ダイジェット工業 戦略的営業に邁進!
ダイジェット工業(社長:生悦住 歩氏)は、5月15日、シェラトン都ホテル大阪で、2024年3月期の決算(連結)説明会を開いた。
同社グループの企業環境は、自動車産業では半導体不足の解消や円安による改善がみられたものの、一部自動車メーカーの工場停止やリコール等の影響もあり、販売の伸びは徐々に縮小し、工作機械についても世界的な需要の落ち込みから低調な状況が続いた。
このような状況下で同社グループは、海外向けの販売は円安の影響もあり増加したが、国内向けの販売は製品納入先の在庫調整等により落ち込み、前年度より販売は低調となった。
切削工具についは、金型業界向けに小径・多刃仕様で高能率荒加工を実現する「SKSエクストリームEXSK 05形」を販売し、航空機産業やEV化で近年加工需要が急増しているアルミ加工向けでは、小径・多刃仕様で高速加工が可能な「エアロチッパーミニMAM形」を販売する等、顧客のニーズに応える新たな工具を発売してきた。また、耐摩耗工具については、同社独自の開発材料であるサーメタルに関して、これまで製作上問題のあった形状の加工精度をクリアすることで、新たな用途に向けた展開が可能となり、その特長を活かして従来の金型では対応できなかった領域で成果を挙げた。
その結果、連結売上高は前年同期比5.2%減の8,344百万円となった。収益面では、売上高の減少や売上原価率が悪化したなどにより、営業利益は前年同期比61.1%減の112百万円、経常利益は同44.2%減の174百万円、親会社株主に帰属する当期純損失は130百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益362百万円)となった。
製品別売上高は、焼肌チップが 前年同期比21.9%減の529百万円、切削工具は同3.1%減の6,886百万円、耐摩耗工具が同11.5%減の881百万円となった。
地域別売上高は、国内が前年同期比12.6%減の3,588百万円、北米向けが同1.8%増の1,080百万円、欧州向けが同7.6%増の1,358百万円、アジア向けが同2.0%減の2,291百万円、その他の地域向けが同29.0%減の26百万円で、輸出割合は前年同期に比べ3.6ポイント増加して57.0%となった。
今後の見通しについては、長期化するロシア・ウクライナ情勢や中東問題、原材料やエネルギー価格の高騰、世界的な金融引き締め等による急激な為替変動や世界的な景気後退が懸念され、不透明な経営環境が続くものと予想されるが、同社グループは、EV化がもたらす自動車産業の構造変革に一層注視するとともに、流通チャンネルを通じて顧客ニーズをつかみ、集めた情報を活かした戦略的営業を行うとしている。また、国内外の市場・顧客の新規開拓に向け、海外子会社や販売店等との連携も密にし、販売拡大を図るとともに継続的な品質改善、経費削減に向けた取組みを推進して収益性の向上に努めるという。
このような情勢を踏まえ、通期連結売上高は8,800百万円、営業利益300百万円、経常利益300百万円、親会社株主に帰属する当期純利益250百万円を見込んでいる。次期の為替レートは、1米ドル145円、1ユーロ155円を想定している。