「限りない技術革新への挑戦!」 イスラエルのイスカル本社でファーストクラスディーラーと関係ユーザーを対象にセミナーを開催(後編)

 

「イスカルの源泉はイノベーション」イラン・ゲリCEO

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写真右:イラン・ゲリCEO 左:メイール・ノイバウアー事業開発部長

 

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デジタル化の重要性を示すゲリCEO

 「我々は日本の製品やサービス、仕事の姿勢に高いリスペクトを持っている。かつて私の上司からも日本の品質に見習えという明確な指示があった。」とゲリCEOは話す。日本市場に対する思いについても触れ、「われわれの源泉はイノベーション。このイノベーションをどこまで日本の加工ユーザーに採用していただけるか、品質に対する信頼をどこまで得られるか。既存の限定された〝箱〟の中で戦略を練っているだけではイノベーションは生まれない。われわれが日本から学んだことは、高品質の製品を安定して供給するためには、決まったルールに対して厳正に従うことだった。革新的な技術や発想で新たな価値を生み出すイスカルのイノベーションと日本が得意とする既存のルールにしっかり従うという、この2つを融合させれば、〝成功が待っている〟。」と力強く述べる。

 工場内における著しい自動化に驚いたことを伝えると、「品質を担保するには人の手を介してはならない。自動化を加速することで高い品質を保てるようわれわれも多く学び、そこに注力していくつもりだ。」とゲリCEO。

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従業員が働きやすい環境整備にも注力しているイスカル社。敷地内には芸術的な作品が多く展示され癒やしを与えている

 自動化が加速する一方で、サステナビリティを重要視しているイスカル社。同社のサステナビリティとは、次世代の生態系を守りながら、顧客や従業員、環境に利益をもたらす企業活動を続けるという価値観にある。多様な文化を尊重し、従業員の成長と専門的に秀でるための平等なチャンスを提供する環境も整えており、従業員を会社の最大の資産と捉えていることも魅力的である。これらの考え方は、イスカル社の一貫した企業理念でもあるという。

 ゲリCEOは、「長期雇用と雇用の確保は非常に重要なもので、わたしもイスカルで育ってきたし、イスカルで育ってきた人たちが上に上がっていく。上司から受け継がれ学んだものは品質につながると思っている。」と人材育成の重要性を示しており、人を中心とした開発を通じてサステナビリティを実践している。また、社会的責任と事業活動は切り離せないという考えのもと、医療研究および生活困窮者への定期的な寄付も実施しており、長い時間軸での持続可能性を見据えている。

ニーズに対応した開発製造 ~お客様にバリューを提供することが使命~

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様々なシステムやアプリの開発にも注力

 さて、イスカル社は、世界の超硬切削工具では第二位のシェアを誇る。日本でのシェアは約6~7%だが、「日本における今後の伸びしろに期待している。」とゲリCEO。日本でのシェアアップを図るため、「製品以外の高付加価値を常に付けて製品の供給をすること。そのためには顧客従事をしなくてはなにも起きない。生産性の向上を介して付加価値を生み出すことができると信じている。市場に期待というよりも私たち自身に対する期待を持っている。」と力強い。

 同社では、現在、顧客とのコミュニケーションをより強化するため、デジタルプラットフォームの構築に注力している。グローバルに豊富な加工成功事例と知見を持つ同社が効率的に付加価値を提供するためには、「デジタルとリアル双方での営業が必要になる。」という。これを実践する担当者を〝ハイブリッドセールスマン〟と呼んでいる。

 デジタルの特長は、これまでに蓄積された加工テストのデータを活用し、クリック一つでAIが適切な工具を提案し、使用機械や被削材に応じた推奨加工条件まで提示してくれる。27言語に対応しているというから地球全体で広く利用できるものだ。顧客の困りごとに速やかに対応できるようどんどん進化し、拡張していく点もデジタルの強みであろう。

231016top11 今回、画期的な積層造形技術を活用した工具製造を工場内で拝見したが、この手法を採用したきっかけについてゲリCEOは、「当社を牽引するR&Dチームが柔軟性を持ってお客様のニーズに対応した製品を開発製造するための幅が広がるからこそ採用した。われわれの活動はお客様にバリューを提供することなのです。」と述べている。

 現在イスラエルでは多くの先進的なスタートアップが輩出され、多くのグローバル企業がR&D拠点を有している。これらの最先端技術を取り込むことで新たなビジネスを創出している注目の国でもあるのだ。イスカル社のイノベーションを生み出し続けるための組織力と開発力に力強い未来を感じた。

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