日本ロボット工業会「2023年度通常総会」を開く
日本ロボット工業会(会長=山口賢治 ファナック社長)が、5月31日に「2023年度通常総会」を開いた。総会終了後、ロボット関連産業の発展および団体業務に多年にわたり奨励され貢献した功績を称えた表彰式が開催され、懇親会が開かれた。
市場拡大に注力
懇親会であいさつに立った山口会長は、「本日の総会において、2018年7月に当会の特定事業委員会として発足したFA・ロボットシステムインテグレータ協会が6月1日より一般社団法人日本ロボットシステムインテグレータ協会として独立し、事業を開始することが承認された。」と報告し、「ロボット市場の拡大にとってシステムインテグレータの役割は欠くことができず、当工業会としても引き続き新協会と連携しながら産業の発展に努めることとしている。」と述べた。
世界経済についても触れ、「株式市場が活況を呈しているが、世界経済はポストコロナに向けた動きが着実に進む一方、ロシアによるウクライナ侵攻でのエネルギー、原材料等の価格高騰やサプライチェーン等でのリスク、海外での金融部門の混乱等が見られるなど、その先行きには予断を許さない状況にある。」としたうえで、「このような状況の下、昨年2022年のわが国のロボット産業は半導体をはじめとする部品不足や世界経済の影響にあっても、国内外ともに自動化投資意欲に支えられ、受注額では対前年比3.1%増の1兆1,118億円、そして生産額は初めての1兆円超えとなる8.7%増の1兆210億円となった。」とした。
見通しについては、「本年2023年のわが国のロボット産業は引き続き高い自動化需要がうかがえるものの、当初見通しに比べて調整局面が見られている。そのため2023年の受注額の見通しは、新年賀詞交歓会で発表しました対前年比3.6%増の1兆1,500億円から、対前年比8.3%減の1兆200億円に見直した。ただし生産額の見通しにつきましては2.8%増の1兆500億円と、当初の見通しのままとしている。」と述べた。
2023年度の事業方針では、「工業会の活動の柱となっている市場拡大に向けた取り組み、イノベーションの加速化、そして国際標準化の推進、国際協調、協力の推進を重点項目として、業界活性化のさらなる推進に向け活動を行う。」と意気込みを示した。
世界は新しい時代に向かって歩み始めている
来賓を代表して、西村康稔 経済産業大臣があいさつした。その中で西村経済産業大臣が「先日、米国のデトロイトでインド太平洋経済枠組みの閣僚会議があり、サプライチェーンをこのインド太平洋でつくるための実質合意ができた。日本、米国と一緒にサプライチェーンをつくっていこうという第一歩が踏み出された。」旨の意気込みを示したあと、「デトロイトは米国の自動車産業が厳しくなるなかで街は廃れてしまったが、現在、再生に向かって歩き始めている。廃れたセントラルステーションのビルを現在、フォードとグーグルが再開発をして研究開発センターにしようとしている。どんなスタートアップになるかと見学したところ、自動運転自動配送ロボットのスタートアップベンチャーが数十社入っていた。トヨタは日産も研究センターをデトロイト郊外に置いている。こうしてどんどん新しい動きを加速している。世界が今、この新しい時代に向かって歩み始めていることを痛感した。」と話し、「日本は世界最先端のロボットをつくっている。〝鉄人28号〟、〝鉄腕アトム〟、〝ドラえもん〟など、われわれはロボットと非常に親和性の高い社会がある。ぜひ世界のこの競争に先んじて大いにチャレンジをしていただきたい。」と声援を送った。
乾杯の発声を橋本康彦副会長(川崎重工業社長)が行った。宴もたけなわのころ、散会した。