DMG森精機 奈良女子大と包括連携協定結ぶ

220329奈良女子大
写真左:奈良女子大学 今岡学長 右:DMG森精機 森社長

 DMG森精機(社長=森雅彦氏)と奈良女子大学(学長=今岡春樹氏)が3月1日、女性技術者・研究者の教育推進支援を目的として連携と協力に関する包括協定を締結した。

 同社はこれまでも奈良県、三重県、兵庫県と、地域振興や技術系教育の推進などで協働する包括協定を締結し、工業高校を含めた教育機関への最先端工作機械の貸与や、同社エンジニアによる加工ノウハウや最新技術に関する授業の実施など、学生が産業界の最先端機器で学習できる環境を提供してきた。

 奈良女子大学は2022年4月に、女子大学で日本初となる工学部を開設するが、DMG森精機が2022年夏に開設する奈良商品開発センタにも程近い。今後は同社から講師の派遣やマシニングセンタ技術を活用したカリキュラムの考案、奈良商品開発センタでの実習などを行い、工学系の女性育成を支援していく。

 また、奈良女子大学工学部 総合研究棟H棟のネーミングライツを取得し、2022年4月1日から2032年3月31日の10年間、「DMG MORI棟(工学系H棟)」と命名する契約を締結した。

 会見の席で奈良女子大学の今岡学長は、「女性が理工学分野へ進出して活躍することを共に後押しをしていこうと約束する日になる。工学部を立ち上げるのは大変で、教育のための設備が必要になる。生産機械はマザーマシンと言われているが、機械を作る機械なのでマザーマシンは子どもよりも一桁精度が良くなければならない。そこに難しさがあり、誇りもある。生産機械を作られる産業そのものの最も強い本質だろうと思っている。」と話した。

 DMG森精機の森社長は今回の協定について、「学生を受け入るにあたり、生徒が卒業した学部がなくらないようにしなければならないと感じている。教育は一度コミットメントをしたら10年、20年のレベルではなく、学んだ人が一生リタイアするまで存在することが学校にとって重要なことなので、この計画は50年100年計画で実行していくものだと心得て私どももしっかりと対応していきたい。」と思いを述べた。

 同社では、「OECD(経済協力開発機構)の調査結果によると、日本は2019年に大学など高等教育機関に入学した学生のうち、工学を選択した女性の割合は16%。加盟国平均は26%であり、調査対象国中、日本は最低水準となっている。日本全体で人口が減少し、特に理系分野の人材が不足する中、女性の活躍できる場所が限られており、まずは教育環境を整えることが非常に重要であると考えている。」と認識しており、女性技術者および研究者教育の重要性を訴え、相互に連携強化を図ることで、工学系人材の多様性と、日本の技術力の底上げに貢献するとしている。
 

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