日本機械工具工業会が令和3年度「秋季総会」で「日本機械工具工業会賞」を発表

 日本機械工具工業会(会長=田中徹也 三菱マテリアル常務)が、10月21日、オンラインで令和3年度「秋季総会」並びに「日本機械工具工業会賞」を発表した。なお、今回の日本機械工具工業会賞はオンラインのため、発表のみとなった。受賞者は次のとおり。

業界功労賞

■八馬敦雄氏(酒井精工株式会社 会長)

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〈工業会経歴〉
 昭和42年5月~令和9月
 日本工具工業会 ねじ切り工具専門委員会委員を継続中
 平成元年6月~平成15年6月 
 日本工具工業会 理事

〈企業経歴〉
 昭和39年6月 酒井精工(株)入社
 平成元年6月  同社代表取締役社長
 平成24年6月 同社代表取締役会長
 平成26年6月 同社会長(現任)

【功績の概要】
 昭和42年5月、日本工具工業会ねじ切り工具専門委員会委員に選任された。以来、現在に至るまでねじ切り工具専門委員会のメンバーとして殆どの委員会に出席され、ねじ切り工具専門委員会メンバーの模範となる大きな存在である。会社においてはタップの発明・考案により数々の特許・実用新案を取得し、独自の製品で国内だけでなく海外にも販路を拡大された。(昭和63年12月発明功績賞受賞〈大阪府〉)。また、会員代表として平成元年に理事として就任され、現在にまで工業会に長きにわたり貴重な意見を発信されている。平成18年には、永年の会社および工業会の発展への貢献により黄綬褒章を受章された。今回の『業界功労賞』受賞後も、専門委員会を支援していただき、会社の繁栄と工業会の発展にますますご尽力を頂きたい。

 

■田中啓一氏(日立ツール株式会社 現 株式会社MOLDINO 元代表取締役社長)

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〈工業会経歴〉
 平成22年6月~平成23年6月 超硬工具協会 副理事長
 平成23年6月~平成25年6月 超硬工具協会 理事長
 平成25年6月~平成27年6月 超硬工具協会 理事

〈企業経歴〉
 昭和47年日立金属(株)入社
 平成21年4月 同社執行役常務、営業センター長
 平成22年6月 日立ツール(株)代表取締役社長
 平成27年3月社長退任、同社退職

【功績の概要】
 平成22年6月、旧、超硬工具協会副理事長に主任、翌年理事長に就任された。副理事長時代からリーマンショック後の国内市場の縮小、高齢化問題、世界と比較した教育レベルの低下、国内産業の空洞化等問題を提起された。理事長時代は(1)主要原料であるタングステン、コバルト等価格および需給動向の早期情報入手、(2)超硬工具スクラップのリサイクル促進、(3)世界切削工具会議(WCTC)2013日本開催に向けた準備に注力された。また、協会始まって以来の大きな懸案となった『コバルトの特定化学物質指定』にカンしては、環境委員会メンバーとともに関係諸官庁と度重なる交渉に参加され、紆余曲折はありながらも、最終的には超硬工具ユーザーは規制の対象外という協会の要望がほぼとおる結果に至った。一方、日本工具工業会と共催による世界切削工具会議(WCTC)京都会合2013では、両団体で日本切削工具協会(JCTA)を設立、理事長に就任、アジア圏で初開催となった世界会合を成功裏に導くなど協会活動の振興発展に尽力された。

技術功績大賞

●新世代コーティング「ABsotech®」の開発
住友電工ハードメタル(株) 
奥野 晋、小林史佳、中山裕博

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[新規性]
 SVD法を用い、ナノメートルオーダーでの組織制御を行うことで、従来技術では実現することが不可能であった平均含有比率80%以上という非常に高いAl含有量のAlTiNを、高硬度のfcc構造を100%維持したままコーティングする技術を世界で初めて確立した。同技術を切削工具へ適用することで、従来のCVD材種の耐摩性と従来PVD材種の耐欠損性を兼備する、高いAl含有純立方晶ナノ積層CVD-AlTiNコーティングの量産を塩津源した。

技術功績賞

●非鉄用底刃付きスレッドミルの開発
オーエスジー(株)
依田智紀

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[新規性]
 ①スレッドミルは側面切削のため、めねじ口元と奥で径差が大きくなる問題点があった。側面からの応力の影響が出にくいよう、スラスト荷重が強くなるような底刃形状に工夫した(イメージとしては突っ張り棒とおなじ)ことに新規性がある。②高能率を狙いスクイを強くし、刃数を増やすと、切りくずがつまるという問題点があった。底刃をネガにして切りくずを細かくし、2溝にすることで切りくず排出性を向上させる工夫をした。

 

●高剛性突切り工具「TungFeed-Blade」の開発
(株)タンガロイ
宮澤駿輔、谷口雅弥

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[新規性]
 本製品はツールブロックがブレードと主分力方向で当接する機構を有し、ブレードのたわみを抑制する高剛性な構造である点に新規性がある。工具高さを従来比最大2倍に向上させたブレードは、3ポケット仕様で経済性にも優れる。ツールブロックは、旋盤タレットと広い接触面積で拘束され、高能率加工にも耐えうる。ツールブロックに再度スラストピンを設置することにより、ブレードの位置決め精度の向上と同時に操作性も向上させた。

