【若者コラム】共創したいけど競争したくない若者と未来を創るために

 どうも、名古屋大学大学院博士前期課程2年の佐藤伸成です。専門は、折り紙を用いた宇宙構造物/形状計測→構造最適化(トポロジー最適化)です。学部時代は人工衛星開発などに従事し、現在はWebメディアやNPO法人の一員として、後進育成・学生の開発支援などに知見を活かして、宇宙産業を拡大せんと日々活動中です。

 今回のテーマは、「24歳の自分が考える未来、その未来との若者としての関わり方」です。それはずばり「競争と共創のバランスが取れた社会」です。最近、AI/DXを用いたビジネス的な意味の全体最適や共創の言葉をよく目にします。しかし、その中で競争・部分最適を古き悪とし、共創・全体最適を崇め奉る風潮があります。何事も二極化させる、私の苦手な言葉です。この風潮の意図する所は、人や工程のまとまりのなさを解消するだけで、持続的イノベーションに過ぎません。また、共創についても様々な様式の製品が生まれることは嬉しいですが、小さな寡占状態とも取れるので、適切な競争の元に適切な価格設定がなされる状況もまた必要と感じます。二極化するともう一方の本質的に良い部分を見失い、元々の強みすら失いかねません。バランスを取るのが難しいですね。それならば、「将来皆が使うサービスを自分も巻き込んで共創していくという意識」がある社会の下で、破壊的・持続的の2種のイノベーションの両立がされて欲しいと私は思います。

 要は、完成品を享受・導入するのではなく、自らがアーリーアダプター(初期採用層)として事業者と共創しシェアを開拓する風潮があると、自分らが別の事業者とともに未来を創るワクワク感・新規性などを持ちつつ、競争的な側面も織り込んだ上で中長期的な利益獲得につながると考えます。それを踏まえて、私は20%ルールに相当するものがあると嬉しいです。経験則として、興味が向かないのは単に知らない・時間/金銭的余裕がない、という場合がほとんどです。ですが、会社の後ろ盾の元、同業/異分野関わらず好きなことが出来れば失敗を恐れず、挑戦しやすくなります。特に上司が積極的に制作活動や外部と交流する姿勢があると、心理的安全性も働きやすく若手ものびのび活動出来ます。なんなら事業と全く関係ない趣味・分野から派生した事業案があって良いとすら感じます。「挑戦=失敗/リスク」という価値観をポジティブなものに置き換える仕組みがない限り、誰も動きません。その点、今の宇宙産業はあらゆる分野との共創がありますが、どれも未熟であると同時に新規事業の宝庫です。高度な技術要求が宇宙に参入する障害と言われますが、設計上の制約条件の違いがあるだけで、地上の産業と本質は実は同じです。そして、宇宙産業は界隈に少し足を運んでコネを作れば、結構ノリが良いので、意外と何とかなる狭い世界です。むしろ、飛び込み将来のシェアを獲得するのは未来を声高に語る今だと思います。

 私自身、PMとしての開発、最適化の研究への従事、様々な現場・スタートアップの方々との交流のおかげで、色々なしがらみを比較的理解した上で、競争と共創の視点を得ました。今後は、この感覚をベースに現場特有の暗黙知やその要因を洗い出した上で、高い技術を引き継ぎながら新規事業創出、宇宙産業の量産拡大・発展させることが目標です。願わくは、我々若者に比べ圧倒的に競争心や専門性が豊富なベテランの皆様には、ノウハウなどの暗黙知の可視化、新規事業への専門的なフォロー・指導などを企業の屋台骨として次世代を率いて引継ぐ中で、現代のAIですら追いつけない勘所を是非残して欲しいです。つまりは、適材適所、私の好きな言葉です。

■ライター
佐藤 伸成 (さとう しんせい) 名古屋大学大学院 工学研究科 博士前期課程2年。
 学部時代にサークル・研究室で模擬人工衛星CanSatや超小型人工衛星「ひろがり」の開発・運用に従事。NPO法人UNISEC2021年度学生代表として、衛星などの開発の経験を活かしながら、後進の教育も兼ねた開発環境改善や競技大会の運営・審査に関与。現在は、構造最適化手法のトポロジー最適化を用いた衛星構造の設計に関する研究に従事。宇宙ビジネスメディア宙畑でバイト中。

MOLDINO

 

JIMTOF2022