明治18年の「小学校生徒用物理書」

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 明治18年に出版された「小学校生徒用物理書 巻之上 巻之中 巻之下」〈発行:(株)数理設計研究所〉を拝読しました。明治に発行された内容を数理設計研究所さんが一冊にまとめたものです。原本の良さを残しつつ編集されていることにも驚きましたが、さらに、びっくりしたことがありました。「当時の小学生はこんなに高度な勉強をしていたのか!」ということです。

 実験機器を示すものについても、当時は写真を使うことがあまりなかったのでしょう。繊細な図と、その説明から、まさに〝大人の読み物〟だと感じました。

 当時の教師はまだ幼い児童にこの書籍を用いていろいろと教え、実験をしていたのだな、と想像しました。ひょっとしたらマクロ的にみて、現代の成人より当時の小学生のほうが知的レベルは高かったのかもしれない・・・・と少々不安になったほどです。

 内容的には物理の基本ですから、とっくに成人している現代人のわたしにとっても、非常に参考になります。こうした書籍はなかなかお目にかかることはありませんので、これを発行してくれた数理設計研究所さんには感謝です。

 国内製造企業を経営する皆様の中には、持続可能な社会を考え、〝人材育成〟について本気で考えていらっしゃる方が多いのですが、若者に興味を持たせるための手法について大人が真剣に議論しているニュースはあまり聞くことがありません。楽しければいいや、的なその場しのぎの手法も興味を持つ良いきっかけになるかもしれませんが、一時の感情だけでは、継続することは難しいようにも感じています。

220808b2 一生勉強といいますが、まさにそのとおり。知識が貯金をするように貯まれば、厳しい世の中においても、よほどのことが無い限り、蓄積した知恵が助けてくれることでしょう。生きるためのアイテムは豊富なほうがいい。

 今回、数理設計研究所さんがまとめた一冊は、子どもでも読めます。なんとなく〝大人になった気分〟を味わいつつ、今の時代、知らない言葉は簡単に調べることができますので、こうした知的好奇心をくすぐる王道のような書籍の登場に、わたしはとっても嬉しくなりました☆ 

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