天田財団 2021年度助成式典を開く

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 天田財団(理事長=末岡愼弘氏)が、11月27日、東京都内の日比谷図書文化館日比谷コンベンションホールにて「2021年度助成式典」を開催した。今回の助成総数は82件、2億3,231万円で、内訳は、研究開発助成81件、2億3,131万円、国際交流助成1件100万円。

「科学技術にイノベーションを」

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研究者に声援を送る末岡理事長

 開催に先立ち、末岡理事長があいさつをした。この中で末岡理事長は、「今年の明るい話題として、真鍋淑郞博士がノーベル物理学賞を受賞されました。受賞会見の中で、博士がアメリカに国籍を変えた理由について、潤沢な研究資金と自由で独創的な研究環境が確保されることを挙げておられた。近年、さまざまなメディアで、自然科学分野における日本の地盤沈下が顕著だとの指摘を目にします。また、大学院の博士号取得者が年々減少傾向にあるとも聞いています。第一線でご活躍されている研究者の皆さまにとって、わが国の研究開発環境に対して、さまざまな課題や不安を抱えられているものと拝察します。特に若手研究者の人材育成や研究資金の確保は、喫緊の課題なのではないでしょうか。天田財団では、これらの課題に対してわずかでも貢献すべく助成事業を通じて取り組んでいます。日本が持続的に発展し、これからも世界で指導的な役割を果たすためには、絶えず科学技術のイノベーションを起こす必要があります」と、科学技術発展の重要性に触れたあと、「研究者への金属の加工に関する優れた研究や国際交流へ助成し、その成果を産業の現場で活用できるよう広く普及啓発することは、当天田財団の使命です。本日の助成は、助成金とともに皆さまに当財団のこのような思いもぜひ受け取っていただき、ご研究に取り組んでいただきたい」と、研究者に声援を送った。

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アマダ 磯部社長

 続いて、アマダグループを代表して磯部 任アマダ社長が、「わが国の企業を取り巻く環境は、新型コロナウイルスの影響だけではなく、激変の様相を呈しており、機械メーカーであるアマダグループにおいても対策に追われています。幸い足元の設備投資需要は、非常に回復に力強いものがあり、先日発表した弊社の中間決算でも半期ベースの受注は過去最高を更新し、特に海外においてその傾向は顕著です。また、カーボンニュートラルへの対応も、企業の社会的責任として必須の項目です。アマダグループでは2025年までに25%、2030年までに50%のCO2削減を目標として掲げ、各工場環境の改善に加え、各種商品からのCO2排出量削減に向け、全社を挙げて取り組んでいます。このような課題を解決していくには企業側もさまざまな研究開発投資を行い、先端技術革新への研さんを重ねる覚悟でおりますが、企業の努力だけでは解決できるものではなく、産官学連携での取り組みが、日本にとって最も重要かつ実行すべき事項であると考えています。アマダグループも財団が末永く幅広い助成を続け、創業者の理念でもある、人々の豊かな未来に貢献していけるようなビジネスを人間中心で考える企業として、成長を続けていく所存です」とあいさつした。

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祝辞を述べる文部科学省 迫田 基礎・基盤研究課粒子研究推進室長

 続いて迫田健吉 文部科学省研究振興局 基礎・基盤研究課粒子研究推進室長が、「産業競争力の基盤となる光・量子技術の世界は、日進月歩で進歩しています。今回、採択されたレーザ技術は、ものづくりの基盤となることはもとより、昨今、新聞を賑わせている量子コンピュータの基盤となる技術です。わが国でも本年3月に、第6期科学技術・イノベーション基本計画を策定し、基礎研究がもたらす新たな知の想像をイノベーション創出の源泉と位置付けて、光・量子技術の国際競争力を一層強化していくことを掲げ、研究開発を推進しています。また当計画におきましては、サイバー空間とフィジカル空間を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会課題の解決を同時に解決していく、Society 5.0という理念を打ち出して取り組みを進めています。政府としてはレーザ加工の分野において、内閣府のSIPや文部科学省のQ-LEAPなどのプロジェクトの中で、レーザ加工による物質の挙動をサイバー空間上でシミュレーションして、AIなどで最適なパラメータを設定して自動的に加工するレーザ加工のDX化に向けた研究開発を進めています。一方で、レーザ加工の挙動に関する未知なる領域は多くありますから、このたび助成を受けられました研究者の皆さまの基礎研究によって、未知の領域が解明され、日本発の破壊的なイノベーションが創出されることを心から祈っております」と祝辞を述べた。

 青山藤詞郎 慶應大学名誉教授 天田財団理事が2021年度助成総評を述べたあと助成金目録の贈呈式が行われた。

211220表彰

 招待講演会では、焼山佑美 大阪大学 大学院光学研究科准教授が「液中レーザーアブレーションを利用した原始的酵素様物質の発生」、早川邦夫 静岡大学工学部教授が「前方軸-後方缶押出し鍛造によるチタン合金のトライボロジー温度依存性の研究」をテーマに講演した。

 

 
 
 

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