【動画】サンドビック 彫刻界の巨匠5人とコラボレーション! 「不可能を可能にする彫像」を発表

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 サンドビックがこのほど、AI、最先端ソフトウェアソリューションに加え、最先端の製造技術を駆使して創られた現代エンジニアリングの傑作である「不可能を可能にする彫像」を発表して注目を集めている。

 スウェーデンの国立科学技術博物館 Tekniska Museet に展示されているこの芸術作品は、 500年の時間を隔てた偉大な芸術家、ミケランジェロ、ロダン、コルヴィッツ、高村光太郎、サヴェージの5人作品を基にして作られている。

 「不可能を可能にする彫像」は、AI のモデリング機能と最新の製造ソリューションの革新的な活用により実現した。エンジニアリンググループ会社であるサンドビックは、最先端の切削工具とソフトウェアソリューションを提供し、切削加工の分野で世界をリードしている。

 サンドビックの切削工具と専門知識は、航空宇宙産業から一般機械産業、医療機器産業に至るまで、幅広い産業分野で使用されている。同社の工具は、航空宇宙産業用エンジン、医療用インプラント、電気自動車部品などの、品質要件のきわめて高い部品の製造に活用され、10万社を超える顧客との取引を有しており、40万以上の製造ソフトウェアライセンスがインストールされている。

 Tekniska Museet 館長のペーター・スコフ (Peter Skogh) 氏は「〝不可能を可能にする彫像〟は、現代のテクノロジーと人間の才能の組み合わせが生み出すことのできる素晴らしい一例です。私たちの使命は、テクノロジーをより広く理解してもらい、次世代の人々を刺激することで STEM 分野におけるキャリアを目指すようにすることです。このプロジェクトは私たちの要望をすべて満たすもので、来館の皆様にこの彫像をお見せできることに胸を躍らせています。」と述べている。

不可能を可能にする手法

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 この彫像は、下記の彫刻界の巨匠5人のそれぞれの特性のバランスに配慮しながら、多数の AI モデルをトレーニングすることで設計されている。

●ミケランジェロ (イタリア、1475-1564) のダイナミックなオフバランスポーズ
●オーギュスト・ロダン (フランス、1840-1917) の筋肉と黙想
●ケーテ・コルヴィッツ (ドイツ、1867-1945) の表現派の感性
●高村光太郎 (日本、1883-1956) の活力と質量へのこだわり
●オーガスタ・サヴェージ (米国、1892-1962) の人物に見られる反骨精神

 これら5人の芸術家のスタイルを融合させた2Dデザインを作成した後、これを完全な 3Dイメージに変換するプロセスに着手した。深度推定装置による初期 3Dモデル構築、人間のポーズ推定装置による体型の改良、ビデオゲームアルゴリズムによるリアルな生地の生成、そして、それまでの工程で欠けていた細かいディテールの再現する専用のAI によって、サンドビックはそのデザインを具体化する準備を整えた。業界で最も広く使用されている CAM (コンピュータ支援製造) ブランドである Mastercam のソフトウェアを使用して、600 万以上のポリゴンと複雑なディテールを持つ彫像が作成された。

 製造工程はそれぞれの材料を切削する前にシミュレーションにおいて徹底的にテストされ、サンドビックのエンド・トゥー・エンドのデジタル加工能力の可能性を示した。サンドビック独自の加工シミュレーションおよび最適化ソフトウェアの VERICUT により、安全で信頼性が高く、効率的なツーリングを確実なものにし、加工プロセスはサンドビック・コロマントにより行われました。加工を開始する前に各パーツがデジタルで完成されていたため、プロセスを通して彫像のパーツをスクラップして作り直す必要は全くなかった。

デジタルシミュレーションで手作業の1/6に短縮

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 デジタルシミュレーションにより、工程のテストと検証の合計所要時間は、手作業で行う場合の1/6に短縮された。さらに、デジタルシミュレーションツールにより、ステンレス鋼の量も従来1/2になった。工具使用とツールパスを仮想最適化するデジタルソリューションにより、プロセス全体を通して学習曲線も急激な上昇を示し、最初の作製では100回のシミュレーションが必要だったのに対し、最終品の作製で必要なシミュレーションはわずか3回であった。

 サンドビック・コロマントの旋削、フライス、穴あけ工具を使用して、17個の部品を加工した。この方法は、良好な加工面品質のため他の方法より優れた方法と判断された。完成品のパーツ間の交差部分は精度がきわめて高いため、肉眼ではほとんど確認できないが、サンドビックは彫像を分割することにより、必要となる鋼材の量を大幅に減らすことができた。また、加工前のステンレス鋼から除去された材料はすべて、このプロジェクトのために材料を供給したAlleima社によりリサイクルされた。

 彫像の製作には、CAD (コンピュータ支援設計) モデリング、CAM プログラミング、加工のエキスパートチームが参加した。プロセスにおいては4000万行のGコードが生成され、製造において CNC (コンピュータ数値制御) 機でのさまざまなパーツの加工をガイドするために使用された。最後に、サンドビックグループ傘下のMetrologicグループの先進的な計測ソフトウェアを使用して、彫像のディテールが確認された。

驚くべき数値

 完成した彫像は、重さ500kg、高さ150cm。デジタル設計との誤差は30マイクロメートル (0.03 mm)未満で、その大きさと3Dモデルの複雑さを考えると、驚くべき数値と言うことができる。

 これはたとえば、スイス製の時計の製造に求められる精度と同じで、最適な彫像製造方法の仮想シミュレーション、デジタルツインテクノロジーとツールパス最適化技術を活用して達成されたものである。

 サンドビック・マシニング・ソリューションの社長ナディーン・クラウヴェルス (Nadine Crauwels) 氏は、「〝不可能を可能にする彫像〟を作製するために用いられた加工方法は、私たちが日々お客様に価値を提供するために用いているのと同じものです。デジタルソリューションと切削工具にわたる卓越した能力により、当社は世界の主要産業において部品加工を推進し、全加工プロセスにおけるすべてのステップを連携させ、効率と持続可能性を改善するのに絶好な立場にあります。〝不可能を可能にする彫像〟の作製は、そのことを示すために実現したもので、すべての可能性を活用することで製造効率を大幅に改善し、無駄を省き、加工の各工程において最高の品質を確保することができました。」と述べている。


 
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