日本精密測定機器工業会・日本光学測定機工業会が合同賀詞交歓会を開く
日本精密測定機器工業会(会長=吉田 均 東京精密会長)と日本光学測定機工業会(会長=浜田智秀 ニコン シニアアドバイザー)が1月17日、霞山会館(東京都千代田区霞が関)で合同賀詞交歓会を開いた。
日本精密測定機器工業会を代表して吉田会長があいさつをした。この中で吉田会長は今後の見込みについて触れ、「昨年の販売実績は対前年比117%の1,113億円になる見込みで、あり、2018年のピーク時に比べ近いところまで回復した。特長的だったのは、従来、この測定機器の一番の需要先は自動車部品も含めて自動車産業だが、昨年の実績を見ると2018年に対して80%までしか戻っていなかった。伸びたのは半導体および半導体の装置であり、自動車が伸びきれなかった分の補填をして過去最高の近くまで伸びたことである。今年は自動車がどこまで回復してくるか。EVシフトによる影響、測定系の業界への影響がどうなのか。このEV化の影響にはプラスマイナス両方あり、プラス面は新たにEV車に向けたバッテリーやモーターの測定需要、これが掘り起こされる。また使ってるギアをはじめとする使う部品が今までよりもワンランク上の精度になってくる。ここに測定機の需要が新たに生まれてくる。一方のマイナス面はエンジンがなくなってくるので、そこで使われる測定需要は減ってくることもあり、プラスマイナス両面があると思っている。今年はこの自動車産業の大幅な回復を期待したいところだが、足元の状況としてはまだまだ半導体不足があって思うように生産が上がらないというようなことを聞いている。また、EV化に向けたEV投資についても世界的に始まっているが、日本は少し欧州に比べて出遅れてる感がするが、今年から本格的なEV化に向けた投資が始まるものと見ている。」と期待を込めた。
続いて、日本光学測定機工業会を代表して浜田会長が、「昨年からコロナだけではなくて戦争の影響、戦争の影響によってエネルギーの問題、そして円高の問題が本格化し、市場自体にはマイナスの影響をもたらしているという認識だが半導体および一部の領域では投資をしっかり行う傾向がここにきて見受けられるようになってきた。このような状況下において、光学測定機はいち早くコロナ前まで回復し、昨年はそれ以上の伸びを示している。市場とは少々違った動きをしており、これは産業構造が大きく最近変化しているという認識を持っている。その中でも自動車産業は大変革が続いている。デジタルトランスフォーメーションもそうだが、電子機器の需要は飛躍的に増加しており、これらが一層高度化する流れのなか、電子部品やデバイスには極めて高い性能と信頼性が要求されるということは言うまでもない。電子部品はともすると人命に関わるという側面を持っている。これは品質に要求されることがより厳密、厳格になってきており、全数検査を行わなければならないという領域がますます増えている。これまでのように検査や分析を専用の施設や場所で行うのではなく、これからは生産ラインの近く、もしくは生産ラインの中で常時モニター、分析しながら解析して生産するということが必要になってきている。これが先ほど世の中の状況とは違って測定器、特に光学測定器がプラスに働いた要員の一つだと考えている。」と述べた。
来賓を代表して、経済産業省産業機械課 池田秀俊課長補佐が、「コロナ禍から経済活動が回復しつつある中でロシアによるウクライナへの軍事侵攻があった。世界的には原油や物価高、さらには歴史的な円安で目の前の新たな危機が出てきているというような状況である。また製造業、わが国の製造業については、さまざまな影響が今でも続いているというような理解でいる。経済産業省では、さまざまな状況変化、さらには今後中長期的な産業構造の変化に対して本年は3つの中心的な政策を進めていきたいと考えている。① DX、デジタルトランスフォーメーション、② GX、グリーントランスフォーメーション、③ 経済安全保障の3つを基本的な政策の柱として産業界の皆さまと緊密な連携を取りながら全力を尽くしてまいりたい。」と力強くあいさつをした。