ヤマザキマザック工作機械博物館の所蔵品「Mazak Turning Center 2500R」が日本機械学会「機械遺産」に認定

 

 日本機械学会が認定する「機械遺産」に、ヤマザキマザック工作機械博物館(所在地:岐阜県美濃加茂市)が所蔵するNC旋盤「Mazak Turning Center 2500R (以下、MTC-2500R )」が認定された。

 「機械遺産」は、歴史的意義のある機械技術を大切に保存し、文化的遺産として次世代に伝えることを目的に、日本機械学会により2007年に設けられたもので、今回、認定されたヤマザキマザック工作機械博物館が所蔵するNC旋盤MTC-2500Rは126番目の機械遺産となる。

機械遺産に認定された所蔵品

NC旋盤 Mazak Turning Center 2500R(山崎鉄工所製)

 

 NC旋盤とは、従来の汎用旋盤に数値制御(NC)装置を組み込んだ機械。人が手動で操作していた機械加工を、NC装置によって自動化し、効率的かつ高精度に行うことを可能にした。山崎鉄工所(現 ヤマザキマザック)は、1968年からNC旋盤の製造販売を行っている。

 ヤマザキマザック工作機械博物館が所蔵する1970年製NC旋盤「MTC-2500R」は、国産NC旋盤として初めて米国に輸出され、航空宇宙産業の発展に貢献した。同機種の輸出を契機に、日本製のNC装置付き工作機械の性能が世界市場で高く評価されるようになり、日本の工作機械の技術レベルが広く認められることにつながった。

 MTC-2500RのNC装置にはFANUC 240が採用されている。X軸とZ軸は電気・油圧パルスモータで駆動され、最小指令単位0.01mmで、輪郭制御も可能。NC装置は、紙テープのEIA/ISOコードによるNCプログラムを読み込んで動作する。

 同機は2008年に米国より引き取られた後、ヤマザキマザックの熟練工によって再整備された。現在では、ヤマザキマザック工作機械博物館にて動態展示され、NC工作機械の原理と構造を学ぶための貴重な機械技術資料として高く評価されている。また、歴史的意義も広く認められたことから、このほど「機械遺産」に認定された。

機械遺産 認定証授与式の様子 右:日本機械学会 山本誠氏
 左:ヤマザキマザック博物館 副館長 高田芳治氏


■ヤマザキマザック工作機械博物館について
 工作機械は、身の回りにあるあらゆる工業製品の製造に関わることからマザーマシンと呼ばれ、「世界のモノづくり」を支える重要な役割を担っているが、工作機械は工場内で設備として用いられるため、その存在は一般にはあまり知られていない。
 
ヤマザキマザック工作機械博物館では歴史的な工作機械の動態展示をはじめ、機関車などの工業製品も展示し、工作機械によって人々の暮らしがどのように豊かになったのかを紹介している。また、現代の工作機械によって自動化された機械加工工場も併設しており、工作機械の今昔を俯瞰して見ることができる博物館である。

 ヤマザキマザック工作機械博物館は、今後も歴史的な工作機械の保存・展示を通じて「人々の暮らしと工作機械との関わり」や「工作機械の進化」の紹介をし、工作機械が社会を支える重要な存在であることを広く伝えている。

 同博物館は、体験型の博物館として、子どもたちにモノづくりの大切さや楽しさを伝え、次世代の製造業を担う人材の育成に貢献して行く方針。

●ヤマザキマザック工作機械博物館
岐阜県美濃加茂市前平町3-1-2
https://machine-tools-museum.mazak.com/

 

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