【令和4年 年頭所感】日本工作機械販売協会/日本歯車工業会/日本光学測定機工業会/日本建設機械工業会

「新しい成長の礎になる年に」
●日本工作機械販売協会 会長 依田智樹

220101日工販依田会長 2022年の新春を迎え、謹んで新年のお慶びを申し上げます。

 昨年は丑年で文字通り「我慢の年」になりました。コロナをはじめ様々な困難への対応に明け暮れた1年でした。

 コロナ感染拡大は年初の第3波に始まり、春に第4波、夏に第5波が到来、8月のピーク時には1日の感染者が26,000人程になり、秋には急減しましたが、最近新たな変異株が世界的に流行の兆しを見せ始めています。コロナとの闘いは未だ収束しておらず、今年も引続き対策を講じながらうまく共生して行く途を辿るしかなさそうです。

 コロナが後押ししたところもありますが、我々の働き方や生活様式も大きく変わりました。Web会議やテレワークでデジタル技術の利便性を認識した一方で、リアルの価値にも気付かされた1年で、これからは両方を使い分けるハイブリッド社会となるでしょう。

 一方資源価格の高騰、半導体や部品・部材のサプライチェーン混乱、米中対立や中国の景気減速等の世界的な政治・経済・社会の不安定要因が顕在化して来ました。また、世界中が地球温暖化に危機感を抱き「脱炭素」に向けて舵を切り始め、EV化や再生可能エネルギー等の「グリーン投資」に目を向け、SDGs経営が企業の持続的成長に必須な世の中になって来ました。これまで経済成長路線一筋だったのが環境への配慮や富の分配が大事との考え方に変わりつつあります。日本はこうした世の中の潮流にうまく乗り、成長と分配を適正に達成する舵取りが求められます。

 日本工作機械販売協会もお陰様で半世紀の歴史を経て新しい時代に入りました。会員各社は日本が誇るものづくり業界の更なる発展の為モノ売りだけでなくコト売りの機能を高め、お客様のニーズに応える提案力を益々磨いて行かねばなりません。
今年は壬寅(みずのえとら)。虎は決断力と才知の象徴であり、寅年は古い時代から新しい時代への転換点になると言われています。2年間続いたコロナ禍から復元し、新たな変化に対応し、芽吹き始め、新しい成長の礎になる年になることを願い、新年のご挨拶とさせて頂きます。

「原点復帰、新たなる挑戦」
●日本歯車工業会 会長 植田昌克

220101歯車工業会植田会長 新年あけましておめでとうございます。謹んで新春のお慶びを申し上げます。

 旧年中は日本歯車工業会の事業運営に格別のご支援、ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。

 一昨年に続き昨年も、新型コロナウィルスの感染拡大に翻弄された一年となりました。年末には新たな変位型「オミクロン型」が世界的に猛威を振るいはじめ、緊急事態宣言の解除後、感染者が激減し、感染終息も間近と安堵していた矢先、3回目のワクチン接種が急がれる事態となっています。水際対策の強化で日本では感染者の急拡大に至っていませんが、他国との人流が抑えられた状態では完全なる経済復興までにはまだ険しい道のりが続きます。晴れやかな新年を迎え、少しでも早く感染拡大前の活況に戻ることを心より願うところです。

 さて、昨年は一年に渡り歯車の基礎並びに応用を学ぶ教育支援事業「ギヤカレッジ」を、全面的にオンラインによる講義に変更して再開しました。受講生同士の交流の場が持てなかったことは非常に残念ですが、著名な講師の講義を画面越しではありますが目前で受講できたことは、受講生にとって新鮮かつ充実した学習スタイルになったようです。また、チャットを利用した質問も数多く出され、従来の形式とは異なる良さも生まれています。

 一方、開校以来16年が経過した当事業も、カリキュラムの編成も含め、全体を見直す時期に来ています。日本を担う若き歯車技術者の育成に向けて、引き続きこの教育支援事業の内容充実に取り組んでまいります。

