「受注見通しの実現に向けて邁進」日本工作機械工業会 定時総会開く
日本工作機械工業会(会長=稲葉善治 ファナック会長)が、5月28日にホテルニューオータニ(東京都千代田区紀尾井町)で、「第14回定時総会」を開催した。
懇親会であいさつをした稲葉会長は、「2023年度はコロナ前と同様の活動を再開し、業界が直面する課題に取り組み大きな成果を上げることができた。」と感謝の意を表したあと、昨今の世界情勢に触れた。稲葉会長は、「東アジア、中東をはじめとした外交、地政学リスクの顕在化、世界的なインフレ加速など、政治、経済、社会における不安定・不確実な状況が続いている。」と述べ、本年4月までの工作機械受注額は4,817億円で、「年初見通し1兆5,000億円を幾分下回るペースで推移しているが、半導体関連や自動車などの設備投資が本年度後半以降に予測されており、また秋に開催されるIMTSやJIMTOFにおいて商談を盛り上げることにより、2024年の受注見通しの実現に向けて邁進していく。」と力強い意思を示した。
工作機械業界を取り巻く環境については、「技術的な面ではデジタル技術の活用による稼働監視、要望保全、周辺機器類と融合した工程集約や省人化が大幅に進展した一方で、工作機械や周辺機器を繋いだ生産システム全体の効率化、最適化への本格的な取り組みはこれからの段階と言える。通商面においては地政学的リスクの顕在化や国際社会の分断もあり、輸出管理、経済安全保障について最新の注意が必要になってくる。」とし、「少子高齢化時代に合った優秀な人材を確保し、育成していくことが不可欠。」と述べた。
今年度については、「2024年度から取り組んでいるデジタル、グリーン、レジリエンスを柱に『工作機械産業ビジョン2030』でシメされた、技術、市場、経営、人材の各分野における活動に取り組んでいる。その一環として、生産システムの自動化に必要な工作機械の仕様や。機能に関する指針の周知・普及を図るほか、日本流産学官連携拠点のあり方、カーボンニュートラル実現に向けた省エネ活動、デジタルツールを活用したEPA利用促進、将来有望なインド市場開拓に資する調査研究などを推進している。また若手の技術者など人材育成事業にも注力していく。」とした。
また本年11月に工作機械業界最大のイベントである『JIMTOF2024』について触れ、「今回のJIMTOFでは南展示館において、前回好評を博した、Additive Manufacturing Area in JIMTOFを再び開催するほか、出展者と学生をつなぐアカデミックエリアを設置して、企画展示などの恒例のプログラムに加え、業界セミナー、企業紹介、就活コーナーなどを柱とした学生企画を盛り込む計画も進めている。このほか、伝統行事である工作機械トップセミナーを開催する。」と力強く説明した。
来賓を代表して経済産業省の伊吹英明 製造産業局長が「国内投資促進でしっかり応援していくのが政策の軸となっている。工作機械業界は経済安全保障が非常に重要な分野であり、工作機械を支える部品も非常に重要なので、経済安全保障の中で特定重要物資に指定されており、それに対してしっかり国としても応援をしていこうと位置付けている。今年開催されるJIMTOFではぜひ、日本の工作機械産業は頑張っているというトレンドを発信していただきたい。」とあいさつをし、声援を送った。