MOLDINO 野洲工場を徹底取材! ~最新工具で加工デモを拝見~
刃先交換式工具から超硬エンドミル、穴あけ、ねじ切り、面取工具まで金型加工に必要な切削工具を製造販売しているMOLDINO(モルディノ)(社長=鶴巻二三男氏、本社:東京都墨田区)の大きな特長は、素材から開発、生産、検査まで自社で完結し、金型加工に特化した独創工具を生産していることだろう。
また、設計、CAM、加工、磨き、組み付け、出荷、メンテナンス、修繕に至るまで切削加工だけでなく、全体を視野に入れた独自の『PRODUCTION50™』の考えに基づき、最適な工具と加工方法によってトータルの製造費削減を提案しており、画期的な取り組みとしてユーザーからの評価も高い。今回、同社の原動力のひとつである野洲工場(滋賀県野洲市)を取材した。
輝く従業員が輝く製品をつくる輝く工場
MOLDINOの生産拠点は、超硬素材と刃先交換式工具を開発・製造する成田工場、ソリッド工具から再研磨、再コーティングまでを担う野洲工場、生産の安定化を支える魚津工場の3工場。それぞれの工場が特性を持ち同社の独創工具を生み出している。
野洲工場の敷地面積は31,632㎡、延べ床面積22541㎡。従業員数は357名(2023年3月時)。なお、同工場では主力製品である超硬エンドミルをはじめ、ここ数年成長著しい超硬ねじ切り工具、またノンステップでの穴あけができるNSBシリーズに代表される超硬ドリルなど超硬製の軸もの工具の製造をおこなっている。
ここでは『STAR活動』が推進されている。この活動は、〝輝く従業員が輝く製品をつくる輝く工場を目指す〟ことを目的に2014年からスタートしており、改善活動の主軸になっている全従業員参加型の活動だ。職場の壁を取り除いた横断型の組織にし、①工場活性化につながる「おもてなし」、②安全管理に向けた「SF」、③品質管理の「QC」、全従業員参画小集団活動の「S5」――の4つのチームに分けられている。
特に注目したいのは、SFチームの活動内容だ。製造現場ではうっかりすると怪我につながるヒヤッとする場面に遭遇する場合がある。そのため、「従業員への安全教育には注力しています。」と、赤松 猛史 野洲工場副工場長兼製造部長(工学博士・砥粒加工学会フェロー)は話す。野洲工場のゼロ災害に向けた取り組みは、〝現場の安全を自分たちで築き上げる〟ことで実践しているという。
野洲工場内に設けられた、「安全体感道場」には、手動式チェーン巻き込まれおよび小型ローラー巻き込まれなどの〝安全体感装置〟が7設備設置され、これらの体感装置による〝危険感受性教育〟を徹底している。
「安全意識の向上は大切な仲間を守るため。現場へ配属される前に必ず皆が受講します。」と赤松副工場長。野洲工場では、全従業員参加型の「工場巡視」「安全AT訓練」を毎月2回実施している。
QCチームの取り組みも興味深い。2023年度の活動テーマに「品質管理の強化で社外クレームを根絶する!」とあった。ヒューマンエラーに起因する工程外流出現品管理を未然に防ぐための環境整備を行い、「管理不具合が起こりにくい仕組み作りを構築している。」とのこと。
野洲工場では、営業担当者や成田工場、魚津工場とも積極的に意見交流を図り、プロジェクト決定事項は現場へと展開している。工場内における全ての人材が安全に製品を正確につくり、常にトラブルを起こさぬよう日々改善する力を向上させているのだ。