 同カレッジ修了者を対象とした「フォローアップ研修会」、次世代の若手経営者の育成及びネットワーク構築のための「若手経営者研究会」も、オンラインを活用した内容に変更しました。経営研修会、歯車関連規格(ISO,JIS)の対応など他の事業においても、オンラインに移行しました。対面とは違い戸惑うことも多々ありましたが、回数を重ねるごとに相互に慣れ、オンラインならではの効果も出ています。コロナ禍にあっても地道に事業を継続することが、歯車業界を牽引する次なる人材養成に繋がると確信しています。

 弊会は「国際競争力強化を視野に事業推進」「会員にとって魅力ある企画の実行」「次世代経営者・技術者育成事業」を柱として事業展開しております。“歯車”はこれまでも、そしてこれからも重要な機械要素の一つとして各種産業機械に使われ続けます。これにはグローバル化の推進、若きエンジニアの育成が必須で、弊会の各種事業を通して歯車業界を下支えしていく所存です。

 今後も、経済産業省、各教育機関、諸団体の方々と密接に連携しながら、歯車産業ひいては日本の機械産業の発展を願い、皆様のお役に立てる工業会をめざし努めて参りたいと存じます。

 今年が皆様にとって飛躍の年になりますよう祈念申し上げ、新年のご挨拶とさせていただきます。

「高速・非接触にて更なる高品質へ寄与」
●日本光学測定機工業会 会長 浜田智秀

220101光学測定機浜田会長 明けましておめでとうございます。謹んで新春のご挨拶を申し上げます。平素より関係者の皆様には日本光学測定機工業会の活動に、ご理解とご支援を賜り、厚くお礼申し上げます。

 昨年は、米中貿易摩擦などの保護主義的な流れが経済へ影響を及ぼし、下降局面でスタートしました。更には、想定外の新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、産業界全体が冷え込み、リーマンショック以来の環境悪化となりました。

 しかしながら、新型コロナウイルス感染症により働き方の改革を迫られ、昨年も触れたデジタルトランスフォーメーションは、前倒しされながらより一層加速されてきました。5Gはサービスが開始され、AIの応用も着実に身近なものとなってきました。

 一方、モノづくりそのものに目を移しますと、その手法自体は大きく変わってきています。種々雑多な材料を前提とした多品種少量製品へ適用するための3Dプリンターなどが生産へ寄与する領域の拡大が顕著となっています。このようなアディティブ・マニュファクチャリング領域に於いても最終部品・製品の高品質を保証することが重要となっています。形になれば良いのではなく、目的とする機能・性能を安定的に実現することが求められます。

 過去より度々繰り返される品質問題は益々顕在化する可能性を含んでおり、歩留り向上やコストダウンという狭義での品質保証の領域を遥かに超え、問題を起こした製品の評価を単に下げるだけでなく、企業価値そのものを大きく毀損させるリスクがあることを強く認識しておく必要があります。

 当工業会では見えないものを見えるようにするだけでなく、定性的なものを定量化できるよう活動を続けております。光学測定機が得意とする可視光領域に加え、近赤外や紫外線、更にはX線などの不可視光を使用することによってこれまで検出困難であったものを数値化し、更に高速かつ大量な計測データを瞬時に取得することを可能としており、これまで見逃していた現象・事象の把握だけでなく評価方法の確立をも推し進めてきています。加えて、検査・測定・計測の自動化、省力化をなお一層進化させ、製品・部品の良否判定だけでなく、スピードディに工程改善へのフィードバックなどを可能とし更なる高品質をも具現化します。

 人間の恣意やバラツキ、不確かさの入る余地がない品質保証、信頼性、ひいては安全、安心を実現する世界へ向けて今後も新たな提案を継続していき、皆様の企業価値向上に繋げるためのお役に立てると確信しています。厳しい競争に勝ち抜き社会へ貢献する企業の皆様と共に、更に成長するため精進して参ります。

