鋳造から加工まで一貫生産 田島軽金属の凄み ~砂型アルミ鋳造技術で未来を創造~

田島軽金属 田島社長

 製造業には特殊な技術を有している企業が存在する。世界が求める軽量高剛性材料の鋳造技術を有する田島軽金属(社長=田島正明氏、本社/工場:埼玉県羽生市)は、大型アルミ鋳造、大型低圧鋳造、アルミ基複合材料(MMC)低圧鋳造を得意として複雑な形状や多品種小ロットにも対応し、新材料や・高剛性材料の開発にも注力、鋳造から加工まで一貫生産する強みを持つ。特急案件や納期短縮化も実行しており、これらを支える技術もさることながら、現場の効率化により女性の活躍も目立つ。また、多国籍採用も実施しており、約30社の多様な協力会社や大学および外部機関との連携が強いのも特長だ。本社/工場は、東北自動車道羽生インターチェンジに隣接し、全国にタイムリーな配送も実現している。

 田島社長にお話しを伺うとともに工場内を取材した。

本社工場はグローバル 女性の活躍も目立つ

田島軽金属本社
田島軽金属 本社

 田島軽金属は1968年に田島社長の父が鋳物の町で有名な埼玉県川口地区に創業した会社だ。創業から現在まで、ドラマチックな展開をしながら大型熱処理炉、大型マシニングセンタ、大型ターニングセンタ、大型製品に対応するサンドブラストを導入するなど、設備を増やしながら工場を拡張してきた。

 2007年には日本鋳造協会から技術賞、その翌年には経済産業省の「元気なモノ作り中小企業300社」に選定され、2017年には地域未来牽引企業に認定されている。

松田木型製作所
同じ敷地内にある松田木型製作所

 砂型は複雑な形状と自由な形状対応ができるメリットがあるが、国内では大型を得意とする設備を有している企業は少なく、同社はこの分野でトップランナーの位置付けにある。特急案件や納期短縮化を実現するため、砂型鋳造になくてはならない木型メーカーの松田木型製作所を誘致し、協業することで機能的に対応している。

 田島社長は、「松田木型製作所が同じ敷地内にあることで、これを直して欲しい、ここを削って欲しい、とスピーディなお願いができ、このお陰で急な案件や短納期にも対応することができるのです。」と話す。

田島軽金属CAD質
本社工場内に新設したCAD部隊

 松田木型製作所とCADも共同で活用しており、2015年にはベトナムCAD設計事務所をオフショアで共同開設。今回は昨年本社/工場に新設したCAD部隊を拝見することができた。優秀なベトナム人が真剣に画面と対峙しており、「こんにちは!」のあいさつも元気いっぱいだ。ちなみに同社へ就職したベトナム人の中には、所帯を持ち、日本で生活をするため、すでに中古の住宅を購入した社員まで存在している。

「通訳も任せられるうえ、指導者としても力を発揮してくれるので非常にありがたい。」と田島社長の頬が緩む。

田島軽金属アルミシェード
銀座にある資生堂の外観(アルミシェード)には田島軽金属の技術が活用されている。複雑な意匠性の高い独特の外観でも太陽の熱をカットしつつ光を建物内に射取り入れ、高い耐久性もある。

 同社がつくる部材は半導体用や液晶チャンバー、ロボットアームや工作機械のヘッド、EV用のモータやバッテリーのケース、船舶用ポンプケース、X線CTスキャン、人工衛星部品、原子物理研究装置用パイプ冷却板、駅の銘板、公園のオブジェ、建築内外装に至るまで、ありとあらゆるものに活用され、貢献している。もし、田島軽金属がこの世になかったら、われわれの生活が乏しいものになっていたかもしれない。また、最近では、昨年末に牧野フライス製作所、ヒノデホールディングス、日之出水道機器と共同で従来のねずみ鋳鉄より60%の軽量化を実現した新素材「ATHIUM(アシウム)」の誕生を発表したことで、大きな注目を浴びた。

 「私には娘がおりますが、川口の駅前で同級生たちと買い物へ行ったときに『川口駅の銘板を見て友達に自慢しちゃった。』といってくれたことがあります。このとき、働いている親ではなく、その子どもが自慢してくれたって素敵だな、と思いました。働いている親の活躍を子どもたちに示せることができれば、子どもたちも製造業の重要さを知るきっかけにもなります。」(田島社長)

1 / 4 ページ
 20211月sg_mol_edt_0

 

MECT2021