「WCTC2024」牧野フライス精機 清水社長がスポンサースピーチで登壇 ~多くの機能の発明に注力~
工具研削盤は切削工具製造において欠かせないマシンのひとつだが、大阪府立国際会議場(グランキューブ大阪)で開催された「世界切削工具会議(WCTC)2024」2日目の5月22日に、スポンサースピーチとして牧野フライス精機の清水大介社長が登壇した。なお、清水社長は2013年に京都で開催されたWCTCでも講演を行っている。この10年間に、同社が注力してきた技術開発について英語で話をし、会場を盛り上げた。
1965年創業の牧野フライス精機は来年で60周年を迎える。国内には3拠点、海外市場は主にアジアで事業展開している世界最高水準の工具研削盤メーカーだ。創業後はオリジナルの工具研削盤の開発に着手し、1982年に世界初の10軸CNC工具研削盤を開発している。1983年には日本初の5軸CNC工具研削盤を発表し、2009年には画期的なマシン『AGE30』をリリース。このマシンは発売後すぐにベストセラーとなり、現在はビッグマイナーチェンジモデル『AGE30FX』をラインナップしている。
WCTCでは最新技術開発の一部を紹介した。同社の製品ラインナップの幅は幅広く、作業対象物の種類に応じて7種類のシングルチャックマシンを用意し、0.03ミリメートルから25ミリメートルまで研削ができるうえ、特殊用途のマシンも取り揃えている。ほとんどの工具研削盤メーカーがすでに生産中止をしているものも用意できる強みもある。同社は計測分やでは特にZOLLERと日本市場でパートナー提携をしており、ZOLLER社製の工具測定機や工具プリセッターマシンを販売している。
昨年10月にリリースされた最新のマシンであるマイクロ工具研削盤『DB1』について説明があった。このマシンは直線軸が4軸あり、回転軸が2つある。注目したいのは同社史上初リニアモーターをX軸とY軸に採用していることだ。ワークヘッドスピンドルを中心に様々な先進技術を搭載している。ダイレクトドライブモーターを採用することでバックラッシの影響を排除していることに加え、正確なインデキシングも実現している。
ランアウト精度と再現性に優れ、マイクロツールのシャンクサポートに対応するオリジナルアダプター『Neoflat』とコレット『D2』に加え、フルートサポートも取り付けることができると優位性を説明した。
非常に便利なシステムのひとつ、取り外し可能なカメラシステム『easy checker』についても説明があった。このカメラシステムを搭載することで、セットアップ操作をより簡単に便利にすることが可能になる。清水社長はスライドを見せながら、「作業員やオペレーター内部の砥石やワーク状態、形状をチェックすることができる。このシステムはフルートサポート位置を調整するのに非常に便利である。」と強調した。また加工デモについても画像を流して説明し、数々の〝牧野フライス精機ならではのテクノロジー〟を説明した。
この日の昼食会場では、スポンサー企業がブースを展開しており、同社も出展。世界から参加した切削工具メーカーから注目を集め、清水社長はさらなる質問を受けており、丁寧に説明をしていた。