DMG森精機 4000本大容量工具マガジン「CTS(セントラルツールストレージ)」を開発
DMG森精機がこのほど、多品種生産の自動化に最適な4000本大容量工具マガジン「CTS(Central Tool Storage:セントラルツールストレージ)」を開発した。これにより、工作機械技術の進歩とともに量産加工だけでなく、多品種生産の自動化が可能となった。
近年、労働人口の減少や生産形態の多様化に伴い、多品種生産の自動化へのニーズがより高まっている。さまざまな形状を加工する多品種生産では、加工形状に応じて多種多様な工具が必要となるが、使用する工作機械ごとに工具登録や工具交換などの段取り作業や、工具寿命の管理を行う必要があり、自動化システムの課題の1つとなっている。
このような時流を受けて同社が開発した「CTS」は、ラック型の工具マガジンを備え、搬送ロボットが各工作機械の工具マガジンに工具の搬入・搬出を行う自動化システム。
CTS 操作盤で工具情報の一元管理を行い、加工計画と連携した工具の搬送を行うことで、計画通りの生産を実現する。
使用する工具を「TSS(ツールセットアップステーション)」に搬入すると、ロボットが自動で工作機械のマガジンに工具を搬送するため、加工を停止することなく、工具の段取り作業を行うことができる。モジュール方式を採用したラック型の工具マガジンには、1モジュールあたり最大400本の工具が収納可能。工具マガジンの数やシステム構成など、顧客の様々な生産形態に合わせて柔軟なレイアウト設計を実現する。また、工作機械の上部に設置するガントリ構造により、省スペースで導入可能である。
同社では、「近年、自動化システムの需要が高まっており、今後さらに効率的な運用、管理が必要になると考えています。当社の自動化システムは、ワークを直接把握して搬送する“ワークハンドリング”、ワークをパレットごと搬送する“パレットハンドリング”をラインアップしていますが、今回新たにCTSを開発したことで、工具を搬送する“ツールハンドリング”も加わり、自動化システムのさらなる生産性向上を強力にサポートします。」としている。
↓Webサイトに動画を公開している。↓
https://www.dmgmori.co.jp/movie_library/movie/id=5780
主な特長
■加工に合わせてジャストインタイムで工具を搬送
・工具の寿命切れなく、計画通りの生産を実現。
・柔軟な工作機械の選択による稼働率、リードタイムの向上。
・工作機械のメンテナンスの際、他の工作機械に切り替えて生産を継続。
・工作機械間の工具共用によるコストの低減。
■導入時に柔軟なレイアウト設計が可能なモジュール方式を採用。導入後も用途に合わせて拡張やレイアウト変更が可能
■ガントリ構造により、フロア設置方式と比べて約22%の省スペースを実現
■1モジュールあたり最大400本(#40仕様)の工具を収納可能
■60本の工具を一度に搬入・搬出できるTSS(ツールセットアップステーション)を搭載
・TSSから自動でCTSマガジンや機械に工具を搬送。
・TSS工具着脱作業の自動化により、作業効率を向上。
・工具逆挿し検知機能により、作業者による工具着脱ミスを防止。
■ポット搬送システムにより、異なるツールシャンク規格を混在させた運用が可能(特許出願済)
・対応ツールシャンク: HSK、BT、CAT、DIN、CAPTO、KM
■ビジョンセンサを用いたクイックセットアップ
・手動では12日以上かかる工具のティーチング作業を1日で完了。(工具4000本を1シフト8時間の3交代シフト、工具1本あたりのティーチング時間を5分とした場合)
■ビジョンカメラによるモニタリング機能。
・工具の有無をビジョンカメラで毎回確認し、工具の2度置きによる事故を防止。
・工場の温度変化によるレールの伸びをビジョンカメラで監視し、定期的に位置補正(特許出願済)。
■工具搬送ロボットにエアブロー装置を標準装備し、工具の格納時にクリーニングして切りくずを除去(特許出願済)。
■工場全体で使用する工具の保管庫としても使用可能
■顧客の工具管理ソフトと連携して、工場内の工具情報を一元管理
■操作盤2台を使ったリアルタイムバックアップにより、工具データベースの破損を半日で復旧可能