機械振興協会 「第57回機械振興賞」表彰式を開く

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 機械振興協会(会長=釡 和明氏)が、去る2月21日、東京プリンスホテル(東京都港区)で「第57回機械振興賞」の表彰式を開いた。

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あいさつをする釡会長

 釡会長は日頃の感謝の意を表したあと、「地政学、環境、人口など、大きな社会の変化が生じているなか、エネルギー、モビリティー、社会システムの変化など、産業や暮らしの面での対応が進みつつある。半導体に象徴されるように、日本国内でのものづくりの役割が再認識されている。機械産業はこうした動きを土台に、中心的な存在としてますます大きな役割が期待されている。当協会におきましては、機械産業における研究開発用具の効用を目的として、優れた研究開発を行い、その成果の実用化に成功された企業および研究開発担当者の表彰する制度を、昭和41年に開始した。今年度の応募件数は、ここ10年で3番目となる33件をいただいた。幹事会における詳細な調査に続き、審査委員会で厳正な審査を行い、技術の特徴性および経済性に優れた、14件の研究開発と1件の支援事業の表彰を決定した。」とあいさつをした。

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経済産業省 山下製造産業局長

 来賓を代表して経済産業省の山下隆一 製造産業局長があいさつをした。この中で山下誠三産業局長は、「今回選定された15件の研究開発や支援事業は、いずれも機械産業の発展に貢献する素晴らしい技術。例えば経済産業大臣賞を受賞されましたマツダおよびマツダE&Tによります研究開発成果は、足の不自由な運転者にとりまして、大変大きなインパクトをもたらすものだといえる。具体的にはハンドルのどこを握っても、アクセル操作が可能なリング状の補助装置を開発し、また通常の車のオプション品とすることで、健常者も障害者も共に運転を楽しめるようにしたということが、高く評価をされたと伺っている。本日受賞された皆さまをはじめ、機械産業に携わる皆さまにおかれましては、今後も絶えず新技術の開発や実用化に励んでいただきたい。イノベーションこそが時代を切り開く鍵であり、わが国が直面するさまざまな課題を解決する力の源である。経済産業省といたしましても、大胆な支援によって民間の投資を後押ししていきたい。」と声援を送った。

 続いて中島尚正審査委員長(東京大学名誉教授)が審査委員会審査報告を述べ、受賞者に賞状並びに副賞の贈呈が行われた。

謝辞「誰もが生き生きと暮らす楽しさと生きる喜びを」

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謝辞を述べるマツダ 小島常務(右)

 受賞者を代表してマツダの小島岳二常務執行役員が次の通り謝辞を述べた。

 「マツダ株式会社は日々の日常に動くことの感動を創造し、誰もが生き生きと暮らす楽しさと生きる喜びを提供したいと考えています。そのために人中心の思想を土台にしたものづくりの推進を大切にしています。

 例えば創業103年の歴史を振り返りますと、約60年前、手動運転装置を自社開発し、R360クーペという商品に搭載して市販をしていました。それは3代目社長の松田恒次が足が不自由であったこともあり、全ての人に車を持つ当たり前の幸せを提供したいという思いからでした。これを継承し最新の技術でよみがえらせることで、多様な人材が活躍する現代においても貢献したいと考えます。

 今回受賞しました「みんなが走る歓びを共有できる新コンセプト自操車の開発」は、下肢障害者の方々の困りごとや感じていることを聞くところから始めました。その中で、自分で行きたい所に行くためには、運転や移動にまつわるあらゆる不安を安心に変え、気兼ねなく自然に楽しむことが運転を通じたエンパワーメント、すなわち主体的に行動できるように働きかけることの本質であることに気付かされました。

 その理想に少しでも近づけるために、例えば運転時には足で踏ん張れないため上半身が倒れやすいという不安に対し、ステアリングを両手で握って体を支えやすいようにリング式アクセルを採用しました。また車椅子からの乗り降りの際に時間がかかるのが恥ずかしかったり、転倒が怖かったりという不安には、健常者と大差ない時間で乗り降りができる、人間工学に基づいた折りたたみ式ボードを装着しました。そして手動運転とフットペダルでの運転操作の切り替えが電子制御で簡単できるようにして、1台の車で家族や友人と運転を代わりながら遠出ができるという新しい価値を実現しました。

 マツダは車を必要としている全ての人に寄り添える自動車企業でありたい、そして車を通じてお客さまの行動範囲が広がり、さまざまな人や事との出会いを得て、笑顔を広げていただきたいと考えています。今回の受賞を励みとしまして、技術者一同、今後もお客さまが豊かな人生を過ごされている姿を思い描き、それを支援できる技術・商品の実現に向けて一層のチャレンジを続けていく所存でございます。引き続き、格別のご指導、ご鞭撻、ご支援を賜りますよう、何卒よろしくお願い申し上げます。」

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