日立金属 誘導モーターの高効率化に貢献する高性能磁性楔の開発

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 日立金属は、このほど、モーターの高効率化への取り組みとして、これまで蓄積してきた独自の粉末冶金技術を発展させ、新たなモーター用磁性楔(くさび)を開発した。同製品の高い透磁率や信頼性により、モーターのさらなる低損失・高効率化を実現することで、社会の電力消費およびCO2 排出量の低減に貢献していく。

 誘導モーターは、交流電流の電磁力によって動くモーターで、ポンプや圧縮機などの産業用途や鉄道車両用途などに広く使用されている。現在これら誘導モーターは、各国の「トップランナー制度」により高効率化が進められている。また、世界の電力消費量のうち、モーターの電力消費量が40%を占めるといわれており、その高効率化は電力消費量および発電に伴うCO2 排出量を削減するために重要な課題であり、さまざまな取り組みがされている。

 その取り組みの1 つとして、モーターの構造やサイズを変えることなく、実装するだけで高効率化を実現する「磁性楔」の存在が注目されている。一般的にモーター用の楔は、コアのスロット部に巻かれたコイルの脱落を防ぐ役割を担っているが、この楔に磁性材を用いることで楔に磁束が生じ、エネルギー効率を高めることが可能となる。

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 しかし、従来の磁性楔は樹脂中に鉄粉を分散させた構造であるため透磁率が低く、モーターの効率改善効果を十分に得られない課題があった。また耐熱性も低く、高温用途には向きませんでした。このためモーターに磁性楔を用いるには、モーター内の過酷な環境に耐えられる強度や透磁率、そして耐熱性が求められた。こうした背景を受け、同社では、磁性粒子同士を接着する新技術を用いて、樹脂を含まない新しいタイプの磁性楔を開発した。この新技術により磁性粒子の密度を高めることが可能となり、従来比約2倍の高透磁率を実現した。また、高密度であるため強度は従来比約1.5 倍であり、さらに、樹脂レスであるため高温でも強度が低下しない優れた耐熱性を実現した。また、従来材を上回る高電気抵抗を有するため磁性楔自体に発生する渦電流損失を抑制することが可能となった。従来材よりも高い熱伝導率を有するのでモーター冷却効率の向上にも効果が期待できる。
 

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