オーエスジー 「2019年度並みにV字回復」第109回株主総会を開く

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あいさつをする石川会長兼CEO

 オーエスジーが2月18日(金)にホテルアソシア豊橋(豊橋市花田町)で「第109回定時株主総会」を開催した。株主への安全と健康の配慮から、会場内では飛散防止パネル越しに議事を進行するなど、感染予防対策を徹底した中での開催となった。

 総会に先立ち、議長である石川則男会長兼CEOがあいさつをした。この中で石川会長は、同社を取り巻く経営環境について、「自動車産業の生産調整が世界中で継続しているが、弊社は微細精密加工、半導体、工作機械、ロボット等の精密部品加工用の切削工具の需要は底堅く、日本を含め世界市場で受注は堅調に推移している。」と前向きな姿勢を示した。

 また、「今まではそれほど大きな取引をいただけなかった欧米のメーカー、大手メーカーからシェアアップが期待できる状況になりつつある。電動化部品に対応する新技術、新製品の分野においては、当社はコーティング技術を切り口として進化、拡大したい。」との考えを示し、「コーティング分野ではかなりの投資、M&Aをはじめとする投資を行ってきた。オーエスジーのコーティング技術のレベルはここに来てかなり強化されたと認識している。また現在グローバルに拡充しておりますコーティングセンターも今後の新ビジネスとして期待ができるものと考えている。」と期待感を滲ませた。

第109期事業報告

 第109期事業報告では、新型コロナウイルス感染拡大の中、中国を皮切りに世界経済は回復をみせたが、半導体不足や部品供給不足によるサプライチェーンの混乱がみられた。長年にわたって築き上げたグローバル体制を駆使することで混乱下においても製造ネットワークと強固な販売網を活かして対応、世界全般で製品やサービスの安定供給を継続し、コロナ禍前の2019年度並みにV字回復をすることができた。

 主力製品であるタップは、通年で史上最高の売上を達成し、ドリルも第2四半期以降、過去最高の売上を達成した。国内において超硬エンドミルは過去最高のトップシェアを獲得することができた。

 この結果、連結売上高は1,261億5,600万円、連結営業利益は161億500万円、連結当期純利益は109億8,900万円となった。

 日本では、主要ユーザーである自動車関連産業向けは半導体不足の影響が続いたが、足元では回復傾向にある一方、航空機関連産業は以前厳しい状況がつづいている。足元は業種によって異なる状況となっているが、新型コロナウイルス感染症の影響により大きく落ち込んだ前期と比較すると、売上高、営業利益友に大きく増加した。

 米州では、前期後半より回復基調にある。7月以降デルタ株の流行により新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が大幅に増加したものの経済に与える影響は限定的なものになった。主要顧客である自動車関連産業においては、半導体部品不足の影響を受け、減産の実施や工場の一時的なシャットダウン等の生産調整を余儀なくされた。また、航空機関連産業について景況は底を打ったようにも見えたが、回復にはまだ時間が必要な状況ではあるが、建機や石油関連など他産業においては好調であり、堅調な受注状況が継続している。南米ブラジルにおいても、航空機関連産業以外の国内景気は自動車関連産業を中心に好調であり、半導体等の部品不足も現状は業績に大きな影響を与えていない。また、昨年に続くレアル安傾向により、輸出からの利益が大きくなっている。全体的に回復傾向にあり、売上高は前期と比較して増加した。また、コロナ禍にあって経費削減を徹底したことも影響し、営業利益は前期と比較して大きく増加する結果となった。

 欧州・アフリカでは、デルタ株の流行により新型コロナウイルス感染症の感染者数が期末にかけて大幅に増加したが、主要国の景況は比較的堅調に推移した。主要顧客である自動車関連産業においては半導体等部品不足による生産調整はあったものの、同社グループへの影響は限定的なものとなった。一方、航空機関連産業はようやく底を打ったようにみえるものの、まだまだ厳しい状況にある。これまでにM&Aを行った会社とグループ間の協業による受注活動を展開し、案件の獲得に注力してきた。ドイツの会社1社を新規連結したこともあり、売上高は前期と比較して増加となった。また、利益についても売上高が増加したことによる利益率の改善、コロナ禍での経費削減等の効果もあり、前期と比較して大きく増加した。

 アジアでは、中国で政府による大型投資の効果もあり、新型コロナウイルス感染症の影響からいち早く回復したが、期後半において成長が鈍化した。自動車関連産業においても半導体等部品不足の影響や、節電による工場稼働の制限等が重なり顧客の生産に一部影響があった。また、韓国においても国内の景気は回復基調にあり、自動車の生産台数も新型コロナウイルス感染症流行前に近い水準まで回復してきたが、半導体等部品不足の影響によって回復に歯止めがかかった。その他のアジア諸国においても、新型コロナウイルス感染症の再拡大や半導体部品不足等が自動車関連産業の回復に影響を与えたが、一方で注力している5Gや半導体、エネルギー関連は引き続き好調を維持している。足元には不透明感がありつつも、全体的には回復基調にあったため、売上高、営業利益友に前期と比較して大きく増加する結果となった。

 第1号議案「剰余金処分の件」、第2号議案「取締役(監査等委員である取締役を除く。)2名選任の件」、第3号議案「監査等委員である取締役5名選任の件」、第4号議案「役員賞与支給の件」が上程され、それぞれ可決された。

新中期経営計画「Beyond the Limit 2024」

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新中期経営計画について説明をする大沢社長

 総会終了後、大沢伸朗社長兼COOが新中期経営計画Beyond the Limit 2024」について説明をした。大沢社長は、「Beyond the Limitは限界の先へ、限界の向こうへ、という直訳になる。自ら限界を超えていく、限界を設けない、自分たちの殻を破っていく、今までの常識にとらわれず常に新しいチャレンジをしていく意味が込められている。カーボンニュートラル時代に向けて必要不可欠な切削工具メーカーとして選定され続けるエッセンシャル・プレーヤーを目指していく。」と意気込みを示した。

 長期ビジョンについては、2030年に向けて3年刻みで進めていくとし、そのための中期経営目標(2024年11月期)に向け、ROA(営業利益ベース)15%、営業利益300億円の目標を設定した。販売部門は営業利益率の向上、製造部門は総資産回転率の向上に努めていく。

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