を探すが、住宅が密集しているので空間が狭く、確認できない。よくよく考えると、この家の屋根が壊れていることが丸っと確認できるほどの高さを確保している建物がないことに気付いた。

「う~ん。ここからじゃ親方さんは見えないですね・・・ところで私もこういう商売をしているものだから、どこがどうなっているのかきちんと確認をしながら作業をしないと気持ちが悪いんです。問題箇所を撮影しますので教えてください。のちのちトラブルになるといけないですしね。」といって、カメラを若者に向け、ゆらゆらと見せつけるように揺らした。

「で、親切な親方さんはなんという名前ですか。そちらの会社名を教えてくださいませんか。」

「・・・・・・言えません。」

「なぜ言えないのですか?」

「親方に迷惑がかかりますから。」

「なぜ迷惑がかかるのですか。」

「・・・・・・もう、いいです。」

「そうですか。わかりました。」

男はそのまま、背を向けて帰って行った。このあと、不信感の高まりからネットで「工事のお知らせ 親方 屋根」で調べてみたところ、出るわ出るわのリフォーム詐欺! 台詞がまったく一緒で唖然としたわよ。 

この男のいいなりになっていれば、法外な金額をふっかけられて、涙で枕を濡らしていた日々を送っていたに違いない。

それから数年後、また、似たようなことが起きるとは・・・・世知辛い世の中になったもんですな。

この手法、結構、流行を見せているようですので、皆様も気をつけてくださいね。もし、「工事のお知らせで来ました。親方がお宅の屋根が剥がれているので、危ないから教えてやれって言ってるんです。」と言われたら、「今、手が離せないので、名刺をポストに入れておいて下さい。」と言うのも一案です。まともな業者であるかどうか、調べる方法はいくらでもあります。その場ですぐに返答しないことがコツです。

これらの手口、大抵詐欺です。自治体によっては注意喚起がされており、用心に超したことはありません☆
 

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