 

●鋼旋削加工用CVD罪種「MC6115」の開発
三菱マテリアル(株)
佐藤賢一、真田智啓、佐藤敏博

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[新規性]
 切削工具用の硬質皮膜としてAl2O3が使われていたが、結晶配向において同社従来品の10倍以上の値を示す新しいAl2O3結晶配向制御技術の適用により高速切削加工で優れた耐摩耗性を発揮することができる。さらに積層被膜の層間付着強度を向上させる新結合層と被膜内の引張応力の緩和技術の適用により切削時の高い刃先安定性を実現した。

技術奨励賞

●ハード加工用スカイビングカッタの開発
(株)不二越
山﨑 格、佐藤嗣紀、西野達也

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[新規性]
 熱処理後の高硬度歯車の仕上げ加工において、超硬スカイビングカッタを採用するが、工具の欠け、摩耗により短寿命という問題点があった。これに対し、ハードスカイビング加工に特化した、形状、コーティング、材料を採用することによって、安定した工具寿命を達成することを実現したことに新規性がある。

 

●両面インサート式汎用肩削りカッタ「WWX」の開発
三菱マテリアル(株)
神原正史

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[新規性]
 インサート式ミーリング工具はワークと刃先の干渉を防ぐため、切れ刃を工具外側に傾ける(2番逃げ)必要性があるが、両面インサート式の場合、分厚いため大きく傾ける必要がある。結果、切れ刃は工具外側に向き、切りくずもその方向へ生成・排出されやすい。特に壁面加工ではワーク壁面方向に切りくずが排出されることになるため、ホルダとワークとの間に噛み込み、インサート欠損やワーク壁面に傷がつくなどの課題がある。これら課題に対し、インサートブレーカで切りくずを工具内向き方向へ強制的に折り曲げ、噛み込みを防ぐ既存技術は存在するが、切削的鋼は高くなり安く汎用的に使用することは困難であった。そこで同社は、独自の切れ刃凸形状とねじれすくい面形状を開発し、切りくずを強制的に折り曲げずに工具内側方向へ低抵抗かつスムーズに生成・排出し、噛み込みを抑制する新技術を確立した。

 

●立壁/底面仕上げ用8枚刃エンドミルの開発
(株)MOLDINO
田牧賢史朗、一木順二、田中寛明

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[新規性]
 ①従来ロング刃長エンドミルでの立壁仕上げ加工は、刃長が長いため同時接触刃が増え、切削抵抗とその変動が大きく、壁面の倒れを抑制することは困難であった。そのため、高精度に加工するためには再加工を繰り返さなければならず、目標制度を確保するための修正工数増加に課題があった。そこで同時接触刃を考慮した外周刃設計(外周ねじれ角38°、刃数8枚刃、ap0.5D、刃長1D)を採用することで、切削抵抗の変動を最小化し、ロング刃長エンドミルに対して加工能率を損なわずに、再加工なしで高精度な立壁仕上げ加工を実現できるところに新規性がある。②さらにコーナR刃の羽付け方法を工夫することで、底刃とコーナR刃のつなぎ目をシームレス化し、従来底面仕上げ加工時に課題であった不均一なカッターマークや白濁化を抑制することができ、高品位な底面仕上げ加工も可能となる。

 

●超硬合金高能率加工用エンドミルの開発
ユニオンツール(株)
齋藤拓信、渡邉昌英

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[新規性]
 超硬合金加工用エンドミルとして同社従来品の「UDC-Fシリーズ」があるが、工具寿命と加工能率には改善の余地があった。被削材が超硬合金であることから加工能率の向上は困難と思われていたが、今回の開発品である「UDC-Fシリーズ」では高能率加工に耐えうる新しい刃先処理と、耐摩耗性を強化した改良型ダイヤモンド被膜を採用することで工具寿命と加工能率を両立して向上させたことに新規性がある。

2021年度日本機械工具工業会環境賞

■環境大賞
京セラ(株)

 新型コロナウィルス感染の拡大によって世界経済が大きく低迷する中、環境マネジメントシステムに基づく高レベルの組織的な仕組みが構築されており、地球温暖化防止、廃棄物削減等、環境活動に積極的に取組まれ、改善の推進力も高いと判断出来る。これらの環境活動は、他社の規範となり、2021年度環境大賞にふさわしいと判断した。

■環境賞
MMCリョウテック(株)

 これまでの環境を考慮した継続的な活動やそれを維持する仕組みづくりなどの結果が反映され、高評価であった。特に地球温暖化防止に対する評価が高く、他社の模範となり賞賛に値すると判断した。

■環境特別賞
(株)東陽、日本特殊陶業(株)、ユニオンツール(株)

 総合評価では環境大賞、環境賞の2社に及ばないものの継続して環境調査指標が向上しており、賞賛に値すると判断した。二酸化炭素排出量が生産高原単位で2018年度以降3年連続大きく減少している、総廃棄物量が5年連続減少している、埋め立て処分量が極めて少なく、再資源化率もほぼ100%を継続しているなど、これらは他社の模範になるものであると判断した。

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