天田財団「2023年度天田財団助成式典」を開く

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あいさつをする伊藤代表理事理事長

 天田財団(代表理事理事長=伊藤克英氏)が、去る11月25日、AMADA FORUM(神奈川県伊勢原市)で「2023年度天田財団助成式典」を開いた。
 
2023年度の助成先総数は106件、助成金総額は2億6,056万円で打ち分けは、研究開発助成86件、2億4,969万円、国際交流助成20件、1,088万円となった。

 伊藤代表理事理事長は主催者を代表して、日頃の感謝の意を表したあと、「金属加工というものづくりを通じて、継続して世界の人々の豊かな未来を実現することがアマダグループの責任と考えている。その思いから、天田財団は金属加工に関する研究開発への助成により産業経済の発展に寄与することを目的として、1987年に企業財団として設立され今年で36年目を迎える。設立から累計助成件数は2,214件、累計助成金額は39億7,603万円となった。」と述べたあと、世界情勢に触れ、「ロシアのウクライナ侵攻は丸2年に近づき、また中東ではウクライナとイスラエルの紛争により世界経済は大きなダメージを受けている。インフレーションの加速や、日本においては円安とゼロ金利で国力の低下の状況が続いており、一層先行きの不透明感が増している。一方、科学技術の分野ではデジタルトランスフォーメーションへの対応やChatGPTなど生成AIの活用等など、新しい分野での挑戦が求められてる。私はいつもの時代も科学技術はイノベーションこそが課題を解決して次の時代を切り開く原動力ではないかと考えている。」と力強く述べたあと、「近年、自然科学の分野における日本の地盤沈下が顕著だとの指摘もあり、大学院の博士号取得者が減少傾向にあるとも言われている。研究者の皆さまにとって、このようなわが国の研究開発環境にさまざまな課題や不安を抱えていられるものと拝察している。」との思いを述べた。

 伊藤代表理事は、「天田財団が目指しているのは、1つには若手研究者を育成することと、2つ目は研究成果を産業界へ普及啓発し、社会秩序につなげることである。この目標に向け微力ではあるがさまざまな課題に対してわずかでも貢献するべく、助成事業を通じて取り組んでいる。公益法人の使命は、より多くの人々の利益に質することである。日本が持続的に発展し、これからも世界に主導的な役割を果たすためには絶えず科学技術のイノベーションを起こす必要がある。本日の助成式典は、助成式典とともに皆さまに天田財団のこのような熱い思いもぜひ受け取っていただき、ご研究に取り組んでいただきたい。私が現役時代から常に発信していた言葉がある。〝2番じゃ駄目なんです。常に1番を目指してください〟天田財団は常に1番を目標にする技術者に助成を行いたいと考えいる。」と研究者に声援を送った。

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山梨アマダ社長

 続いて山梨貴昭 アマダ社長がお祝いの言葉を述べた。この中で山梨社長は、「ここ数年、わが国の企業を取り巻く環境は激変の様相を呈している。コロナウイルスやインフルエンザ等、健康上のリスクを依然継続しながらウクライナ侵攻を始めとする地政学リスクは中東問題の再燃により一層高まっている。これにより、エネルギーコストの上昇リスクも増大している。私たちはこのような環境の中でDXやAIをフルに活用した効率を追求はもとより環境に配慮した活動をより一層推進する必要がある。加えて、労働者、熟練工不足による自動化の追求等、企業経営にとって課題山積という局面が続いている。」と懸念を示したあと、「一方では部品不足からくる製造支援が解消されつつあり、企業は社会に必要とされている最新の機器を製造するために、最新の加工技術を追求しながらものづくりを行っている。機械メーカーであるわれわれ天田グループにおいても新たなコンセプトのもと、ものづくり企業を最先端の金属加工技術で支援する体制を整えている。足元の設備投資需要は底堅く、発表したアマダの決算においても、半期ベースで売上営業利益、当期利益は過去最高を更新した。」と力強さを示した。また、今後の展開にも触れ、「作業者に優しいマシンや深刻化する労働量不足を背景とした自動化の設備、最新かつ多種多様な素材に対する加工技術の要望は、日本のみならず世界的にも非常に強いものがあると改めて実感しているところである。われわれ企業側もさまざまな研究開発投資を行い、先端技術改革への探究を重ね、取り組んでいく覚悟だが、全てが企業の独力では解決できるものではなく、特に欧米の動きを見ていると産官学連携での取り組みが積極的に行われている。日本においても、このような活動が重要かつ取り組むべき課題ではないか。」との考えを述べ、「創業者の理念でもある、人々の豊かな未来に貢献していけるようビジネスを人間中心で考える企業として努力していく。」と意気込みを示した。

 続いて、迫田健吉 文部科学省 産業連携・地域振興課産業連携推進室室長が祝辞を述べたあと、渡辺一弘 創価大学共生創造理工学科教授 天田財団評議員が総評を述べたあと贈呈式が行われた。

 特別講演会として外本和幸 熊本大学 産業ナノマテリアル研究所教授が、「爆発圧接法を用いた微細多数穴によるチャンネル(ユニポア)構造の創製」をテーマに、佐野智一 大阪大学 大学院工学研究科 マテリアル生産科学専攻 教授が、「析出教科アルミニウム 合金の高強度継手を実現する」をテーマに講演した。

 場所を移して交流会が開催され、宴もたけなわの頃散会した。
 

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