2021年5月分工作機械受注総額は1239.4億円 日工会 ~稲葉新会長あいさつ「世界市場に対する戦略の構築が急務」~

 日本工作機械工業会(会長=稲葉善治 ファナック会長)が6月22日、5月分工作機械受注総額をまとめ発表をした。なお、5月の総会で新会長に選任された稲葉会長が記者団に向けあいさつを述べた。

稲葉新会長 あいさつ要旨

210701日工会

 会長就任以降、皆様よりたくさんの激励のお言葉を賜り身が引き締まる思いです。これまでの経験を活かしつつ、会員各社のご意見とご協力を仰ぎながら業界のために全力をつくして参りたいと思います。

 日工会の業界活動は10年前に策定した工作機械産業ビジョン2020を礎に歴代会長のご指導の下、基本的な方向性が整いつつあります。一方で、近年の急速な技術革新や市場環境の変化に伴う課題に対応するため、現在、新たにビジョン2030の策定を進めております。

 現時点で感じることを申し上げますと、第一にポストコロナの世界市場に対する戦略の構築が急務とされています。今般のパンデミックはこれまでの経済、社会の常識を大きく覆し、今後感染の脅威が去った後も流行以前にただ待機するのではなく、むしろ新たな価値・行動様式の契機となる可能性を秘めています。

 工作機械の需要・供給についてもこうした変化と大きなゲームチェンジの曲面に際しても影響を最小化し、市場に適切にアプローチをして引き続き、信頼を獲得していく必要があります。同様に、熾烈さを増す国際関係、各国の認証制度等についても分析力と対応力を一段と高めていかねばなりません。こうした課題については、個社での情報収集や分析には限界があります。会員企業に共通するリスクや問題点を洗い出し、速やかで効果的な対応を行うための普段からの体制作りを整える必要があると考えます。

 環境問題に対する業界としての認識などをまとめ、業界内外に示す必要性を感じています。ESG投資が重要視されるようになり、今後、製品を導入するユーザーも環境負荷を基準のひとつとして製品の選別を進める可能性が高まるとみています。取り組み自体は個社レベルで行うべきものですが、業界として簡潔な形で基本姿勢を整えることが、各社の後押しになるものと思います。

 技術分野においては、IoT、AIを活用したスマートマニュファクチャリングによる5Gやその先の次世代移動通信システムの普及、少子高齢化時代に適応した自動車技術、3次元積層造形技術など製造業のイノベーションが顕著です。これらは競争領域に位置付けられますが、その中においても業界団体として共通課題を洗い出し、対応すべき余地がないか幅広く検討していきたいと思います。

 来年秋に開催予定のJIMTOF2022は、当業界にとってコロナ終息を見越して開かれる初のビッグイベントです。WEBサイトからビッグサイトへ、現物に触れながら、直接担当者との商談が行えるリアル展示会として東京ビッグサイト全館での開催を予定しています。併せてJIMTOFオンラインの経験を踏まえ、オンラインでの情報発信を強化してリアルでの商談に繋げられるよう、多角的な情報発信のあり方を模索していきたいと考えます。また、ここまで申し上げたテーマの全般に係わることですが、日工会の諸活動についても日頃会員よりご評価頂いている点も大切にしつつ、協調領域の中で、なにが求められているか様々な変化にあわせて工業会としてビジネスモデルを整える必要があると感じています。

2021年5月分受注実績

 日本工作機械工業会がこのほどまとめた2021年5月分の受注実績は以下の通り。
 2021年5月分工作機械受注総額は、1239.4億円(前月比△0.0% 前年同月比+141.9%)となった。受注総額は、3個月連続の1,200億円超。内需は前月比減少も、外需の回復が続き、前月比は微減に留まる。
    
 内需は332.2億円(前月比△7.9% 前年同月比+82.6%)で、3カ月ぶりの350億円割れ。GWの営業日減や政策待ちにより前月比減少も全11業種全てで前縁同月比増加。

 外需は907.1億円(前月比+3.2% 前年同月比+174.5%)で、2,018年6月(963.1億円)依頼、35カ月ぶりの900億円超。中国や欧州、北米で前月比増加するなど、幅広く回復傾向が継続。

 全地域的に回復が進んでおり、今後のさらなる回復に期待する一方、感染拡大状況について引き続き注視。

5月分内需

332.2億円(前月比△7.9% 前年同月比+82.6%)。

・3カ月ぶりの350億円割れ。
・前月比2カ月連続減少、前年同月比3カ月連続増加。
・営業日減や緊急事態宣言の延長等により5月はやや足踏みも、引き合いは改善傾向。

210701日工会内需

(出所:日本工作機械工業会)

5月分外需

907.1億円(前月比+3.2% 前年同月比+174.5%)

・2,018年6月(963.1億円)以来、35カ月ぶりの900億円超。
・前月比4カ月連続増加、前年同月比7カ月連続増加。
・主要3極では、アジアが前月比減少も、欧州、北米は二桁の増加と回復が継続。

210701日工会外需

(出所:日本工作機械工業会)


 

moldino_banner

 

 

intermole2024_大阪