新生MOLDINOの展望を報告 「MOLDINO Vision2021」を開催 

210726MOLDINO 去る6月22日、MOLDINO(社長=鶴巻二三男氏)が、オンラインで業績報告会「MOLDINO Vision2021」を開催した。同社は昨年4月、三菱日立ツールからMOLDINOに社名を変更し、コロナウイルス感染拡大の影響により業績報告会を実施することができなかったが、今年は新生MOLDINOの展望を報告する運びとなった。

 鶴巻社長から、社長就任のあいさつと経営方針の報告があった。この中で鶴巻社長は、「一変した世の中、コミュニケーションに対して試行錯誤の中、以前から人を大切に、人間関係を基軸に考えている当社の姿勢は変わらず、より皆様と深く結びついていきたいと考えている。昨年4月に新社名でスタートしたが、皆様方からこの社名とブランドに一刻も早くなじんで頂きたいという気持がある。」と思いを述べた。

 業績についての説明では、「昨年度は前半に新型コロナウイルスの波をかぶったが、後半の回復で前年比、大幅な減販減益であるものの、売上高163億円、経常利益10億円を確保した。」とした。また、魚津工場の再稼働、復活について触れ、「主力の成田、野洲の両工場に加え、最近の設備投資や自動化設備などで両工場がかなり手狭になっており、将来の事業展開や、メイド・イン・ジャパンへのこだわりを考え、魚津工場の再稼働に至った。最新の空調システムや加工高精度安定化に向けた新しい工場となっている。」と説明した。

 次に、三菱マテリアルグループが全員の価値基準、行動判断の優先順位として全社員に浸透を図っている「SCQDE」について説明があった。これは、〝安全と健康は全てに優先する〟を基軸にコンプライアンスや品質管理等を徹底して、意識付けを優先していくもので、「グループ全体、会社全体にて優先順位の意識付けを徹底している。」と強調した。

 また、開発商品力や商品の性能を高め、コスト競争力や製造業としての体力強化を徹底するとしたうえで、「納期遵守と供給責任を果たしていく。」との姿勢を示した。

 「顧客価値創造を徹底的に追求していく」

210726MOLDINO3 後藤 治 営業本部長から営業本部の方針について報告があった。これによると、足元の4月、5月の受注において、2019年のコロナ禍前とほぼ同等の受注を確保する見込みとした。国内外の比率については、現状では国内45%、海外55%の受注比率となった。また、「超硬ドリル、インサート、超硬エンドミルは順調に推移している。」と述べ、海外受注については、「ヨーロッパと中国の2つのエリアが海外受注の大きな柱となっている。」とした。

 21年度営業本部方針では、先述のSCQDEの徹底を挙げ、「安全、法令、質にこだわった営業を積極展開し、ウェビナー、ウィズコロナの〝顧客接点ミックス〟を徹底追求する。皆様と寄り添い、課題を共有し、課題解決に展開する。顧客価値創造をわれわれは徹底的に追求したいと考えている。」と強調した。

 また、日本のものづくり力強化についても触れ、「切削工具を学ぶ機会を若者にも分かりやすく提供し日本力強化に傾注していきたい。」と述べた。

210726MOLDINO3 続いて、国内営業部の活動や取り組みについて、小桜一孝 国内営業部長から説明があった。これによると、国内営業部は、これまで国内、東部、中部、西部3つのグループに区分けをしていたが、東日本ブロック、西日本ブロック2つへ改編した。決済や判断の迅速化を図るのが狙い。また、緊急事態宣言などの際でも、商品の供給、顧客との関わりを途絶えないようにするため、業務サポートグループを新設した。

 

 210726MOLDINO4木野晴喜 ソリューション営業部長が、MOLDINOカスタマーサポートについて説明をした。この中で業界を取り巻く状況に触れ、「グローバル市場の対応に向け、さらなるコストダウンを進める必要がある。人材不足、働き方改革、それぞれによる制約がのしかかっている状況の中、お客様は生産性効率の向上、無駄の排除、アウトプットの向上などを実現していくためにも加工の全体最適化を進めなければならない。」と述べた。

 同社では、加工全体での改善取り組みを推進しているが、設計、CAM、加工、磨き、組み付け、出荷、メンテナンス、修繕に至るまで、切削加工だけでなく、全体を視野に入れた『PRODUCTION50』の考えに基づいて、トータルの加工改善に取り組んでいる。これは、同社の最新かつ最適な工具と加工方法によってトータルの製造費削減を目指すことを目的としている。また、このコンセプトの中に『Hi-Pre2』のメソッドがあるが、これは後工程の工数削減を考慮した全体最適の加工方法を検討していくというもの。

 磨きや調整の時間を短縮するためには、高精度な仕上げ、高品位な加工面を実現し、高精度な荒加工、中仕上げを行う。これらをトータルコーディネートすることによって、全体の工数を削減していくことを狙いとしている。

 
 

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