 劇的に変わりゆくこのような時代にめぐりあえたことを幸せだと感じ、産業の発展へ寄与できることをこの上ない喜びと考えております。これまで以上に関係各位の皆様との連携を深め、皆様方の課題解決を図るだけでなくイノベーションのお手伝いができるよう取り組みます。

 ダイナミックでスピード感のある大きな時代変化の流れの中、それに呼応する形で、光学に基づく切り口を武器に非破壊・非接触型測定機を主としたリアルタイムな光学測定技術を深化させ、あらゆる課題を見える化・顕在化させることによって素晴らしいモノづくり、コトづくりを実現してゆきますので、今年もよろしくお願い申し上げます。

「調和と発展による世界への貢献」
●日本建設機械工業会 会長 数見保暢

220101建機工数見会長 新春を迎え謹んでお慶びを申し上げます。会員各社ならびに関係省庁、関係団体の皆様には平素より、日本建設機械工業会の活動に格別のご支援とご厚情を賜り、厚く御礼申し上げます。

 昨年は新型コロナウイルス感染症が猛威をふるい、世界中で多くの方が感染し、また亡くなられました。ここに亡くなられた方々に謹んでお悔みを申し上げます。新型コロナウイルス感染につきましては、医療体制が逼迫する程の急拡大後、しばらく新規感染者の発生が低位で推移しました。しかし昨年後半には変異株の感染拡大が懸念されるなど、今後も感染症はかたちを変えて続くものと想定されます。引き続き適切な感染対策を実施し感染リスクを低減させていくしか無いと思っております。

 さて建設機械の市場動向については、昨年8月に当工業会から令和3年度(2021年度)、令和4年度(2022年度)の建設機械需要予測を発表致しました。令和3年度(2021年度)全体の通期需要予測は、国内は微増、輸出が大きく牽引し全体では前年度比15%増加という、前年度からの回復が鮮明と想定されています。実際に月次金額ベースの出荷統計では、国内市場は4月から微増・微減を繰り返し、輸出は毎月連続しての大幅増加、10月までの出荷金額合計では前年比38%増加と大幅な回復状況です。このように昨年末時点での世界需要は、大幅に回復傾向にありますが、新型コロナウイルス変異株の感染拡大懸念や、部品調達難、海外市場間物流の停滞と、それらに起因する物価上昇などが影を落としています。

 このような新たな事象が発生し、市場への供給対応に不足や遅延が想定される状況にありますが、建設機械産業は社会資本の整備に資する建設機械本体や部品、サービスを安定して提供することが使命であり、市場からの要求に対応できるよう引き続き注力していかなければなりません。さらに益々要請の強まるカーボンニュートラル社会の実現に向けて、製品面では環境負荷の低い建設機械が求められ、施工プロセス面では労働力不足や熟練労働者の減少による生産性の維持をはかるための、ICTを活用した情報化施工の普及もはかる必要があります。

 当工業会では激しい外部環境の変化に対応するため、昨年はコロナ禍においてもWEB会議などのツールを最大限活用し、各委員会や部会は精力的に活動を致しました。具体的にはカーボンニュートラル社会の実現にむけて、会員各社の製品開発面、製造プロセス面での活動推進を支援するため勉強会を関係各省のご協力を頂き開催致しました。また各種説明会や講演会で過去最高の聴講者数を記録するなど、WEBツールの特性を活かした成果を出し、当工業会ホームページも全面リニューアルを実施し、情報の発信力や利便性を向上させております。

 本年も見通しの難しい時期において、昨年度の事業計画の仕上げと新たな事業計画を策定する重要な年となります。当工業会の設立理念である「調和と発展による世界への貢献」ならびに「共生と競争」のもと、新しい工業会の事業活動を考え、変革して社会に貢献して参りたいと思います。

 最後になりますが、新型コロナウイルスの感染症が早期に収束し、安心して生活できる社会を回復すること、そして皆様にとって良い一年となりますように祈念いたしまして年頭のご挨拶とさせて頂きます。
 

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