MOLDINOが「MOLDINO VISION 2024」を配信 意気込みを示す

意気込みを示す金子社長


 MOLDINO(社長=金子善昭氏)が6月24日、オンデマンド配信で「MOLDINO VISION」を配信し、業績の報告、経営戦略、業界のトレンドについて説明をした。

 本年4月1日付けで社長に就任した金子社長よりあいさつがあった。この中で金子社長は、「前職の三菱マテリアルでは一貫して切削工具事業に国内外における販売活動に取り組んできた。引き続き切削工具業界において皆様方とともにMOLDINO商品の販売に携われることはこの上ない喜びであり、気持ちを新たに引き締めて頑張っていく。」と意気込みを示した。

 続いて、後藤 営業本部長から業績並びに営業本部方針の報告があった。業績については、2019年をベンチマークとして2020年はコロナ禍により大きく落ち込み、回復を期待していたモノの2022年度をピークに足元は厳しく、2023年度は前年度比94%となった。

 厳しい中であっても個別の商品に直目すると、特に際立つ伸長を見せたアイテムが3つあった。「他メーカーにはないわれわれ独自のマニアックな商品が厳しい環境下ではあるものの確実に評価されていると感じている。」と後藤営業本部長は動画を交えて説明した。

主に伸長を見せた商品 
 

① EHHシリーズ
 ソリッドの高送り工具。圧倒的なスピードと寿命、小径サイズの追加ラインナップを実行した。同社が提唱する「PRODUCTION50」(加工半減)を代表する工具。

② ねじ切りカッターシリーズ「EDT」
 ダイレクトスレッドミルは、下穴なしでねじを形成。万一の折損時でも枠に食い込むことはない。後藤営業本部長は、「長年営業を経験しているが、唯一クレームがなかった工具であり、工程集約など計り知れないメリットがある。」と自信を見せた。


 後藤営業本部長は、「身近で素材革命を実感している。さらなる難削加工への取り組みを強化し、ますます高まる生産現場での顧客加工ニーズの難題にいかに向き合うかMOLDINOならではのソリューションを今後も提供する。」とした。

 

 

 

 小櫻国内営業部長が国内状況の報告をした。小櫻国内営業部長は、「金型加工で培った知見を金型だけにとどまらず幅広い分野へ展開し、皆様のお役に立ちたい。」との考えを示したあと、数ある自社商品の中で一押し工具を超硬ドリルとし、特に注力するのは「NSBS」とした。

 説明によると同製品は受注生産品が初回品は短納期対応もするという。「通常の生産ラインとは別に特急枠を設け、荒加工で悩みを持つ顧客へいち早く届ける準備をしている。」と意気込みを示した。

 続いて、木野ソリューション営業部長が業界のトレンドについて説明をした。

 それによると、「カーボンニュートラルの実現に向け、われわれを取り巻く環境は様々な変化が起こっている。そのひとつである水素社会に向け各国ではそれぞれに具体的な取り組みが始まっている。これまでに開発されてきた燃料電池システムはFCVに留まらずFCスタックを多く集積した発電ステーションや家庭用発電装置として搭載される計画が進んでいる。また、非常用電源としてメンテナンスがしにくい携帯電話のアンテナ用に採用されるなど水素の特徴を活かした様々な活用が検討されている。燃料電池システムの市場は全世界において大幅に増加していく見込みである。」とし、自動車のトレンドについては、ダイキャスト製品の大型化を挙げた。

 「新しい技術として提唱されてきたギガキャストはこれまで訳70点あった部品をひとつにすることで大幅な製造コストの削減、製造期間の短縮を進める。この技術開発には中国ではすでに多くの企業が参入し、EV化とともに市場での採用が進んでいる。」とした。

 また、本年11月に開催される「JIMTOF2024」に向けた新商品について、「さらなる難削材加工に向け、新たな商品発売を計画している。より一層進化した工具を披露できるよう努めていく。」と意欲を示した。

「経済的価値とともに社会的価値向上を目指す」

 

 社長就任の所信表明があった。この中で金子社長は自信の経歴を、「前職は三菱マテリアルで入社以来切削工具事業部門に所属し、一貫して国内外での営業活動に携わってきた。併せて販売組織の改革や再編にも取り組んできた。」と述べた。

 海外の活動についても触れ、「アメリカに5年ほど勤務した。その際には現地でのマーティング部門の組織再構築と強化に注力した。」と話し、「また新しい出会いや人間関係を構築することが非常に楽しみであり大きな期待を持っている。」と述べたあと、MOLDINOに対する印象について触れ、「前職で営業活動をしている頃には、MOLDINOは開発技術という印象があり、独創的なこだわりをみせる商品開発と優れた技術を軸に常に提案型の営業をしているというイメージを強く持っていた。特にPRODUCTION50という加工費半減のコンセプトがあるが、この思想を非常に大事にしており、製造から販売まで、全ての社員がこのコンセプトを非常に大切にしていて全員が同じ方向に向いている。これが皆様方に受け入れられ非常に高い評価を頂いている。」と話した。

 また、「私自身が自分のビジネスマンとしての活動の中で取り組んできたことだが、仕事に挑む姿勢を大切にしたい。最近の世界情勢をみると、経済変動や地政学リスクの高まりを受け、先が不透明になっている。この先もどんな不測の事態が起きるか予測がつかない。こうした状況にあるとユーザーの価値感やニーズも常に変化する。決断を迷っている間にどんどん状況が変化してしまうことがあるので、早い決断と実行する行動力が求められるだろう。わが国の製造業が直面している課題として国際競争力の低下、例えば原材料の高騰による影響やカーボンニュートラル、少子高齢化による人手不足など様々な課題があるので取り組んでいくことが必要だ。弊社は素材から開発、生産、検査まで自社の中で完結できる一貫した生産体制を組んでるメーカーであり、これが強みでもある。この体制を強みに、地道に金型加工や難削材加工にも対応できる商品開発とソリューションの提案をし、差別化された独創工具を提供してきた。お客さまにとことん寄り添った独創工具の開発と付加価値提案を強化することによって経済的な価値とともに社会的な価値向上を目指したい。」と豊富を語った。

 

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