「ものづくり関連団体との連携を強化」日本機械工具工業会が賀詞交歓会を開く
日本機械工具工業会(会長=田中徹也 三菱マテリアル常務)が去る1月17日、丸の内東京會舘(東京都千代田区丸の内)で新年賀詞交歓会を開いた。
あいさつに立った田中会長は、昨年を振り返って「新型コロナのまん延による行動制限が解放され、日本国内はもとより、海外との往来も復活し、経済活動が活発化した年となった。その一方で、ロシアのウクライナ侵攻や中国のゼロコロナ政策による欧州や中国の経済の停滞、資源、エネルギー価格の高騰、米国の段階的な利上げに伴う景気後退感、日本は年間を通じての円安の進行で、われわれにとってはポジティブな要素とネガティブな要素と、両方あったのではないか。また、昨年11月にはJIMTOF2022を4年ぶりにリアルで開催され、当工業会からも多くの会員企業が参加した。ものづくり産業は、実際にリアルでものを見て会話をするということが大切だということをあらためて実感した次第だ。また、デジタル化に対応した製品やサービスの展示も多く、工作機械にしても工具にしても、製品の性能以外の付加価値を提供していくことが求められるようになってきていることも大きな特徴だったと思う。」と感想を述べた。
今年度の生産見通しについても触れ、「生産金額は、2018年が5,194億円と、5,000億円の大台を上回るピークを記録している。2020年度は、コロナウイルスのまん延による経済の減速で、3,698億円まで生産金額は低下している。同年の8月を底に生産が回復し、昨年度2021年度は、4,711億円ということで、コロナ前の2019年を上回るレベルまで回復をしている。また、昨年の秋に集計した今年度の見通しは、5,000億をやや下回るという予測だったが、現在までの最新の進捗を見ると今年度は5,000億円の大台が視野に入っているという状態である。ぜひ5,000億円の大台に乗せたい。2023年度は世界銀行の世界経済見通しによると世界全体の実質成長率は、1.7%であるとの予測が出ている。ものづくり業界にとっては半導体部品の供給不足が一定程度回復してくるということ、航空旅客需要がますます回復することによって、航空機の生産の回復が見込めるといったような、ポジティブな側面も見えてきた。このような状況の中、懸念事項は多いものの2023年度は、ぜひ2018年度の5,194億円を上回る生産を目指して、取り組んでいきたい。」と期待を込めた。
また、同工業会の2023年度重点施策については、「EV化対応、DX対応、環境対応、業界連携、この4項目について取り組んでいく。」とし、具体的には、「EV化に伴う新規の部品への新工具や新工法の提案、あるいは自動車以外の分野、航空機産業やロボット産業向けの工具を展開する。また、海外向けビジネスの少ない会員各社への海外市場展開をサポートすることなどに取り組んでいく。DX対応では、ものづくりの現場から販売、流通の現場まで会員各社のデジタル化をサポートしていく。環境対応では、カーボンニュートラルを目指した脱炭素社会の実現への取り組みを進める。業界連携では、日本工作機械工業会、日本工作機器工業会、日本ロボット工業会など、ものづくり関連団体との連携を、さらに強化していく。」とした。
来賓を代表して経済産業省製造産業局 安田 篤 産業機械課長があいさつをした。この中で安田課長は、「IMTOFでは、GX、DXのニーズに対応する新しい製品、ソリューションが多く展示をされていたと記憶をしているが、そうした流れの後押しをさせていただきたく、昨年の末に補正予算が成立した。補正予算の中ではDX、GXに取り組む皆さま方へ対する補助をさせていただくメニューが多数ある。ものづくり補助金、事業再構築補助金、省エネ補助金、そういったメニューが今年活用できるフェーズに移り、ぜひお使いいただきたい。また、経産省は、福島の復興が重要な課題となっている。昨年末に経産省のホームページでは産業界の皆さまと政府が連携するネットワークとして〝魅力発見! 三陸・常磐ものネットワーク〟というホームページを立ち上げている。これは三陸・常磐でとれる水産物の消費を拡大するもので、この春から夏にかけて、廃炉に伴う処理水の海洋放出のタイミングが来ていることに伴い、風評被害を防止するという観点もある。この趣旨にぜひご賛同いただける企業の方々には、社食あるいはお弁当で、消費の拡大にご協力をいただきたい。」と述べた。
寺島誠人副会長(東鋼社長)が乾杯の発声を行った。久々にリアルにて親睦を深めたあと、佐橋稔之副会長(住友電気工業常務)の中締めで散会した。