ナガセインテグレックス 画期的なイグタープデザインのマシン「SGX-126B(S)L2D-Neo3」を発表
ナガセインテグレックス(社長:長瀬幸泰氏、本社:岐阜県関市武芸川町跡部1333-1)がこのほど中型金型プレートや精密部品の加工に最適な新世代高精度門型平面研削盤「SGX-126B(S)L2D-Neo3」を開発し、7月1日より販売を開始すると発表した。このマシンは、同社独自の「IGTARP DESIGN(イグタープデザイン)」を採用し、高い機械精度や加工点剛性を達成しつつ最適な軽量化と大幅な小型・省スペース化を実現している。
「常識はその時点で、様々な制約条件について多くの人が妥当だろうと認める意思決定の結果や習慣だが、決してそれは真理ではないと考えている」と長瀬社長は話す。
開発の背景 ~IGTARPデザインとは~
「NAGASEのユーザーは、当たり前になっている高精度研削性能はそのままに、さらなる生産性向上を図りたいというニーズが高まっています。」と長瀬社長。大型ワークには、門形構造の〝SGDシリーズ〟で対応していたが、中型ワークに関してはシングルコラム型が主流になっていたという。
長瀬社長は、「研究室で開発したものを実業の世界で有効に活用するには複数の制約条件を取り除くことが必要。制約条件を取り除く技術を弊社は開発し、原理原則に基づく理屈にあった加工方法と加工機を提案していますが、今回は新たな設計手法のIGTARPデザインにより高精度研削の高能率化を実現する加工点剛性の飛躍的な向上と省スペース化を実現する門形構造の研削盤開発に成功しました。」と話す。また、今回はこれに併せて作業性の向上と、導入コスト改善も実現している。
同社のいう〝IGTARPデザイン〟とは、それぞれの頭文字からとった造語である。
Innovative inspiration(革新的な発想)
Gravity center optimization(重心最適化)
Topology optimization(トポロジー最適化)
Advanced analytical method(高度な解析手法)
Robust optimization(ロバスト最適化)
Productivity optimization(生産性最適化)
長瀬社長は、「約10年前から設計時における制約条件を取り除くため、一から理想的な基本構造の高次元な構築に取り組んでおり、ここ数年でどんどん現実のものにしていった。」と話す。この流れにより、現在、大胆かつ理想的な基本構造を発案するに至っている。
「IGTARPデザインは新たな工作機械の潮流になると確信しています。」(長瀬社長)
新機種「SGX-126」 大胆かつ理想的な基本構造はこうして生まれた
「SGX-126」の設計開発を担当した新藤良太常務(技術部部長)は、「魂を込めて開発した機械です。」と力を込める。同社が構造最適化第1弾として市場投入したのは、2018年に発表した超精密成形平面研削盤「SGi-520α」、第2弾に超精密平面研削盤「SGDシリーズ」だった。この機械は昨年、「第41回 精密工学会技術賞」を受賞しており、昨年の前期売り上げ約27%を占めた人気機種でもある。
「サクラダファミリア、エッフェル塔、東京タワー、錦帯橋といえば、美しく素晴らしい構造をしていますが、力学的にみても少ない素材で強くつくられています。従来の工作機械はつくりやすさを重視し四角いブロックを組み合わせた構造が多いのです。」と新藤常務。そこで同社は、技術が生んだ素晴らしい建造物をヒントに、強くて美しい工作機械の構造を考案した。機種名である「SGX-126」の由来は、SG=Surface Grinder(平面研削盤)、X=クロスオーバーで、〝異なる要素がお互いの境界線を越えて混じり合う〟ことを意味している。126は、チャックサイズで1200mm×600mmを指している。
「SGX-126」の基本形状は、無駄のない美しい構造が特長だ。加工範囲が1200×600mmの中型サイズの高精度平面研削加工を「圧倒的な生産性とコストパフォーマンスで実現できる」という。①高精度でありながら超高能率、②門形構造でありながら超コンパクト、③高付加価値でありながらお求めやすい価格、という3拍子揃ったマシンとなった。
これらの優位性の鍵を握るのは、〝最適化を駆使した3点支持構造〟だ。「作業位置を低くするためにベッドの厚みを抑えつつ、3点支持構造で高剛性化するという難題にチャレンジしました。」という新藤常務。トポロジー最適化や形状最適化を駆使し、構造解析を100回以上実施することで理想的な3点支持構造を実現している。
このように軽くて強い基本構造を徹底追求した結果、加工点での静剛性は従来機比2倍、動剛性(固有値)は従来機比1.25倍、クラス最高レベルの剛性を実現したのだ。
新世代高精度門形平面研削盤「SGX-126B(S)L2D-Neo3」の特長
左右テーブル案内には匠の手で丹念に仕上げられた同社独自の摺動面設計による高精度動圧すべり構造を採用。駆動方式は独自の高耐久性サーボシリンダを採用、他のすべり摺動面の機械にはない真直精度を実現している。
砥石軸には15kW高出力モータを採用し、最大φ510×75mm幅の砥石まで装着でき圧倒的な能率加工を実現する。標準はベアリング軸受け、オプションにより油静圧軸受けを搭載可能だ。
省スペースにも徹底的にこだわりをみせ、設置面寸法は4.5×2.2m(標準仕様時)と同一加工面積に対して業界最小の設置スペースを達成している。従来のシングルコラム機と比較し、設置面積を5割削減、門下を通過可能な最大ワーク高さは600mm。最大ワーク通過幅は800mmと余裕のある設計になっている。床面からチャック上面までの高さは850mm(チャック厚み100mmの場合)で作業者の寄り付きも良く、足場なしでワークセット作業を行える。
クーラントタンクには独自の強磁式マグネットセパレータを採用、重研削加工に対応した仕様となっている。作動油タンクのポンプモータは駆動状況に合わせて最適化制御を行い、省エネを実現する。
制御にも注目したい。平面・溝加工に特化したタッチパネル式簡易型制御システム「Neo3」を採用、平面・溝の自動検索、自動ドレスを画期的な使い勝手で設定可能だ。半手動研削使いも可能な画期的なシステムである。オプションでワーク高さの自動計測、自動追い込み研削が可能な「SMART 1D PROBING」、任意の形状を自在に加工できる「スマートサーフアップ®」の搭載も可能。
■仕様
なお、このマシンは、本年11月8日(火)~13日(日)まで東京ビッグサイトで開催される「JIMTOF2022」への出展を予定している。